レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされた俺は大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ。なんとしても元の世界に俺は帰る~
第60話 おっさん、ミスト・ダンジョンを改善する
第60話 おっさん、ミスト・ダンジョンを改善する
「あー、久しぶりだな。ずいぶんと昔に来たような気がする」
「うちもや。来た事ないはずなのに、なんや不思議やな」
「私も」
「同感」
俺達は今、ミスト・ダンジョンに来ている。
このダンジョンのモンスターの特徴は殴ると霧になる点だ。
ミスト・ゴブリンを前に考える。
俺達が前にやった方法は殴ってから、掃除機で吸い込んで、紙パックを燃やした。
この方法だと、発電機、掃除機、焼却炉のワンセットが必要だ。
ドロップ品で出すと予算オーバーになる。
ゴブリンのドロップ品に発電機や掃除機は無理だ。
安いドロップ品で何とかしないと。
やってみるか。
「よし、試しだ」
「はいな」
俺はミスト・ゴブリンをメイスで殴った。
霧になるミスト・ゴブリン。
アルマ達が松明片手に霧を炙る。
霧は再び集まり、ゴブリンの姿になった。
火で燃やされた分、いくぶんか小さくなっているはずだが、効果は薄そうだ。
掃除機の安いのと言えば、ホウキとチリトリだ。
霧を集めるのには向いてない。
ローテクで行くとするとただのポリ袋なんかどうだ。
霧をポリ袋に詰めるのはそんなに難しくない。
焼却炉は金属製のゴミ箱みたいなので代用できる。
やってみるか。
「ほら、霧になるぞ」
「ほないくで。このこの」
「なんか網でバッタを捕まえるみたいね」
「捕獲結界」
アルマ達がポリ袋に霧を詰める。
口を輪ゴムで素早く留めて、焼却炉代わりのゴミ箱に放り込む。
焦げた匂いが充満してポリ袋の霧は燃えた。
残りの霧は合体して、再びミスト・ゴブリンになる。
少し小ぶりになったようだ。
今のを繰り返せば討伐は可能だ。
ここのドロップ品が決まったな。
ポリ袋、ライター、ゴミ箱、ガソリンが良いだろう。
台車とかは真ん中の階層辺りのドロップ品。
掃除機、発電機は下の階層のボス辺りのドロップ品だな。
序盤の階層では敵が強くなったら、ドロップするポリ袋の枚数を増やせばいいだろう。
方策は立ったので、情報提供するために、もよりの冒険者ギルドにお邪魔した。
「待ってました」
ハイテンションな受付嬢。
「何だ。何をだ」
俺は少しあっけにとられた。
「神託冒険者ですよね。ダンジョンの変革を告げて回るという」
「まあ、間違ってはいないな。そんな事より、ミスト・ダンジョンが変わった」
「やった。あの不良在庫が優良商品に生まれ変わるのですね」
「まあなんだな。その通りだ」
ポリ袋の説明をした。
「この白い半透明の袋は何で出来ているんでしょうね」
「ドロップ品だからな。説明はダンジョンを作った奴に聞いてくれ」
「ポリ袋でしたっけ。一階層のドロップ品としては価値がありそうですね」
「そうだな。商店なんかでも引っ張りだこになる商品になると思う。お次はこれだ」
俺は100均の200円台車とホームセンターで売っているアルミ製の台車を見せた。
「これは便利そうです」
「3階層辺りのは取っ手が付いてないが、8階層辺りだと立派だぞ」
「これもまた商人が喜びそうな品ですね。使ってみていいですか」
「どうぞどうぞ」
「うわっ、楽に物が運べますね。買いたい! 是非売って下さい!」
「取っ手が付いてないのが、銅貨20枚で。取っ手が付いているのが銀貨34枚だな」
「こんなのがドロップしたら。冒険者が殺到しますね」
「そうだな。お次はボスのドロップ品の掃除機と発電機だ」
「これは、もしかして。紫外線ライトを充電する機械じゃないですか」
アンデッド・ダンジョンの入口に設置してある奴だからな。
「そうだな」
「これギルドに設置したらお金とれますよね」
アンデッド・ダンジョンのボスのドロップ品に発電機を追加しておこう。
「取れるがダンジョンの入口にも設置されているから、あんまり儲からないぞ」
「ショック。ボーナスがたんまりと思ったのに」
「この掃除機も充電式だ。使ってみろ」
受付嬢がコードレス掃除機を使う。
「ゴミを吸い込んでますね。これってモンスター退治より掃除に大活躍しそう」
もともとそういう用途の品だ。
「主婦層に人気が出るかもな」
「素晴らしいドロップ品の数々。あなたは幸運の使者ですね」
「夢で見ただけだからな」
「では、情報料として金貨14枚を、裏付けが取れ次第、お支払い致します」
これでミスト・ダンジョンにも人が溢れるだろう。
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