第28話 おっさん、トラップ・ダンジョンを攻略する

 人数分のバイクを購入し、そして練習。

 新しいスキルの購入も行い。

 身代わり人形などの防御に使うドロップ品を三人に装備させた。

 そんなこんなで、準備に大分時間が掛かってしまった。


 トラップ・ダンジョンはバイクで二日ほどの距離の所にある。

 颯爽と四人で列になってスクーターを走らせる。


 ちらっと何か見えてきた。


「あれじゃ、ない」


 先頭を走っていたエリナが声を上げた。

 廃村が見える。


「今日は野営して。明日から攻略だ」


 廃村に着き、テントを組み立てる。

 中でくつろいでいると、外から人が入ってくる。


「順番」


 モニカが声を掛けてきた。

 彼女達は順番に俺の所に夜来るようになっていた。


「いいよ、おいで」


 そのまあ、なんだ。察してくれるとありがたい。


  ◆◆◆


 次の日、早速、封印ダンジョンに向かう。

 穴掘りはめんどくさかったが、200レベルのパワーで瞬く間にこなした。

 薄暗いダンジョンに入る。

 ヘッドライトは予備を含め人数分買ってある。


罠探知トラップサーチ。そこに罠があるぞ」


 俺はスキルを発動し、罠の位置を警告する。

 罠探知のスキルは前もって準備しておいた物だ。




「何でこのダンジョンは封印されたのやろな?」

「そうだな、スキルで攻略が可能なら、討伐されるか。ダンジョンとして、運営されているだろうな。んっ?」


 何か踏んだと思った瞬間、壁から槍が突き出された。

 槍は俺に当たり跳ね返される。


「油断大敵」

「あぶねぇ。魔力壁様様だな。あれ、そうだ。スキルでチェックしたはずだぞ」


「スキル阻害機能がついているんじゃ」


 エリナが推測を述べた。


 そうだよな、封印ダンジョンがまともであるはずがない。

 こんな事もあろうかと用意していた物がある。


「じゃじゃーん、金属探知機!」



 金属探知機でトラップを探りながら進む。


 モンスターが出てこないのは有り難いが地味に神経使うな。

 だいたい仕掛けが分かってきた。

 まず一番多いのが接触式のトラップ。

 スイッチを踏むと作動するやつだ。


 次に多いのが音探知だ。

 こいつは杖でコツコツ音を立てると作動するから、すぐに場所が分かる。


 そして、光探知。

 こいつは光に反応してトラップが作動する。

 回避方法はライトの光を遠くから当てて空振りさせる。

 大体こんな感じだ。


 200メートル進んだ頃にはトラップを見ただけで判断出来るようになっていた。


「ここは、行き止まりだ。トラップが床一面にある。おかしいな、ここを通らないといけないはずだ」

「壁」


 モニカが呟く。


「ああ、壁に隠し通路があるのか。引き返そう」


 金属探知機で壁も探る。

 トラップと隠し通路の仕掛けを区別するのは骨が折れた。

 何せ触っただけでトラップが発動するもんだから、トラップを何度か喰らう。

 物理的なのは平気だったが、毒が厄介だ。

 結局、何回か毒も喰らったが、ポーションを飲んで対応した。




 そこで俺は前もって用意していた切り札を切る事にした。


「じゃじゃーん、壁を走るラジコンカー!」


 これは、姪や甥と一緒に遊んだ思い出深い物。壁を吸引してくっ付きラジコンが走る。


「なんか、気持ち悪い。虫を思い出したわ」


 エリナの率直な意見。


「そう言うなって。俺の代わりにトラップを喰らってくれる有り難い存在なんだよ」


 ラジコン囮作戦は成功し、それ以降は毒を喰らわなくなった。




 数々のトラップをかわしボス部屋の前にたどり着いた。


「よし、ボス部屋だ。開けるぞ」


 あれ、ダンジョンコアが置いてある。

 ダンジョンコアに近寄ろうとした時、トラップが作動。

 床から斜めに突き出した槍が俺に当たって跳ね返された。

 よく調べると入り口の反対の壁に隠し扉があった。


 扉を開けるとダンジョンコア。

 今度こそ本物だろうな。

 テキパキと魔道具を組み立てる。

 魔力を吸い取って、商品を買うを繰り返す。


 大体合計で一千万円ほど買い物したら、コアの魔力がなくなった。


 俺はステータスをチェックする。


――――――――――――――

名前:山田 無二 LV227

魔力:15634/22700


スキル:

収納箱

魔力通販

魔力壁

混合

変形

罠探知

――――――――――――――


 うーん、しょっぱいな。これだけ苦労して9レベルしか上がってない。


「撤収!」

「「「はい」」」


 よし、街にかえったら休みだ。久しぶりの休日を楽しもう。

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