たまかづら


真鍮の鳥かごをひらく 鍵にとりこまれた ムスメの妄想

昨日捕まえた希望を思い込めるように 終幕の花を持たせる

かけはしいろの、凸面鏡にはっきりと映り込む

夕焼け空の 張り付けられた ほろけほのかげ笑みだった


飛行機雲が岩礁にぶつかって 息吹を撒いた

縦横無尽に抜け出していく 血濡れたものだ

夢も

現実も

からだをも とめて 刺青をも抉るばかりの


うら若いだけの襦袢の双丘から零れるさくらいろは

まるで呪縛のように

絡みつく早春の波間のくせに

いつかの蛍に顔はいらないんだよ

そういって白い打掛に火を燈すと、

今日は茹だるばかりの空蝉が啼いて溺れてしまう。

そっと私の手をとって、

その小さな命を注ぎ込み ほつと預けたものです


亡いてこびりついて生れ臭い内腿をぬめらせている

異常気道を誑した眩暈、のらくらと欄干に影に擦る


そんなひとよ ゆめうつつに 食い破られる この胸は

それでも穿かれて消えないでしょう

膨らんだままで腐乱して、萎んだように孵卵するぐらいに


朝焼けを除く 私を置き去りにしなさい

星界は乱れなく 光に庇われて要る、

底へ渡しをおざなりにして。

そして其所へ彼方をおしどりと貫いて

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