クマ

 ショッピングセンターに買い物に行った時の事。


 一人でプラプラしていると、遠くでクマの着ぐるみが小学校低学年くらいの少年の相手をしているのが見えた。


 私のすぐ側にいた少年の母親らしき女性が少年の名前を呼ぶと、彼はクマの元を離れ、こちらに向かって走って来ながら周りに響き渡る程の大声で叫んだ。





「おかあさーん!あのクマ、マジくせぇんだけど!」








 子供の正直な言葉は時にとても残酷である。

 私は、子供達のために汗水垂らして懸命に働いているクマの耳に少年の叫び声が届いていない事を切に願った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る