Epi62 中間考査がやってきた
男体盛りすなわち大貴盛り。
明穂の強い要望でと言うか逆らうことままならず、結局許してしまい食われました。こんな経験誰もしたことないんじゃないの? って思う。
きっと好奇心が強すぎて、主に下半身に集中してる感じだけど、だからこそ成績がいいんだと思うのが、精神の安定にいいんだろうな。
さっきまで明穂の家に居て、今は俺の部屋のベッドで寝息を立てる明穂。
寝顔は相変わらずの愛らしさだ。食うだけ食ったら満足した感じだけど、この人、一点を除けば本当にパーフェクトなんだけどなあ。
えろえろ大魔王じゃなければ。戦士大貴はえろえろ大魔王に負けっぱなしだ。
家に帰ってきて母さんから誕生日を祝ってもらってた。
俺のために尽力してくれて、家のことも解決してと縦横無尽の活躍あって、出張中の父さんから電話でも祝ってもらって。俺の両親から感謝されまくり。もちろん陽和も感謝してて、ただプレゼントが用意できなかったと。
俺が明穂の誕生日を知ってから、誰にも言わなかったせいで間に合わなかったのが真相。で、母さんと陽和に怒られた。
「こんなに尽くしてくれてるのに、うちでなにも出さないのは失礼すぎでしょ」
まったく言葉もありません。
でも明穂の言葉で収まったと言えば収まった。
「感謝されたくて大貴を好きになったわけじゃないんだけど」
そんな感じで戸惑ってたけど、でも感謝されること自体は嬉しいみたいだった。
きっと明穂はこうやって、実績を積み上げて自信を得てるんだと思う。そう思うと俺も少しは自信をつける行動が必要なんだよね。
みんなが言う「すごい子」の意味。すべては行動力なんだろう。迷う暇があるなら突き進む。失敗しても次を考えて行動するの繰り返しなんだろうな。
とても敵わないなあ。
明穂への誕生日プレゼントは後日渡す、ってことになった。
「大貴からもらったから気を使わなくていいです」
なんて言ってたけど、俺からのプレゼントを聞いたら卒倒すること間違いなし。そして死ぬまでど変態の烙印を押されるんだろう。せっかく陽和とも仲直りしたのに、また振出しに戻りかねない。
だからこの一件は口外せず墓場まで持ってく。
そして中間考査は待ったなしでやってきた。
連日連夜の猛勉強の甲斐あって、明穂曰く総合で上の下くらい行ったはずと。中の上では無いらしい。気持ちの問題だからだそうで。
明穂はどうなんだろう。俺にかまけて成績落ちたりしてないといいんだけど。
「明穂は大丈夫なの?」
「あたし? 学校のテスト程度で躓いてたら大学なんて無理でしょ」
すさまじいまでの自信をお持ちでした。
頭の構造が違うんだと思う。明穂が富岳なら俺は電卓くらいかなあ。スマホとかパソコンにも及ばないよね。
今回の中間考査の成績次第では勉強の仕方を考えるらしい。
「もし上の下なら三年になる前にもう少し、今のやり方で底上げする。仮に中程度だったら予備校とあたしが指導して、学年十指に入れるようにする」
「十指って無理だと思う」
「無理じゃない。学校の勉強なんて所詮決まりきったことしかしてない。要領次第でトップになれる、その程度のものだから」
明穂はそうだろうけど、俺の頭はそれができるように訓練されてないし。
大学受験は学校の勉強だけでは入れない。でも、学校の成績は無視できないから、底上げしておく必要があるのだとか。
三年になったら予備校通いは必須だって。明穂と一緒に同レベルの指導を受けられるよう、今のうちに成績アップを目指す、と気合の入り方が尋常じゃなかった。
「その前に目の前の中間だけど」
「大丈夫だってば。心配しなくても自分で思った以上にこれわかる、ってなるから」
実際に問題用紙を見れば解答が頭に浮かぶとかなんとか。
学校に着くと笑顔で「自信持って」と言われ、背中を押されて教室へ向かった。
教室に入るとみんなテスト前で少しだけ緊張してるみたいだ。
俺に話し掛けてくる人は居ないけど、ところどころグループになってて、他愛ない話に興じる生徒も居るには居る。余裕あるのか、それとも諦めの境地なのか。
そして中間考査が始まった。
テスト期間中は午前中で帰れるから、午後は明穂と勉強する予定になってる。俺が明穂の家に行って勉強三昧だとか。
問題と解答用紙が配られて時間になると、一斉に解答欄を埋め尽くす作業に没頭する。
明穂の言っていたことが現実になってた。
問題文を見ると解答が勝手に頭に浮かんでくる。上手く関連付けられてるのか、順調に埋めていき時間いっぱいで全部埋め終えた。正答率はわからないけど、過去最高のできなのは間違いなさそうだ。
次のテストまでの間、クラス内では「できた?」「そこそこ」とか、「やべーよ」「それなりかな」とか、感想とか溜息とか自信のある言葉が飛び交っていた。
俺はと言えば机に向かって寝たふり。誰も話し掛けて来ないのが普通だから。
明穂と付き合うようになって、明穂が教室に来ると嫉妬と好奇の目で見られることはある。でも、一人の時は誰も注目することもないのは、これまでと一緒だから。
この日のテストが終わると一斉に下校する。
「大貴」
教室に迎えに来るのは明穂だ。
その瞬間、俺と明穂に視線が集中する。
「帰って勉強するんだよ」
そう言って俺の腕を取り教室を後にする。他の生徒の視線を気にする明穂じゃない。問答無用で引き摺られる俺だった。
テスト二日目になりいつも通り一人机に向かっていたら。
「浅尾。お前、三菅さんと毎日勉強してるのか?」
誰だっけ? まさかの俺に声を掛ける人が居る。わりとイケメン風の男子だけど、名前覚えてないんだよね。
質問には一応答えておかないと、生意気だとか言ってど突かれるから。
「やってる」
「じゃあ、成績上がってんじゃねーの?」
「わからない」
「上がらねーんじゃ意味ねーじゃん」
できれば放置でお願いします。
俺に興味を持った、と言うより明穂と一緒ってのが気に食わないんだろうし。
さらに一人追加で加わってきたよ。勘弁して欲しい。
「毎日勉強かよ。羨ましい奴だな。勉強ってあれか? どっちかの家でやってんだろ?」
「まあ。そうだけど」
「入り浸りとかか? そのあと終わったらご褒美とか言って、如何わしい行為もしてんだろ」
「どこが良くてこいつなんかと」
やっぱり嫉妬じゃん。
部活では評価されて居心地は以前より良くなった。でもクラス内だと実績を示せてないから、扱いは以前と変わらないし、俺に対する見方も以前のままだし。
「あの、テスト始まるから」
「なにがいいんだか。趣味悪いよなあ」
「ほんとそれ。俺と、なんて言わないけどさ、もう少しマシな奴いくらでも居るじゃん」
ぶつぶつ言いながら離れていくけど、最初は俺もそう思ってた。今は違うと少しは思ってる。それは小説が評価されたこともあるから。人の心に響く小説が書けてるんだって、そう思えたら明穂が俺を好きだって、そう思える。
テスト期間中、何人かは俺に声を掛けてきたけど、中身はみんな一緒。「なんでお前と」ばっかり。女子は声を掛けてくることもない。男子はみんな嫉妬ばっかり。
嫉妬してるなら自力で振り向かせればいいのに。自分が上だと思ってるなら。なんて口にできる訳ないけど。
明穂には言わないでおこうと思ったけど、鋭すぎる明穂に隠し事は無理でした。
「大丈夫。今回のテストで上の中まで行ってる。それだけでも大貴のクラス内なら、上位に行けてるはずだよ」
「そこまで行ったかなあ」
「成績アップはあたしの功績だとか言うだろうけど、でもね、いくら教えてもよこしまな考えの連中じゃ、成績は上がらないから」
嫉妬して自分が上だと思ってる奴なんて、所詮は人を見る目を養ってない。でも、濁った目をした連中もいずれ気付かされるんだそうだ。自分たちが俺の足元にも及ばない、低レベルな存在だったんだって。
それはコンクールで受賞したり、商業作家としてデビューできたら、の話だと思う。今はまだ下に見られても仕方ないし。
「コンクールの方は絶対受賞するって確信してる」
「そう?」
「大貴のすべてが詰まった作品だよ。評価されない方がおかしい」
だそうです。
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