第47話 あれ?この小説ってコメディ専門だよね!?

『佐野さん、頑張って来られたんですね。』『俺は、高齢で独り暮らしの人や、家族に煙たがられてネグレクトを受けている老人を助けたいんだ。』


確かに。

最近ニュースでよく見る事件。

老夫婦での介護疲れで伴侶を殺めてしまうニュース。

生活保護の受給が認められず、孤独死するニュース。

育ててもらった恩を忘れ、家族から虐待を受け亡くなるニュース。

そして……


最もあってはならない「介護施設内で虐待。死亡」のニュース。


テレビを付ければうんざりする程、悲しくて痛ましいニュースばかりが飛び交っている。

戦争を体験し、国を守ってきた人達。その帰りをただじっと待ち続け、家庭を支えて来た人達。


その人達がいるからこそ、今の平和な暮らしがある事をあたし達は日々の生活のストレスで忘れてしまっている。

そして、その日常のストレスを「弱き者」に当たり散らす。


・・・いつまで経っても「いじめ」同様、相手を傷付ける事件は減る事がない。


『老後の生活位、笑顔で楽しく生活させてあげたいんだ。』『あたしも、そう思います。』『だから、尚更しっかりとした対応で介護をして行きたいんだ。』


ただの鉄仮面なんかじゃなかった。

冷酷な人間なんかじゃない。

この人は、お金を払って利用してくれている利用者様達の為に、「何かあってからでは遅い」。

そうならない様、日々気を張り詰めながら仕事をし、職員を指導していたんだ。



『佐野さん?』『何だ。』『たまには、甘えて下さい。』『そんな暇はない。』『あるじゃないですか。』


避けられるのを覚悟で・・・あたしは佐野さんのさんに顔を近付ける。


『今、あたしが佐野さんを癒してあげます。』『どうやって?』『・・・こうやって。』


嘘じゃない気持ち。偽りのない想い。

あたしは、佐野さんの唇にそっと自分の唇を重ねた。


『避けないんですね。』『癒してくれるんだろ?』『膝まくら、しましょうか?』『それじゃ足りない。』『うわっ!!』


人生初のお姫様抱っこ。

だいぶ酔っているはずの佐野さんは、あたしを軽々と持ち上げ、寝室のベットへと静かに降ろした。

広々としたベッドに横たわったあたし。そして、そんなあたしの餓えに佐野さんが覆い被さって来る。


『避けないんだな。』『癒してあげるって、言ったじゃないですか。』『後悔しないのか?俺で。』『佐野さんだから後悔しないんですよ。』


明日の朝、佐野さんが目覚めた時に覚えてなくても構わない。

一夜限りのランデブーだって後悔しない。


あたしは・・・佐野さんが好き過ぎるだから。


『安部、好きだ。』『あたしも、佐野さんが好きです。』


この小説らしくない、ラブラブモードに突入。

・・・笑いを期待してる方々、すまぬ。


いただきまーーーーすっ!!


あたしはこの日、佐野さんに身体を全て委ねた。

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