第3部『元勇者の過去と来訪者との邂逅』

第31話「夏と言えば海だろ?どうして山なんだよ!!水着見れないじゃん!!」




「え? 母さんが職場復帰?」


「そうなの快くん、実はエリちゃんには前から相談してたんだけど」


義父とうさんの会社がまた慢性的な人手不足らしい。そこで母さんに、また復帰してもらいたいそうだ」


 夏休み三日目の昼に俺は家族会議で突然の母さんの職場復帰を聞かされた。元々母さんは、のほほんとした性格なので忘れそうになるけど親父と再婚するまではバリバリのキャリアウーマンだった。俺が小学生までは家で料理以外の家事をし、中学の間は仕事に戻り、そして今度は俺の高校入学と同時に家に戻ってくれていた。


「本当はもっと早くに戻る予定だったんだけど快くんとユリちゃんの事が心配だったから晃一さんに待ってもらってたの」


「え? 俺とユリ姉さんって……あぁ、そう言う事か」


「あぁ、その……快利と私は……」


 会えばクズだのアホだの言われていたのが約三週間前、そこから一気に関係改善をした俺とユリ姉さんだけど、母さんによると俺が高校生になって家に戻ったのは俺とユリ姉さんの関係の変化に気付いたからと聞いた俺は驚いていた。


「出来れば中学の頃に気付いて欲しかったよ……」


「実はね……気付いては居たのよ? でも、そのぉ……晃一さんがね。『快利なら何とかすんだろ』って言うから中々お仕事を休めなくて、ごめんなさいね快くん、ユリちゃん」


「あ~、うん。いいよ。最終的にはユリ姉さんと仲直りも出来たし、だけど親父の野郎はいつかぶん殴るわ」


「やめなさい。あんたがやると洒落にならないから、良いわね?」


 ユリ姉さんが焦り気味で注意して来るけど別に俺も本気では無いけど親父には色々言いたい事が有るから、てか最後に会ったのは体感では七年以上前になるけど、今の時間なら爺ちゃんの葬儀が最後じゃないのか?それでも半年以上は会ってない。


「ダメよ快くん。晃一さん昔は柔道で鍛えてたからって言ってたから怪我しちゃうかも知れないから危ないわ~」


「ええ、そうね……確かに危ないわね」(快利がキレて義父さん消滅させたら……)


「快利、抑えるんだ!! 取り合えず一度落ち着くために明日お姉ちゃんとデートをしよう!!」(私とデートをさせて忘れさせよう!! 我ながら完璧な作戦だな)


 親父には色々と恨みが有るから一回くらい瀕死にしても良いよね?大丈夫、蘇生も仕方ないからしっかりやるから。な~んて邪悪な事を考えていたらエリ姉さんとデートになりそうな事態になっていた。


「えっと、それは、いいとして……」


「うむ、それで良いんだな? では場所はどうする?」


「え?」(どうしよう、日本語が難しい)


 気付けば話が、とんとん拍子に進んでいて明日は俺とエリ姉さんはショッピングモールにデートと言う名の買い出しに行く事になった。いつものスーパーじゃなくて駅前は色々と高いから嫌だな、とか思っていた。


「それで? 母さんは仕事復帰は結局いつからなの?」


「八月からって言われてるわ~。だから皆の予定を聞きたかったの」


「って言っても俺ら三人とも夏休みだよね?」


 と、聞いたら意外にも二人とも予定が有るらしい。ユリ姉さんは夏休みの間に車の免許を取るらしい、ちなみに合宿は怖いから嫌と言って九月までで取れるだけ教習を受けながら大学でサークルに参加するようだ。

 ユリ姉さんを悩ませていた連中も大学には、あれ以来姿を見せてないらしい。ちなみに件のイベサー関係者や咬真瀬乃家の面々は父の弁護士は、なぜかビル倒壊で壊れたと思われたPCなどが綺麗に復元され、しかもパスワードやロックまで解除されており、あれから数週間くらいで立件され他の関係者も同じような状況らしい。


(ま、俺が全部やったんだけどね。目立つとこにPCとか書類とか置いておいたからな……役に立ったなら警察の皆さんお疲れっす)


 そしてエリ姉さんは今年、てか来年だけど受験、つまりは受験生だ。部活の方は一応は夏で引退らしく夏期講習がメインになるようだ。もっとも基本は自宅でPCの授業がメインで土日以外は家での勉強らしい。しかし、エリ姉さんは今までの模試でも全国でも上位レベルである程度の国公立はもちろん学部を選ばなければ有名私立ならどこにでも入れるレベルは有るらしい。


(羨ましい、俺なんか必死に頑張っても上の下が限界だよ)


 そんな感じで俺以外の二人は夏休みもそれなりに忙しいらしい。そして俺はと言うと何をするか悩んでいた。ボケーっとしていても仕方ないし、かと言って今の俺には魔物討伐や魔王退治なんて出来ない。てか、そんな事やりたくない。やっとこの現実の世界に帰還したんだから今度こそ俺はヌルゲーの人生を過ごしていくんだよ。この間の魔王戦は例外なんだ。





 俺は自室に戻ると明日のエリ姉さんとのデートの事を頭の片隅に追いやりながら、ここ最近は魔法や魔術は一切使っていない事を思い出し密かに自分を褒めていた。やはり日常的に魔法や魔術を使うのは危険だと感じた事と、そもそも俺の肉体能力なら余程の事件でも起きなければ使う必要も無いからだ。

 しかし同時に不安もあった。俺は一度勝った相手に負けそうになったからだ。仮にも元とは言え勇者だった人間が大事な人達を守れなくなりそうになったのは問題だ。


「勝てたのは魔王が俺の体の一部しか使えてなかったから、本来の俺のスペックの半分以下だから……問題はその相手にですら苦戦してたって事だ」


 そうなると肉体能力そのものを鍛える必要が有る。こう言う時こそガイドに聞くべきなのだが魔法を起動しないと奴は緊急時以外は目覚めない設定にしているので魔法に頼らず過ごしている最近は奴とも話してない。


「それが普通なんだけどな……こっちの世界では……ね。さて、取り合えずエリ姉さんに何か言われる前に夏休みの宿題を少し終わらせるか」


 だが俺は魔法を使わないと言う、このカッコつけの行動を後悔する事になる。そしてこの後に俺は常時魔法を起動しておく事を考えるのだが、それは少し先の話で、今はエリ姉さんとデートとかどうれば良いんだろうと考えてその日は過ぎて行った。





「よしっ!! 快利!! 母さんから福引券もしっかりと貰ったぞ!! 狙うは三等の米30キロだっ!!」


「何言ってんだよ姉さん!! ここは一等のP〇5でしょっ!! 俺まだ買えて無いし抽選も外れてたんだよ!!」


「え~、二等のル〇バにしときなさいよ八月から母さん居ないのよ? 掃除とか家事は誰がするのよ?」


 そんな俺達だったけどユリ姉さんは今日は母さんと留守番だ。俺はエリ姉さんと連れ立って駅前へと急いだ。〇S5のために!!まず最初は買い物からだ。母さんから貰った福引券は全部で二十枚弱なのだが少しでも確立を上げるために買い物をして券を増やしてから行く事になった。


「ふむ……なるほどな」


「どうしたの? エリ姉さん?」


「ああ、食材を見て今夜のメニューを推理していたんだ。人参、ジャガイモ、そして玉ねぎ、つまり今夜はカレーだな!? 快利!!」


「え? 違うよ? 肉じゃが……」


 露骨にしょんぼりするエリ姉さん。なんか今日はいつも以上にはしゃいでる気がする。俺の知ってるエリ姉さんは最近は何か抜けてる感じが多い気がするけど基本的に文武両道で眉目秀麗な感じだ。

 容姿端麗で無いのが姉さんらしいとは思う。つまり美人では無くイケメン、カッコいい部類と言った方が分かりやすい。でも今日はどちらかと言うと無邪気と言うか。


「なんか可愛い?」


「何でそこで疑問系なんだ!? 快利!! 私だってな……女なんだぞ……それに人生初デートなのだ。こんなテンションにもなる……」


「え? エリ姉さんて初デートなの? そんな美人でイケメンなのに?」


「快利……あのな、そもそも私は、この間まで自分に親衛隊が居る事すら知らなかった。一応は告白された事はあったさ……ただし女子限定でな」


 興奮したかと思えば今度は自嘲気味に乾いた笑いで項垂れるエリ姉さん。俺の中でのエリ姉さんの印象は常に厳しくて姉と言うよりも父親とか兄と言うイメージを抱いていた(なお揺れる胸を除く)。


「意外だな……俺はてっきり女子からも男子からもモテモテだと思ってたよ」


「男か……正直に言うと虫唾が走る。私はユリ姉ぇとは違って男が苦手なのでは無くて嫌いなんだよ」


「うん。少しだけユリ姉さんとかに聞いたよ……色々あったって」


 過去の母さんの離婚に関係してるんだろうか。今の母さんには当然聞けないしユリ姉さんに少しぼやかして聞かされた程度だ。そもそも過去のトラウマなんて聞き出して今のこの改善された良い関係が壊れるのは俺だって怖いし嫌だ。


「だ、だがな、快利!! お前だけは特別だからなっ!? そこは勘違いするなよっ!! お前は嫌だったかも知れないが私は、お前のためを思って――――」


「分かってるよ。いや正確には分かって来た……かな? 少なくとも勇者になる前の俺は分かってなかった……でも今ならエリ姉さんの事少しだけ分かるよ」


「そうか……そうかっ!! 良かった。あ、今のお前なら――――「だ・け・ど、一般人の、それも対して鍛えてない人間にあのトレーニングは虐待って言われても仕方ないんだからさ、それは理解しよっか?」


 そう言うと少しシュンとしてしまった。だから俺は思わず頭をポンポンと撫でてしまった。ある意味癖なのだが、これはユリ姉さんにはあまり評判は良く無かった。そしてエリ姉さんのリアクションはユリ姉さんと違っていた。


「っ!? くっ!!」


「えっ? エリ姉さん?」


 いきなり振り返ると俺に対して明らかに強い殺気のようなものを放って振り向き様に裏拳を入れようとしてきた。それを軽く受け止めると今度は反対の腕で肘鉄までしてきたからそれを体を捻って軽く避けてバランスを崩して倒れそうになったエリ姉さんを後ろから抱きしめるように支える。


「はぁ、はぁ……あっ、す、スマン快利。その……頭を撫でられたりするのは慣れて、無くて……だな……初デートでは、レベルが高いな……ははは」


「ご、ごめん。何かユリ姉さんも嫌そうだったのに気付かなくて、今度からしないからゴメンね? エリ姉さん?」


「い、いや私の方こそ、本当にゴメン……」(快利なのに、男に触られたと思うと無条件に……何をやっているんだ。私は……)


 お互い少しギクシャクした変な空気になってしまったけど取り合えずは買い物を済ませたりして福引に行く前に軽く昼でも食べようと話を上手く切り替えて駅近くのファミレスに二人で入る事になった。


(って待てよ。そもそも俺はデートで食事なんて某マク〇ナ〇ドくらいしか行った事が無いぞ……エリ姉さんも初めてのデートなんだしここは俺がリードを……)


「私は今日はガッツリ行きたいからハンバーグ&カットステーキのセットでライスは大盛りで、ドリンクバーは今日は長居はしないから必要無いな……快利? お前はどうする?」


「へっ? え、ええっと……俺も腹減ったから同じ物で……」(今の慣れてる感じの注文は……こっちはファミレスなんて来たのは初めてなんだよ!! 一人で入る事なんて無いし、友達なんて居なかったからなぁ……泣きたい)


「え? 良いのか? では以上で……よし、私は水を持って来よう」


 そう言うと颯爽とセルフサービスの水を取りに行ってしまった。そして周りを見るとエリ姉さんの天性のスキルのような微魅了で周りの人がチラチラ見ている。昔ならともかく今の姉さんは俺の作ったシャツのおかげでこの程度の視線はものともしないはずだ。


「それにしても姉さんはよく来るの? ファミレス?」


「ああ、そうだな生徒会のメンバー、ま、あいつら二人とは良く来ていたよ……その、色々と相談に乗ってもらっていてな」


「相談? 姉さん一応言っておくけど片割れは元四天王だから」


 そう言うと姉さんは頷いて「分かっている」と言ってその上で自分なりに二人を監視していると言った。


「そんな危ない事、いざとなれば俺が助けるけど――――「私はっ!! ユリ姉ぇの時も気付けず、瑠理香の時は震えて戦いの場に出られなかった。そして何より快利、お前の忠告を聞かず奈之代と瑠理香と乱入し、お前の戦いの邪魔をしてしまった」


「確かにあの時は少しイラっとしたけどさ、もう気にして――――「情けなかったんだ。散々お前達を守っていると思っていたのにこの体たらく、これでは私は……」


「う~ん……エリ姉さん? 良いかな?」


 そう言って俺はエリ姉さんを見た。自責の念に駆られているように見える。責任感の強い姉さんだから分からないでも無いけど余裕が無いな。だから俺は口を開いた。


「な、なんだ?」


「取り合えず飯も来たから食べよう!! 俺、ファミレスとかエリ姉さんと二人で来たの初めてだしさ~」


「ああ、そう言えば快利と二人きりで食事なんて初めてだな……いつも、お前の手作りだったからな……」


 その後の会話は和やかに進んで行った。学校生活の事も最近は話すようになった。前は黒幕会長たちに聞いて俺の動向をチェックしていたらしいが今は家族で話す事が多い。二人の姉さん達と話すようになってから分かったけど二人とも意外と性格は不器用だと言う事だ。だから俺は食事が終わって席を立つ前に言った。


「エリ姉さんはさ、カッコいいと思うよ?」


「なっ、ななななにをいきなり言うんだ快利よっ!?」


「だけどさ、俺、こう見えても精神年齢は姉さん達より上なんだよ? 体はこんなんだけどね? だからさ……これからは俺を頼ってよ!? もう姉さん一人を矢面に立たせはしない!!」


 そうさ、矢面に立つのは勇者である俺の仕事だ。もっとも俺は元勇者だ。だから国中の世界中の人の矢面に立つ気は無い。本当に大事な人のためだけに立つべきなんだと俺は、この間の魔王との戦いで気付いたんだ。


「快利……お前……」


「この間は不覚を取りそうになったけど、もう大丈夫。エリ姉さんもユリ姉さんも俺が守るから……だから気にしないで、たまには俺を頼ってよ」


「えっ、だがっ……私は――――「俺の経験談なんだけどさ、人間一人じゃやれる事に限界が有るらしいんだ。俺も昔、調子に乗ってさ、一人で突っ走って色んな人に迷惑をかけた……それで、ある人に言われたんだ」


「何を言われたんだ?」


「それはね『方法は二つ、圧倒的な力と知力と勇気を持つ者になるか、困った時に助けて貰えるような人徳が有る者になるかだ』って言われたんだ」


 今は亡き、いやこの過去改変後の世界なら俺が介入していない別時間軸の世界で生きているかも知れないある人の言葉だ。


「快利はどうしたんだ?」


「俺は、ほら勇者でしょ? その失敗を糧にさらなる強さを追い求めて一つ目の方法を選んだら、ご覧のように化け物のような人間になって最後は嫌になって逃げだしたわけ、だからエリ姉さんには俺のようになって欲しくないから俺や周りの人を頼って欲しいんだ」


「そうか……私は、頼っても良いのか?」


「当たり前!! 少なくとも姉さんの体感で言うと三週間、いや、もう一ヵ月前くらいかな? その頃とは全然違うでしょ? 頼れる義弟になりましたよ!! それにユリ姉さんも少しづつ変わって来たでしょ?」


 料理も作れる物増えて来たしね。師匠である俺も鼻が高い。今度こそピンク色のエッチなメイド服を着てもらおう!!実は青い方は一度だけ見せてもらった。ユリ姉さん見た目だけは良いからなぁ……。


「快利、私はすぐに生き方を変えるのは難しい、お前やユリ姉ぇのように上手くは出来そうにない……だが、変わりたいと思う。その時は……私を……助けて……」


「もちろん!! 姉弟きょうだいだからね!? じゃあ、いざ決戦の福引へ!!」





 カランカラン!!福引コーナーのお姉さんがハンドベルを鳴らしたのは、エリ姉さんが三等の米30キロを引いたのでも、俺の欲しかったP〇5でも、ルン〇でも無かった。そう、エリ姉さんが三回目のガラガラを回して出たのは……。


「特賞!! 特賞出ました!! 特賞は『三泊四日の秘境の温泉付きペンションへの旅行券で~す!!」


「と、特賞だと!! 快利!! 私はやったぞ!! やったぞ!!」


「いやいや、何が特賞なんですかね? 普通は旅行券でしょ? なんで行き先を指定されてんの? しかも夏なのに温泉だし? あと何でペンション?」


 そこでテンションMAXのエリ姉さんを無視して福引のお姉さんに話を聞くと特賞は本来は豪華海外旅行券だったらしいのだが一等のP〇5を手に入れるために無駄に金と労力がかかってしまって、姉妹都市の空いてる別荘を使って食材だけ豪華にして誤魔化そうとしたらしい。


「うちの企画も予算不足でして、でも良いとこですよ!! うちの実家も有るんで!! 空気は美味しいですよ!!」


「はぁ……ま、エリ姉さんも喜んでるし取り合えず貰って行きますね……それとあと21回分は福引券有るんで回しますね?」


 その後、俺は5回分ガラガラを回して六等のお菓子の詰め合わせを2個と八等のポケットティッシュを3つ、そしてエリ姉さんなのだが……。


「よっし!! 米は私が頂いて行く!! やったぞ!! 快利!! 三等は手に入れたぞ!! ハハハ!!」


「う、うん。凄いね……さすがエリ姉さん……」(執念が運を呼び込んだのかな?)


 残り全てがポケットティッシュだったが最後の一つで三等を当てる快挙を成し遂げた。こうしてこの日、秋山家に福引の景品の特賞と三等を持ち帰る事に成功したのだった。そしてこの特賞の旅行で俺は再び自分の過去と向き合う事になる。だけどこの時はまだ誰もその事を知らないし、知る事なんて出来なかった。


「でも行き先は山奥のペンションとか……普通こう言う夏のイベントは海じゃないのかよ……」(今の俺なら水着の女の子を、てか姉さん達の水着姿だけでも……山じゃ無理だよなぁ……)


「そう言うな快利よ。たまには山も悪く無い……そもそも快利と旅行は初めてじゃないかっ!? ふふっ、楽しみだなぁ~!!」


 俺はこの時は魔法も何もかもを起動していなかった。とは言え普段の俺なら気配くらいは気付くはずなのだが気付けなかった。俺も存外、浮かれていたのだろう。


「ふ~ん。そう言う事……ありがとうございます。え? 違いますよ~? 似ているってたまに言われますけど髪の色とか違いますよね? じゃ、これで!!」


 少し大き目のサングラスをかけた茶髪に近い明るい髪をショートボブにした少女が俺達を後ろから見ていたなんて気付かなかった。そしてその少女はニヤリと笑みを浮かべると踵を返しスマホでどこかに連絡をしていた。


「うん。そう、せっかくだから合宿の場所は山が良いと思うの、ええ。詳しい話は聞き出して……ううん。こっちの話。じゃ、明日またレッスンで!!」


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