第17話 おっさん、交易品を考える
マヨネーズに対する食いつきようが凄い。
昨日出した10本は全て使い切ってしまった。
マヨネーズが家計を圧迫なんて、なんのジョークだ。
「マヨネーズは一日20本。これでなんとかしてくれ」
「えー、もうひと声」
アズリがごねた。
「駄目だ。第一、健康に良くない。太るぞ」
「太った人なんてどこにもいないわ」
そうだった。
肉体労働だもんな。
太っている奴はいない。
「血液がどろどろになるんだ。どろどろお化けが出て来るぞ」
口から出まかせで、いい加減な事を言ってしまった。
「わ、分かったわ」
どろどろお化けを信じたのか。
だが、160円×20本=3千2百魔力の使い方が固定になってしまった。
問題は。
「足りない物が多すぎる。俺のスキルでもどうにもならん。交易をすべきだ」
「目下の問題は流砂地帯ね」
エリナを帰還させた。
「そこはなんとかなりそうだ。
「任せてや」
アルマが流砂地帯の地図を書く。
「新たな石塔が必要ね。2つの石塔の中間を通るなんて、ややこしくて仕方ないわ」
「そうだな間違えそうだ。安全な道は石塔を最短距離で結ぶように配置するのが賢いだろう。しかしだ。100人ではどうにもならない」
「人もお金も品物も何もかも足りないのよね。女性もね。苦情が上がったわ。女性が少ないと。男9に対して女1だから仕方ないけど」
「問題山済みだな。仕方ない少しずつやっていこう。まずは交易だ」
「交易品の第一弾はマヨネーズよ。これしかないわ」
「まあ、交易品はそれでいいか。人が足りないのは問題だ。儲けた金で移民を募ろう。ここから近いオアシスまでは何日だ」
「イゼゼオアシスまでモレクの足で3日ね。人だと6日は掛かるわ。蒸留しながらだと倍かかるわ」
「俺が行くときは蒸留の手間は考えなくて良い。留守番を何人か残して後の全員で出撃だな」
「農作業の10人を残して後の88人で行きましょう」
使える魔力は9万ぐらいだな。
ジルコニアと合成ルビーと合成サファイヤを交易品とするか悩んだが、合成だと気づかれるとややこしい事になる。
いざという時のネタにとっておこう。
それにマヨネーズみたいな消耗品の方が都合が良い。
何度も持ち込めるからな。
そう考えると胡椒とカレー粉も良いな。
唐辛子はサンドシャークに対する武器になるので交易品にはしたくない。
砂糖は安いのでいいのだが、サトウキビみたいな品種がオアシスにもある。
安くはないが高くもない。
砂糖は利幅が望めない。
そうだ、砂なんてどうだろう。
ここの砂漠の砂は塩分を含んでいる。
塩分を含まない砂が売れないだろうか。
用途は思いつかない。
ろ過器が作れるが、ろ過器なんて必要としない人の方が多い。
鋳型とか色々と活躍しそうだが。
生憎と知識がないし、そういうのに適した砂なんか出せない。
砂はだめだな。
砂と言えばガラスの原料だ。
そういえばガラスを見たことが無い。
100均のガラスのコップは売れそうだな。
消耗品ではないが、割れやすいので売れ続ける事だろう。
石鹸やシャンプーはこれもネタとして温存したい。
マッチはありだな。
毎日使える。
ライターもいいな。
これも候補に入れておこう。
かさ張るから輸送には少し不向きだが、トイレットペーパーなんかもいいな。
「アズリも何か考えてくれ」
「今、一番売れるのは虫除けの香よ」
「おう、虫除けね。それは考えてなかった。蚊取り線香50個で700魔力だな」
「安いのね。効き目は?」
「使ってみない事には分からん。しかし、虫なんて飛んでないが、どこで使うんだ」
「驚いた。どこの生まれ? 雨が降ると、ヴァンパイヤモスキートが大量に湧くのは常識だと思ってた」
おお、砂漠に雨が降るのか。
ヴァンパイヤモスキートってやばそうだな。
聞いたら不審がられるかな。
「俺は転移事故で飛ばされた。砂漠の生まれじゃないんだ」
「そうなの。ヴァンパイヤモスキートに、そのカトリセンコウとやらが効くかどうかは、すぐに実験出来るわ」
「どうやるんだ」
「砂漠に水を撒けばいいのよ。そしたら何日後かにヴァンパイヤモスキートの成虫が出て来るわ」
「じゃ、砂漠の砂をペットボトルに入れて水を入れてみるよ」
この件はこれで良いな。
「他には交易品になりそうな物がないか」
「果物は貴重品よ。砂漠病の特効薬だから」
「俺の知らない単語が出て来たな。だが、言わなくても分かるビタミン不足だろう」
「ビタミンって何?」
「分からなくてもいい。レモンかオレンジを交易品に加えるべきか。キャベツの酢漬けって手もあるな。船乗りの話にはジャガイモも良いとあったな。俺の予想があっているのか分からないから、追々だな」
交易品のアイデアはそこそこ出たな。
色々と試して良い物を探るとするか。
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