第18話 プロッターとパンツァー
「小説の仕組み2」を読了しました。
執筆者のための技術書です。
この技術書のなかに、プロッター、パンツァーという言葉が出てきます。
プロッターは執筆前にプロットを作る作家。
パンツァーは計画を立てず、勘を頼りに作業する。SEAT OF PANTSという慣用句からきた言葉だそうで。
貴方はどちらでしょうか。スティーブン・キングはパンツァーだそうです。
まあ。天才の執筆方法ですね。書き出したらキャラクターが勝手に動き出す。なんかモーツァルトを彷彿とさせます。
閃いたままを文章にする。掌編ならばいいかもしれません。アイデア一発勝負ですから。掌編は一瞬でも読者に「あっ!」と言わせれば、しめたものです。
ただ、長編となるとどうでしょう。多くのエタった作品たちは、このパンツァーによって書かれたものかもしれないですね。
私も三十年前はパンツァーでした。小説のコピー本(季刊誌)を作っていたので、締め切りがあるわけです。それに追い立てられるように、長編の連載をしていました。
プロットなんてありません。あらすじもない。ラストシーンも決めてない。次に出てくるキャラクターも決めてない。次のシーンも決めてない! (酷すぎるな、おい)
この一行の次にどんな一行がやってくるのか分からない。そんな中で三か月間、うんうん唸りながら文章を捻りだすわけです。それを六年も続けたわけですが、まあ、降ってくるものですね。文章って。あの頃は書かないと死ぬ! ってくらいに追い詰められていたので。若いというか痛いというか……引きずり出せるわけです。(古傷が痛むのお)
さて、それから四半世紀が経って、いざ推敲! となった時に、完全に執筆をやめていた私は、何がいいのか悪いのかも全く分かりませんでした。
そこで必要なのが、小説を『読み込める』他人の目です。
初の校閲ってやつですね。それを経て、自分での手直しもやり、十五稿目にまた校閲をして頂いています。同じ方に。
もう初稿に指摘をして下さってた時とは突っ込み具合が全然違います(笑)
完全初心者を脱したと認めて頂けたようで、むちゃくちゃ嬉しいです。まあ、初級ですけど(笑)
自分がパンツァーだと思った方。推敲、やれてますか? 書きっぱなしにしていませんか? エタってないですか?
コンテストや公募に出す方でしたらなおさら、校正、校閲は必要だと思います。
今は有料でやってくれるサービスもあるいい時代なので、依頼してもいいですし。
鋼の心臓を持ってる方でしたら、執筆仲間と作品を交換して校閲し合う手もありそうです。どんな突っ込みも真摯に受け取って、自分の血肉に出来るのでしたら。それで喧嘩しちゃったら意味ないですものね。まずは信頼関係を築くことからですね。
自分の作品の粗は見えない。でも他人の作品のは見えちゃうんですよね。
自分の作品は可愛いので推敲でガンガン削れない。でも、他人の作品なら出来る。
推敲って表記の直しもありますが(主に視点ゆれ)、キャラクターの『言動の根拠』を加える意味合いもあると思います。
天から降って来た文章には、キャラ言動に根拠がなかったりします。降って来たものをそのまま書いたのだから、しっかりした根拠なんてなくても前後がなんとなく繋がっていればいいわけで。
しかし読む側は、そのシーンの整合性、作品全体での整合性を見ながら読んでいるわけで。整合性のない言動には違和感を感じます。理由を知りたくなります。理由が提示されないと疑問が引っかかったまま読み進めることになり、結局楽しめなくなってしまいます。それって、とっても勿体ないです。
私がもっとも嫌うのは「文字数稼ぎにために付け足されたキャラとシーン」です。分かりますよお。すぐに分かります。真っ先に削ってほしい部分です(ブーメランかも・笑)
先にあげた本の著者さんは、パンツァーだそうです。そしてパンツァーだと推敲が出来ない! と気づいて、校正サービスに依頼したそうです。
そこで、とても納得のいく意見を頂いた。しかし、その小説を書き上げた後に、自分が書いた『改善しなきゃいけない部分』のメモを発見。プロの校正者に指摘されたことが、ほぼ書かれていたというオチでした。勿論、自分が気づいたこと以上の指摘をしてもらったそうですが。(さすがプロ!)
分かっているけど、やれてない。なにせ、その小説を全て組み直して書き直す必要があるから。26万字超(初稿は35万字)だものな。冷や汗でるよな(^^; 時間がかかっても推敲するそうです。応援しています!
作家は『読者ファースト』で。読者思いの作家って、つまりは良作を生み出す作家なのだと思います。そのためには、まず推敲しよっ(笑)
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