第43話 おっさん、オーク退治する
今日俺はオークのコロニー殲滅に街から離れた森に来ていた。
「今回の依頼少しうちは反対やで。ギャンブル依頼と聞くと糞おとんの顔が頭に浮かぶ」
「でも、金貨100枚は破格よね」
「一攫千金」
今回の依頼は一番美味い肉を手に入れた者に金貨100枚支払うという依頼だ。
当然、近隣の街で複数のパーティが依頼を受ける。
お金を貰えるのは一パーティだけだ。
「駄目でもオーク肉が大量に手に入るだろう。ストックしておくのに丁度良い」
◆◆◆
俺達は森の奥に進みオークのコロニーを見つけた。
「俺がオークの足を砕くから、アルマは金属魔法で首を絞めろ。そして、エリナは水魔法を口に突っ込むんだ。モニカはフォローをしてやってくれ」
とりあえず見張りオークの足をメイスで砕く。
「よし、やれ」
「はいな、
オークの首にチタンの針金が食い込む。
手をバタバタさせてしだいに動きが弱くなる。
死んだオークを回収する。
音につられたのかオークが一体、木の皮で作った家から出てきた。
やはり、同じ様に足を砕く。
「やれ」
「はいはい、
エリナが唱えた魔法の水球がオークの口に入っていく。
針金と同じように窒息する。
手早く回収して先に進む。
モニカが水の入った樽とインゴットの乗った台車を押して後をトコトコついてくる。
「退屈」
「そういうな。帰ったら何か魔法のスキルオーブ探すから」
「闇」
「光と闇はスキルオーブが出ないんだよ。そうだ雷なんてどうかな」
「不承不承」
「納得してくれたようだな。よし、次を狩るぞ」
木の皮で作った家屋が立ち並ぶコロニーを進む。
出てきたオークを手当たりしだい狩っていたら、一際でかい家屋を見つけた。
「ボスだと思う。みんな気をつけろ」
ドスンドスンと足音を響かせ巨体が出てきた。
この大きさと毛並みはオークエンペラーに違いない。
オークエンペラーは十体ほどのオークを召喚してきた。
俺はオークの足を砕いて回る。
「オーク肉祭り開催だ。止めをどんどん刺せ。オークエンペラーの魔力が尽きるまで繰り返すぞ」
止めを刺したオークを収納していく。
ダンジョンと違って肉体が消えないのも、たまには良いな。
ゴブリンとかだと願い下げなんだが。
オークエンペラーが次の召喚を行うのを待つ。
おお、やっと次を召喚したか、リキャストタイム長いな。
同じように始末する。
流れ作業を繰り返し、百体ぐらい仕留めた時にオークエンペラーが逃げ出した。
逃がすかよ。追いすがり膝裏をメイスで一撃する。
二人に仕留めてもらい、今回のオーク狩りは終わった。
◆◆◆
「オークエンペラー仕留めてきましたけど、肉勝負はどんな感じ」
俺は帰って来た街の冒険者ギルドでエティに報告した。
「今のところ一番良いのはオークキングですね。倒し方が酷いので、減点されてます。オークエンペラーなら、問題なく一番です」
「じゃあ冷凍庫で引き渡してくるから」
俺は冷凍庫でオークエンペラーを引き渡し、スラムに足を運んだ。
「ケイムいるかぁ!?」
俺はケイムの家に入り声を上げた。
「おお、居るぞ!」
奥の部屋から声が掛かる。
同時に奥の部屋から見知らぬ男が出てきて会釈しながら通り過ぎた。
俺は奥の部屋に入った。
「来客中だったか、邪魔したか?」
「いや、話が終わったところだ」
何か違和感がある。
なんだろう、さっきの男は格好から見るとあきらかにスラムの住人なのだ。
しかし、すれ違う時に臭いがしなかった。
「なぁ、さっきの男の事、気づいているか、スラム外の人間が化けているぞ」
「ああ、分かっている。外部との繋ぎ役だ」
そうか、きっと発禁本の関係者だな。
大っぴらに出来ないから、変装しているのだろう。
「そうそう、アクリル板をそろそろ欲しい頃だと思ってな。売りに来た」
「悪いな。この間ぐらいの量、売ってくれ」
「それは、問題ない」
「それはという事は、何か問題があるのか」
「近々、オークの肉を無料で振舞おうと考えている」
「炊き出しとどう違うんだ」
「魔力の見返りは求めないし、無くなるまで肉を無料で配る」
「それは凄いな。みんな貰いにくるぞ」
「そこで一回に配る量を握りこぶし二つ分ぐらいにして、何回でも受け取れるようにする」
「そいつは良い。家族が多い奴なんか。全員で何回も並べばお得だな」
「そういう事」
オークって巨体だから肉が沢山取れる。
十体も解体すれば充分だろう。
スラムを後にして冒険者ギルドに行くと肉勝負は俺の勝ちとなり、依頼料金貨100枚をゲットした。
四人で依頼料を分けたが、モニカに金貨八十枚の雷魔法を買ってやって俺は赤字になった。
オーク肉がストックできたから良いんだ。
レベル上げはもう程々で良いだろう、次も変わった依頼をやりたいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます