第62話 おっさん、尻尾をつかむ

 まず目指したのは、ゴブリン・ダンジョンの周りにあるバドラ村。

 ここにマーロウは立ち寄ったはずだ。


 ダンジョンコアのワープ機能で、ゴブリン・ダンジョンにワープ。

 バドラ村に無事着いた。

 バドラ村のギルドの出張所に行く。


「人を探している。リオットという奴とマーロウだ」

「お尋ねのリオットさんかどうか分かりませんが、先日お見えになりましたよ。マーロウさんでしたら、パーティの募集に参加されてました」

「ありがと」


 二人とも見つかるとはついている。

 適当な酒場でリオットの話を集める。

 取り巻きを沢山連れていたというから奴で間違いないはずだ。


 聞いた話ではクラン・ラベレンに所属しているらしい。

 ラベレンはどこかで聞いたな。

 どこだったか。

 まあいい。

 思い出せないのなら重要じゃないって事だ。


 聞き込んだところ拠点は都市バンクスにある。

 拠点に戻っているとは限らないから、足取りを追わないとな。


 その前にマーロウの情報を集めないと。

 マーロウのパーティはゴブリン・ダンジョンでレベルアップした後、野生のゴブリンを討伐に行ったらしい。


「アルマ、マーロウの居る方向が分かるか」

「任せといて。この国に居るマーロウという名前の人は296人やわ」

「そんな事だと思ったよ。じゃ一番近くにいるマーロウとリオットは?」

「あっちとこっちや」


 これを信じていいのかどうか。


「とりあえずその人物をマークできるか」

「可能やと思う」


 暫定のリオットの尻尾は掴んだ。

 次に俺はギルドの本部に手紙を送った。

 あて先はイシュトンだ。

 この人物は冒険者が犯罪行為をした時に粛清する役目を担っていた。

 リオットの件はこれでいいだろう。


 とりあえずマーロウを探すか。

 アルマの導きで近くのマーロウを探す。


 そしてある村に辿り着いた。


「この村にマーロウという人はいるか?」

「マーロウ爺さんならそこを行って右だ」


 マーロウが爺さんの訳はない。

 ちくしょう外れか。

 こうなるとマークしたリオットも怪しいな。


「そんな、うち役立たずなんやろか」

「アルマ、しょげるなよ。同名の人なんて星の数ほどいる」

「そうやろか。次は汚名挽回や」

「張り切っているところ悪いが、リオットも駄目な可能性が大きい。別の手を考えよう」

「やっぱり、うちは役立たずや」

「カップ麺のシーフード味を出してやるから、しょげるなよ」

「そうやな。切り替えていこか」


 バドラ村に帰ると、イシュトンが来ていた。


「お初にお目に掛かります。イシュトンです」

「ムニだよ」


「ところで私の名前をどこで知られたのですか?」

「エイシスというAランクの冒険者を粛清しただろう。その情報提供者が俺だ」

「なるほど。会ったかも知れませんね」


「あんたの仕事は理解している。それでクラン・ラベレンのリオットが色々と犯罪を犯しているというネタを提供したい」

「ほう証拠は」

「ダンジョンで人に危害を加えた証言を得た」

「まあいいでしょう。証拠はこれから集めます」


「それで虫のいい話なんだが、俺に始末させて欲しい。死んだ人間に頼まれたんだ」

「分かりました。Sランクの頼みとあっては無下にもできません。それと不思議なんですが、あなたの情報があるようでない」

「どこが不思議なんだ」

「ギルドに登録した書類はあるのに、誰も覚えていません。いきなりSランク登録でしたよね。そんな出来事があったら誰か覚えているはずです」

「神みたいな奴とちょっとあってな。俺の存在が消された」

「ほう、そんな不思議な事が」

「信じるのか」

「嘘と断じる証拠もありません。普通に考えたら、ギルドの職員が不正したのでしょう。ですが、討伐記録は複数の都市に記録があります。大人数が不正に関わったのなら、なんらかのボロが出るはずです。辻褄が合いません」

「そうだな」

「それに討伐したモンスターの素材は納品されています。偽装工作にしては手が込み過ぎです」

「俺は本当の事を喋っている」

「そうでしょうね」


「とにかくクラン・ラベレンのリオットの情報をよろしく」

「はい承りました」


 これで情報は入ってくるはずだ。

 楽が出来たな。


 マーロウのパーティの足取りを追うとするか。

 今いる場所から近いのは、スルサだ。

 スルサはミスト・ダンジョンから近くてマーロウの捜索を頼んだ子供達も住んでいる。

 ここは無いだろうから。

 それより西のキールだな。

 ここはゴーレム・ダンジョンに近い。


 ゴーレム・ダンジョンにワープして行くとするか。

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