《鞴》ふいごと鳴き砂

雛菊と箒星を供えますからなんて

でっち上げられたものども組まれた指が外れないのだと請う。

と友に、数奇な赦し 恋う。


これでは散りや誇りに塗れ尽して、なにもありません

視界だけが開けていきます

ただ私はそこにいることは明白でした


落下起点を呼び起こす境界の風の音は

吹き曝しの如く、わたしを晒していく


爛れた頬を除くように燻る炎を遷した

ランタンをひっさげ何処へ向おうと

ベールに覆われた未知は華やぐ香気を置いて

宿場へ灯る底へ続くという

祖だった爪で抉る土壌を、毒を漏らさずに焚いた


碑にも描かれていた限りない楽園へ行こう。


やおらふくよかな月の兎は今宵紅く隠される

逃れるすべもなく、しかし見る影もなく

眠りに堕ちるべき、一閃を描いたものだ

ギルドで弄られた暗唱が訛声と重複するメモライズを


信じてみれば、猶更「渦苦。うずく


水面が穢れていく、君が流したもので

僕のそばから逃れられないように

満たされていく、不浄にも纏わる彩は

どこへも暮れ泥まないように

無情にも静謐により近く、聖櫃にはまだ遠く


この「処」に、わたしと擱いたのだ


ひかりだけが灌ぐ地で赤子だけを芽吹かせ

わたしもかれもいない砂漠のオアシス

足蹴にされた者たちの嘆きの歌

寄せては返すみなぎわを思い返せば

そこはかとなく、砂塵と消える Under

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