第81話「メイドは根性、そして勇者は絶好調?」


 俺とセリカは先生らしき人を職員室に送り届け今度こそ教室に戻って扉を開けた瞬間やかましい声で出迎えられた。


「「「「「おっかえりなさいませぇ!! ご主人様、お嬢様!!」」」」」


 なんか教室入ったらブッ〇オ〇店員張りの大声でびっくりしたんだが、どうなってんだ?


「違います竹井さん、吉田さん、ハキハキと声を出せとは言いましたが大声出せとは言ってません!! 〇ック〇フじゃないんですよっ!!」


 あ、モニカも俺と同じ感想だったのか……。あそこの店員って自動ドア開くより早く声出す人いるからショップ店員並みに怖いんだよ。


「モニカ。ダメダメですわ。今あなたが指摘した通りですけど」


「申し訳ございませんセリカ様。まだ皆、見習いですのでどうかご容赦を」


 何か見覚えの有る光景だ。昔のモニカを思い出す。よく俺の後ろに付いて来て王城のメイド長とかに怒られていた。そもそもモニカの場合はメイドとしてよりも戦力の方を当てにされて俺に付けられたからな。


「あ~、取り合えず残ってる連中聞いてくれ。生徒会から貧血とかで倒れてる生徒が増えてるから気を付けろって言われたから女子は眩暈とか有ったら遠慮なく言って休んでくれ。以上だ」


「おいおい実行委員さんよ~男子だって虚弱体質いるんだから差別は良くないぜ?」


「うっせ揚げ足を取るな金田。じゃあ野郎も気を付けろよ。いきなりぶっ倒れたらそれこそ洒落しゃれにならないからな、何か他に有るか?」


 どうせ無いだろうし有ってもルリかモニカくらいだと考えていたら後ろの男子が恐る恐ると言った感じで手を挙げていた。


「え~っと、悪い、名前覚えてない。なんだ?」


「うっ、僕は遠藤だ。それでさ秋山、くん。実はこいつ安達って言うんだけど、ぜん息持ちだから……その」


 そう言って隣の男子の肩を叩くと「大丈夫だよ」とか言っているが明らかに顔色が悪くせき込んでいた。


「分かった。他にも持病持ちとか……他は低血圧やら偏頭痛持ちとか有る奴はいるなら名乗り出てくれ」


 そう言うと男女合わせて五人が名乗り出た。案外と体が弱いのが多いな。一応は確認のための奥の手のスキル神々の視点全部丸見えを発動させ五名のステータスを確認した。


「分かった。もちろん五名以外も体調の変化が有った場合は俺に、いや男子は俺に女子はルリ……風美に言ってくれ」


「え? 全部カイにお任せじゃダメなの」


「俺に言い辛い事だって有るだろ。特に女子は、違うか?」


 それだけ言うと女子は気付いたようだ。昔からエリ姉さんはあの日が割と重めで大変だったし女子特有のあれこれを察するものだと教育されていた。だから色々と問題が有るだろうと俺の紳士的配慮だ。一応はこれで問題無いはずなのに、なぜか俺は教室の中で注目の的になっていた。


「な、何だ?」


 俺はホットプレートの用意をしながら背後からの視線に耐えかねて後ろから付いて来た雰囲気イケメンに声をかけていた。


「お前ってリーダーシップ取れるんだな。なんか先輩みたいで、だから驚いたんだよ横暴なだけのクラスの王様、いや勇者様だと思ってた連中はさ」


 つまりどう言う事なのかと聞くと苦笑しながら金田が俺にだけ聞こえるように言った。


「お前のギャップに驚いたんだよ。俺も少し驚いてる。夏休み前と今じゃ月とスッポンだからな」


「つまり俺が大人の余裕と同時に的確なリーダーシップを取って魅力がバレちまったって意味か」


 よく洋画とかで見る肩をすくめるポーズをすると今度こそ金田はポカーンとしていた。俺だってふざけたくなる時くらい有るんだよ。


「お前が軽口言うなんてな……」


「何だよ。別に良いだろうが」


 困って頭をボリボリしていると女子の一団の方からルリが何故かグッと両手の拳を握りしめて口パクで『頑張って』と言っている。いったい俺は何を頑張るんだルリ。


「あの秋山、くん」


「あ? えっと安田だったか」


「安達だよ!! ごほっ、あ、えっと……さっきはありがっ、ごほっ」


「おい大丈夫か。悪いな名前覚えるの苦手で、安達だな。よろしく頼む」


 そう言いながら俺は改めて安達のステータスを見ると『ぜん息(中)』と出ていた。バッドステータスに体力を始め全てにマイナス補正か……仕方ない。


「背中さするぞ、大丈夫か」


 そして俺は回復魔法とさらに異常個所を確認、医療魔術を彼の制服にかけた。これでほぼ完治するだろうと再度ステータスを確認すると一瞬で完治していた。少しやり過ぎたかも知れないが、まあ大丈夫だろ。


「げほ……あ、あれ? 落ち着いた。ありがとう……」


「気にすんな。体調悪くなったら俺かルリ、じゃなくて風美に言えば良いから」


 不思議そうな顔をしている安達を置き去りに俺は黙々と準備をしようとするが背後の視線が痛い。恐る恐る振り返るとそこにはニッコリと笑顔なセリカが居た。


「……家に帰ったら何言われるのやら」


「どうした快利? あとクレープの作り方で質問有る奴がいるんだがいいか」


 こんな出来事の後から金田を通して少しづつ俺への質問者が増え出した。そんな日々が数日続いて文化祭まで残り二週間となった朝にそれは起こった。





 朝のホームルームの時間に学年主任と教頭に連れられて来たその人は二人の教員が去ると改めて自己紹介をしていた。


「俺は工藤彰人、担当は日本史だけど社会科全般も臨時で担当する。そして今日からは君達の担任だ」


「本当に先生だったんだ。しかも担任か」


 セリカを顔を見合わせると後ろのルリも椅子を蹴って来て「どう言う事?」と疑問符を浮かべていた。一方でモニカは黙々とノートに何か書き込んでいるから横から覗き込むと『メイド強化メニュー(地獄編)』と物騒な単語が載っていた。


「色々と不安が多いかも知れないが今は文化祭を頑張って成功させよう。そのためには皆の名前と顔を一致させたい。だから自己紹介をして欲しい」


 入学式とか始業式のような不思議な始まり方だが俺にとってはチャンスだった。俺もこの機会にクラスの人間の名前と顔を一致させるのだ。


(なるほど大体分かったぞ名前と顔が一致して来た)


「それで、だな。皆は嫌な思いをするだろうが聞きたい事が有る。このクラスでイジメが有ったそうだね」


 工藤先生が言った瞬間クラス中が静まり返った。しっかりとクラスの現状は引き継ぎされたようだ。でも確かポイズンドラゴンに憑依された元担任はイジメを隠していたはず。それがどうして知られているのだろうか。


「学内で公開された動画でイジメを自白するような動画が見つかったそうだね。そしてその生徒は停学中とか」


 そんな動画なんて有ったか? と、俺が考えていると後ろから椅子が蹴られて振り返るとルリが俺の背中にくっ付きそうな距離まで机を近付けて耳元で囁いた。


「動画ってフラッシュちゃんとガイドさんが公開したのだよね?」


「多分な。そう言えば河西兄妹に盗撮返しした時の動画内で俺をイジメてたって証言してたな……あれか……」


 しかも生徒会も俺のイジメは把握していてエリ姉さんが教室で俺のクラスを糾弾したとなれば校内では完全に周知の事実。それでも外部に漏れないように必死に工作したのはさすがは評判を気にする進学校だ。


「もし、まだ遺恨があるのなら――――「ありませ~ん!! 全然無いでっす!!」


「「「「えっ!?」」」」


 こうなった以上仕方ないし良い機会だ。それにいい加減に面倒になって来た。本音は今でも放っておいて欲しいんだけど周りがそれを許さない。これも元勇者の宿命なら解決するしかなさそうだ。


「君はこの間の……遺恨は無いと言うけど被害者本人に聞かないと」


「なら大丈夫。俺がイジメられてた秋山快利で~す。せんせ」


「なっ、君が……本当なのか!?」


「今、自己紹介したじゃないっすか。ちなみに主犯は俺の後ろで震えてるルリ、じゃなくて風美さんです」


 そう言って俺はルリの方を見ると立ち上がった後にビクッとして俺の背中に抱き着くようにして隠れていた。何かこの状態のルリを見てると中学の頃を思い出す。


「はっ? いや、でも……どう見ても被害者と加害者が逆じゃ」


「カイ……」


「大丈夫だから、な? ちなみに動機を含めて詮索はご遠慮頂けると幸いです」


 まさか自分に嫉妬した挙句に暴走しただけなんて動機を赤の他人にはバラされたく無いだろう。ただクラスには半分バレてるから、そこはルリへの罰と言う事で受け入れてもらおう黒歴史というやつだ。


「いや、だが……君はそれでいいのか?」


「先生が一学期から居てくれたら違う未来も有ったかも知れないけど、俺は今の状況で満足してますから。な? ルリ?」


 そう言うと俺は背中に隠れたルリの頭をポンと撫でて安心させるように言った。


「で、でもカイ、やっぱり私……」


「そうだな。じゃあ今日は久しぶりに罰を与えるか? 夕食の買い物を付き合って貰って後は家で新メニューの試食とかどうよ」


「じゃ、じゃあ今日はお家デートだね!! やる気出て来た!!」


「ああ、どうせ慧花も来るだろうし、ルリだけけ者にしたら拗ねるだろ」


 そう言ってルリは俺の腕を掴んで今夜の夕飯のメニューの話をしていたら後ろから咳払いをされた。


「何か怪しいんだが俺には付き合いたてのカップルにしか見えないぞ……」


 工藤先生の発言にルリがとどうやったら空耳になるのか分からない空耳で騒ぎ出して俺が抑えていると今度は前の席の金田が立ち上がった。


「いや、先生。全部本当なんです」


 そして金田はこれまでの経緯と自分もイジメに加担していた事を告白した。


「――――と、言うわけで秋山の、快利の言う事は全部本当です」


「……それで今は秋山くんとクラスが対立している……と……」(こんな複雑な状況なんて聞いてないぞ会長代理。ターゲットがイジメられていたのも初耳だ)


 なんか工藤先生の顔が面白いくらいに百面相になっている。善意でイジメ問題を解決しようとしたら既に終わってて、逆に俺がクラスを掌握してたなんて思わなかったのだろう元勇者を舐めるなよ。


「ま、そんな訳で主犯はこの通りですし、クラスの奴らは分からせてる最中なんで大丈夫です先生」


「あっ、ああ、そうか。それにしても……君達は……」


 そう言って俺とルリを交互に見た後に工藤先生は頭を抱えていた。今の説明では不服だったのだろうかと見ると今度は溜め息を付かれた。


「何すか、俺はルリを許してるんで、これ以上はちょっと……」


「いや、違うんだ。昔の教え子が君達に似てて、それを思い出した。ま、まさか君達は幼馴染じゃ無いよな?」


 俺達みたいだったとはどう言う意味なのか、それと幼馴染と何の関係が有るのかと疑問に思ったが今はそれよりも目の前の教師に言うべき事が有った。


「いや俺達は同じ中学からの付き合いです。それと工藤先生ありがとうございます。他の連中は隠蔽しようと必死で正面から俺のイジメを解決しようとしてくれたのは先生が初めてです。だから改めて感謝します」


 俺が今言った事は一言一句違わず本音だ。俺の周りの人間は誰も手を差し伸べてくれなかった。だけど目の前の教師は初対面に等しい俺のために普通は絶対に避けるような話題を最初にぶっこんで来た。

 嫌な事から逃げずに正面からぶつかる。簡単なようで中々出来ない事だ。それをこの人は躊躇せずに行った。だから俺は尊敬の念を抱き思わず頭を下げていた。


「そんな事は教師として当然だ。だがクラスの皆に不快な思いをさせたのも事実。そのお詫びに残り三十分は自由時間だ。じゃあ残りの話は帰りのホームルームで」


 それだけ言うと颯爽と去って行く工藤先生を俺は見送った。後に残ったのは沈黙だったが俺の心は晴れ晴れとしていた。クラスの連中は罪を見せつけられたのかも知れないが俺にとってはこの学校で初めての救いだったからだ。





「つ~わけで文化祭頑張って行こうぜ!!」


 そんなわけで放課後から俺のテンションはマックスだった。


「なんか実行委員がやる気満々だな」


 そりゃそうだ、あの新しい担任は信頼出来る人だ。ただの人間なのに正義感と使命感を持って教師をやっている。あんな大人を俺は初めて見た。


「ただの人間であんなに勇気を持って目の前の問題に挑むなんて……カッコいいに決まってるだろ」


 俺は勇者、いや元勇者でチートを手に入れたからこんな傍若無人な振る舞いが出来る。だけど工藤先生は違う。まごう事無きただの人間だ。つまり自分の力だけで解決してきた本物の英雄だと俺はそう思った。


「ただの人間て……まるで自分は違うみたいな言い方だな快利」


「俺は王様改め勇者様だからな一般人と一緒にすんなよ」


 俺が言った瞬間に工藤先生が盛大にゲホゲホと咽ていたのが気になったが俺は放課後の日課になったクレープの生地作りを開始した。


「お前って本当に料理とか出来るのな……改めて見せられると不思議だわ」


「実は俺も慣れ始めたとこだ。料理の方はそこそこ自信有るけど、お菓子作りは慣れてないからな」(スキルの補佐が無ければキツイんだよ実際)


 当然ながら俺の普段の料理は自分の腕だがオートスキルでバフがかかっているのも有る。料理スキル(宮廷レベル)は伊達じゃないのだ。向こうのシェフから教えてもらったものだからな。


「うわっ、ダメだ焦げた」

「こっちも薄く伸ばせない」


「失敗したのは勿体ないから食べていいから、キチンと処理しろよ」


 そんな感じで少し多めに用意しておいた生クリームやらフルーツも使わせてクレープの試食も男子連中にさせていたらドアが開く。見るとモニカを筆頭にルリと数名がメイド服を着て帰って来た。


「音楽室で所作と発声練習をしていたのですが吹奏楽部の時間になりましたので戻りました快利兄さん、今は休憩中ですか」


「違うよ。失敗したクレープの処理中……ってルリどうした」


「私達、皆メイド道で疲れ切った女子だよ……今クレープって聞こえたんだけど」


 俺の手元のクレープを見てゴクリと生唾飲むルリと女子一同。なんか目つきがヤバイんだが……俺だって女子にスイーツが特攻なのは聞いた事が有るのだがここまでなのか。


「練習で失敗したやつとかで良いなら食べるか」


 そこからは早かった。失敗作はそこまで多くないから結局は模擬店の練習として作る事になり男子一同は失敗しながらもクレープを焼く機械と成り果てた。そしてそれを貪る女子一同、だが結果的にこれは正解だった。


「お前らかなり上達したな。てか生地焼くだけなら俺より上手いの何人かいるし」


 モニカのメイド修行地獄編を越えて来た女子達の食欲は凄かった。厳しいアイドルのレッスンを受けてるはずのルリも軽く汗をかくほどだったらしい。だがそのオーダーを捌くのは男子の練習にもなった。


「カイ~、次はバナナじゃなくてイチゴ~」


「ルリ。そんなに食べると夕飯食えなくなるぞ」


 ルリはもちろんメイド修行の指導をしていたモニカや魔法でズルしてたセリカも三人揃って俺の周りで雛鳥のように口を開けて待っていたから大忙しだ。


「やはり指導側もカロリーは消費するのです……ふふっ」


「まさか私までメイドの真似事をするなんて、でも手を抜いてるわねモニカ?」


 バレないように時間魔法を使って調理スピードを上げているがこの女共め次々食べやがって、ルリは二つ目でセリカも同じ、モニカは一つ目のイチゴを食べて最後にエリ姉さんにチョコバナナ……って待て何か増えてる。


「快利。お姉ちゃんは、おかず系クレープが好きだ。やはりガッツリした物をだな」


「エリ姉さんはサラッと混ざらないでね。てか何で来たの?」


「ふむ……チョコバナナか、だがウィンナーやツナやレタスなどもお勧めだぞ?」


 どうしよう質問に答えてくれないぞ、この姉。とにかく口を開けてる姉さんに余り物のバナナを突っ込むと妙にエロティックな顔をしたからクラスがざわめいた。


「んぐっ……ぷっは、いきなりお姉ちゃんに極太バナナを突っ込むとは快利も鬼畜になったな。私じゃ無ければ吐き出していた」


「はいはい。ごめんエリ姉さん。それでどうしたの」


 そこで帰宅時間だと言われて外を見るとすっかり陽は落ちてクラスメイトらに急いで帰るように言って正門が閉まる前に全員でダッシュをしていた。ぜん息の安達が走っても症状が出ないと不思議そうにしていたが次の定期健診とかで分かるだろう。だがこれがまたしても面倒な事態になるなんて思わなかった。





 いつもより遅く帰ると既に帰宅していたユリ姉さんと慧花が料理を作って待っていた。夕飯の買い物が無駄になってしまったが時間的にアウトだったしルリには次回にしてもらい今は皆で食事中だ。


「ですから快利も安易に魔法を使うのは――――」


「悪かった。ま、良い事したんだしさ。それよりモニカのメイド修行はどうよ」


 昼の回復魔法のことで俺はセリカから説教されて話題から逃げるようにモニカに話を振る。まだ不満顔のセリカを横目にモニカは上の空だったが俺に気付いて口を開いた。


「何と言いますかこの世界の人間は体力が無さ過ぎます。部活動をやっているとか言う人間ですらあの体たらく。瑠理香さん以外は付いて来れてないです」


 メイド修行で礼儀作法はそれほど問題無かったらしいが体力作りの方が全然ダメだったらしい。


「メイドに体力は必要だけどさ、文化祭だけなんだし、な?」


「そう言われればそうなんですけど、やはりこの世界は鍛え方が足りないのでは?」


 モニカが言うには向こうの世界とは違って色々と恵まれているこの世界、特に食糧事情などは圧倒的優位なら鍛えていれば一般人の平均体力は上だと言うのだ。


「いいかな。確かにモニカの言う事も分かるけどまだ高校生だろ? 私の働いてる店なんかの先輩は皆、体力自慢で腎臓は強いお姉様ばかりだ」


「そりゃ慧花のとこは仕事だからな……てか今日は良いのかよ」


 聞くとシフトは明後日で今日と明日はサークルとレポートで忙しいらしい。自分の分は終わって今はユリ姉さんを手伝っているらしい。


「あぁ、何か悪いな慧花」


「気にしないでくれ。君とこうして会える口実になるなら安いものさ」


 そんな話をしながらモニカの顔はやはり晴れない。何か引っかかってるようだが、これ以上は俺には難しい。それに本当にマズイ事態になった時のために俺が居るから大丈夫だろう。


「ま、俺がいればヌルゲーだしな」


 しかし俺は忘れていた。俺がこんな事を言った時は高確率でフラグが立つと言う事実を、俺は自らヌルゲー(世界を何度も救った勇者基準)のフラグを立ててしまったのだ。

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