その日も普通の朝を迎えた。行きつけのコーヒーチェーン店で、とある老女が意味深な呟きをするまでは。
現代の日本で暮らす大学生・沙薇の元に現れたのは、美しきエルフのような男。
得体のしれない男との出会いに舞い上がるほど、沙薇の思考はお花畑ではありませんでした。私が沙薇と同じ立場でも、恐怖のあまり腰を抜かしてしまう状況です。序盤から登場人物に共感できる心理描写が多いので、世界観にすぐ惹き込まれました。
謎の男が誘うのは、沙薇にとって幻想的で懐かしい場所。そして、現代日本の常識が通用しない異世界でした。沙薇が背負った宿命の行方を見届けてください。
これはファンタジーだが、同時に、人間の複雑さを突きつけてくる。
それは別に世界を越えなくても有り得ることなのだ。
ある時には弱虫な人間が、場所を変えると別人のように自信に満ち溢れて。
ある時には媚びを売り姑息な手段をとる人間が、ある時を境に謙虚な姿を見せる。
しかし、本質が変わった訳では無い。
人の別側面を見た時、ある時は裏切られたと思い、ある時は偽善だと吐き捨てたくなる時もあるだろう。
けれど多分、私たちは、全ての姿を見つめられるほど、俯瞰的には観られないのだ。
それすら飲み込み、信頼を築けるか。
……で、もう、作者としても読者としても人間としても試されてるような物語に、いっそ読むのを辞めたくなるほど、これでもか、これでもかって叩きつけられたんだけどさ。
スピンオフがこれってどーよ、アメさんやいwwww