5分読書として相応しい内容だと思います。短い文章の中で切なさ、儚さ、最後には希望を感じさせる感情が、ギュッと詰め込まれていて、面白いと感じました！

　天使と人間という関係性からもう儚く感じていた自分は多分チョロいのですが、それでも最後まで読むと、全読者が儚く切ない、それでいて希望の持てる物語だと感じるでしょう！


　是非、5分間のお供に読んでみて下さい！

生まれた時から定められている運命
「エンゼル」である主人公は、その運命を受け入れて日々を過ごしていた。

生まれてきた時からの宿命は抗いがたく、その罪もまた重い。
それでも主人公を突き動かしたのは、より強固なヨスガだった。

残酷な日々に咲く一輪の花は何にも増して美しい。
数奇な運命の辿り着く先に、その花が咲くのかは分からない。
それでも、この作品には、そういった大きな「流れ」を感じさせます。

罪と罰とを正確に測ることは困難だ。
この作品の天使もまた然り。なぜ、彼は堕とされなければならなかったのか？
純粋な想いを持っているだけで人でも石持て追われることはある。
非常に過酷な状況の中、彼がその果てに見出した愛情は砂漠に落ちた一滴の雫に等しい。
そしてその一滴は著者の他作品に繋がるもの。
全てが円環として巡り巡っている。

　天使・エンゼルという存在の主人公が、一人の女性との出会いと日々を綴り、また対極の存在である魔物との関わり方を描いた物語です。

　エンゼルは飽くまでも役目であり、そういう属性を持つが故に清浄な心を持っているのではないと感じさせられる、主人公の資質としての美しさが描かれ、それ故の物語中盤以降のショッキングな出来事の衝撃を強くしていると思います。

　しかしそのショックな出来事も、主人公の心を醜くする事はなく、童話のような筆致が優しさを感じさせられます。

　ヒロインも、ひとつひとつの行動を見れば、おかしいとおもう点は多々ありますが、おかしいと思わされるところにこそ、人間らしい心遣いを見つけられ、やはり優しい雰囲気を感じます。

　完全無欠のハッピーエンドとはいえないかも知れませんが、この見せかけではない綺麗な物語を著す一言に、ハッピーエンドという単語は欠かせない――そう感じさせられます。

エンゼルの変化といい、ストーリーのテンポがすごくよかった。
最後に全てがつながった感じがドキッとする文章だった。
凄く優しい文章で、エンゼルの儚さが募っていった。

次の作品も期待してます。