そのなつのさかり
予報は当然雨漏りで、つまらない幽楽町にぶらぶら落ちる。うちがわの冷風と耽り 身震いした秋空には、たかいたかい青が栄えて這えた。急に視界を横切った紅葉が 頬を緩ませて契り初め、酷く冷たくなった手を取って歩き尽して 永久にはらはらする。木の葉が舞ってゐって それが君に悪戯しただけだってさ。
此処は栄華の一幕にもならないほど、あたかもつまらない顔をして突き出しただけの 風の噂、ショーウインドーには つまらないひとびとがただ映り込み こちらも見ずに消えてゆくものです。
こうして生々しい嵩は錆びついてしまう。ただ 降り止まぬものを隠すために、袖にかけたモノは開かぬ華、幾重も巻き付いたような、臙脂の番傘。であるからして……
恋人まがいのコケティッシュ 小花柄の浮世絵がきっと眩しい。あたかもきみは飾りの役割を果たしている。真新しいタグを未だ外せずに 初々しいぼくときみが 何処へ繋がれて行くのか 映し出す風景に溶け込むことも適わないほど雑じり遇う。
通り過ぎるだけのときに浸るトワイライトすら未だ行先もなにも決められずにいて。
いくども、咎めるものもいない。相合傘の元で隠れ何をしようが。まだ早い。あたたかな灰の雪が私色に染めるように、祈りを捧げるはやはり近い未来だ。
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