第18話「全部俺の思うままに、動いたら何か変なのが釣れたんですがそれは」


「ガイド!! エラーが無いかもう一度確認しろっ!!」


『エラー無し……風美瑠理香の生体反応有りません』


「どうしてっ!? 俺のスキルのがされてるならアイツが死ぬわけ無いだろうがっ!! 俺のスキルの効果が付与されているはずだっ!? あっちの世界でもそうだったろ!!」


 そう、以前にゲーセンで姉さんには最悪の保険はかけて有ると言ってた保険がまさにこれだ。俺のスキルの付与。こっちの世界に戻ってからは家族の三人と一匹、そして風美にしか付けていない。エリ姉さんを分子分解しそうになった時に範囲を変更したのは何もスキル効果の反作用的なダメージを受け無いようにするだけじゃない。


「勇者のオートスキル全てを対象者に付与するっ!! そう言ったよな!? お前が!! あの決戦の朝に!!」


 ユリ姉さんから壁ドンされるけど今は構っている暇なんて無い。でも少し冷静になれた。喋らないで頭で考えろ……落ち着け。


(落ち着け……るっ、風美が……いや、今はそれよりも……オートスキルの事だ)


 オートスキルを付与する――それの意味することは、俺の聖なる防壁何でもガード勇者の凱旋ただいまなどの全てのオート発動系スキルを対象者に付与する。使用者本人が危険と感じた場合や悪意にはガードもそれに凱旋のオーラが俺を経由して供給され発動する。

 他にも細かいオートスキルは有るが主なスキルはこの二つで、これだけあれば交通事故にも遭わない(触れたら分子分解)、まして敵対する者に襲われたら相手が動けなくなるか、やはり分子分解される。


(俺がこの性質に気付いたのは四天王を三人まで倒した時だったな。雑魚敵を避けたいから勇者の凱旋ただいまを皆で使えないかなぁ……とか思ったら出来た)


 そしてその後にそれをバカ正直に王様に報告したら国民全員に付与しろと言われて最初は力が足りなくて出来なかったが、魔王を倒した事でかなりレベルが上がり、更に積極的にお使いクエストに出された。結果、王国民全員に付与出来るようになってしまった。更に以前も話したけど、国家に対する忠誠のために国そのものに対してスキル効果も解除した。


(そしたら貴族戦争の時から暗殺合戦で……魔王や邪神を相手に無敵の勇者が一番恐れなきゃいけないのが人間とか笑えない状況になった……と、今はそんな事より)


 そう思案しているとノックの音がして部屋の中に入って来たのは二人の姉だった。二人に指摘されて俺は自分の顔が真っ青になっていると初めて気付いた。俺は周りに怪しまれないように回復魔法の一種の浄化魔法を使う。ちなみにユリ姉さんにはバレバレだった。


「何があったの?」


「うん。ちょっと……」


「私にも言えない?」


 俺は黙ってユリ姉さんに頷いた。だって俺はこの時、既に頭の中である魔法の展開を開始していた。これはチャージに時間がかかる。俺では、だから俺は冷静になるように頭を冷やしながら魔力オドの充填を待つ。





 やる事が決まると人間は案外冷静になれる。さっきは動揺したけど俺はこう見えて死には見慣れている。戦場で死は付き物で振り返ったら隣の兵士が死んでいたり、拠点に戻れば知り合いが死んでいた事はよく有った。そう、よく有る事なのだから何も問題は無い……そう言い聞かせて俺はエリ姉さんと家を出た。そして校門前の人だかりに到着する。


「ん? なんだあの集まり? 快利っ!?」


(時間魔法・空間魔法・浮遊魔法・同時発動……チャージに若干遅れが出るだと? 構わないさっ!!)


 俺はエリ姉さんを置いてすぐに時間魔法で強化した速さで校門前まで着くとそこはブルーシートで覆われていた。さらにキープアウトと書かれたテープを見ると確信した。そして今度は箱から隠形の腕輪を取り出し手に付け、さらに浮遊魔法を自分にかける。そしてバレないように中心部、現場に向かった。

 日本の警察は優秀だ、まだ朝の八時過ぎなのに……その中心部にはもう遺体は存在して無かった。ただ白い人型の線、チョーク・アウトラインが引かれているだけだった……そして近くに血痕も確認出来た。


神々の視点全部丸見え、限定開放、範囲……警察官……ぐっ……)


 この体に戻って良かったのが力が弱くなるとスキル自体も弱体化した状態で使えるって事だ。初回は前と同じように半径500メートルで使ったこれも出力を弱めると範囲を5メートルまで狭められる事が分かった。この間使った時は紅井さんにピンポイントで使えたから出来ると思ったから今回はそれの応用だ。そして付近の警察官、それと鑑識?と呼ばれる人の内部情報を見て行く。


(外傷無し……飛びお……り、自殺……だから発動しなかった……?)


 さらに別な警官のステータス読み込む、そこから記憶へアクセス……やはり自死、仏は最後は笑顔だった?意味が分からない……後は、時間か……。スキルの効果が切れると俺はそのまま浮遊魔法を発動させたまま現場を離れると高校の屋上まで飛ぶ。同時に感知スキルも発動。何でも良いから手掛かりを探す。


(屋上も警官だらけ……警察に忍び込んだ方が良いのかな? じゃあ急いで……ん? 複数の反応が、あれは……?)


 俺はそのまま屋上の隅の方に引っかかっていた紙屑を見つけた。ビリビリに破かれた紙の一欠片のようだった。他にも気になる点はあったが、まず俺のスキルの感知に引っかかったそれを拾って、いつものトイレに転移する。


「修復魔術……これは、生徒手帳のページ?」


 破れた紙切れを修復魔術で直すと一枚の破られた手帳のページに戻った。それはどこか見覚えのある字で『ねらいはエリカさん、がんばって』と書いてあった。何より俺が感知をかけた時に神力エーテルの残滓があったからこの紙片を拾った時点で何となく分かってた。俺のスキルの残滓だ。スキルは発動してた。


「あんのバカルリ!! お前が俺をまたそう呼ぶなら……呼んでくれるならっ!! 行くしか無いだろっ!! ガイドっ!! 予定変更!! 全シークエンス解除しろ、アレを使う!!」


『元勇者カイリに警告します。現在魔力充填率は20%……魔力が足りません、また現在の肉体での過負荷を考慮すると……』


「足りないなら……足せば良いんだよ!! 即応式万能箱どこでもボックス、『エリクシル』を出せ!! 三本あれば十分だっ!!」


 俺は箱から向こうの世界の邪神の神殿で奴らの研究成果の一〇本だけ作りだしたと言っていた魔力増強の効果も有る『エリクシル』を残りストック七本の内、三本を取り出した。


『勇者カイリに再度警告します。万能薬エリクシルの過剰摂取は身体に影響――「黙ってろ!! 三本有れば今の俺なら満タンだろ!?」 ――魔力貯蓄量最大になると概算出来ます。詳しい算出は……』


「必要無いっ!! 使うぞ!! 因果律操作魔法を!! ちょうど良い、名前も付けてやる。そうだな……『全部俺の思うままに因果律操作魔法』!! 聖剣に時空魔術付与!!」


 聖剣に時空魔術を充填して行く。少し前までは一瞬で出来たのに、今は十秒時間がかかる。今でも俺はかなりチートだったはずなのに……よし、聖剣に全て行き渡った。何も無い空間を裂く、そしてその空間に入ると因果律操作魔法全部俺の思うままにを発動。場所は昨日の俺がルリを突き放した時間の少し前……乗り移る体は過去の俺で良いのか?


『勇者カイリに警告です。今度の過去改変は前回と違い、本当の過去改変となります。つまり体を乗り移る必要は有りません。ただ別の問題が発生します』


「手短に要点だけっ!!」


『跳んだ過去では、過去のあなたが居ます。そして過去のあなたに発見された場合どちらかがランダムで消滅します。そして残った者はその過去に囚われます』


 過去の俺に見つかったらアウト、見つかった場合は二分の一で俺が消える。分っかりやすいな……。さらに生き残ってもそこから出られない。でもそこで更に過去改変を行えば問題無いのでは?


『その場合には別のタイムパラドックスが発生し、それが日に何度も起きた場合は最終的に次元が崩壊すると考えられます』


「マジか……もしかしてそれで多用するなって言う意味での警告なのか?」


『正解です。あなたと言う因果律を操作する人間が消失すればそれだけ次元に負荷がかかり、あなたの存在が消滅した時に、その次元は崩壊すると試算されています。そしてその過負荷に耐えられるのが日に約三回と言われています』


 そう言う事か……分かった。じゃあ今度こそ行くぞ……。な~に見つからないように行けば良い。残機は三つ、担保は俺の存在そのもの。見つかったら負け……なんだこんなのヌルゲーじゃないか……あいつの……ルリの命に比べたらなっ!!





 過去へ到達は一瞬なんだろうけど同時に無限にも感じた。だから俺はアイツのルリのメモを握りしめていたからなんだろうけど、中学の時のアイツと出会った時の事を思い出していた。



――――三年前(勇者カイリの体感で一〇年前)――――




(はぁ……今日は姉さんに燕返しの的にはされたくないなぁ……またユリ姉さんには家に帰ったら……いやだなぁ……)


 ご存知のように俺の不遇時代は二十四年間続く、幼少期は母に捨てられ、父には放置され、やっと出来た姉二人には行き違いが発生して不仲となり、そしてこの時は十四歳、中学二年生だった。クラスメイトと話をしても出て来るのは姉、絵梨花の話題ばかりで、段々と億劫になりクラスでも浮いていた。


(ま、浮いてるのは俺以外も居るんだけどね)


 そう言って俺は隣の席の女子を見る。金に近い明るい茶髪を肩の所でボブカットにして窓の外を見ているのは当時のルリ、風美瑠理香だ。メガネなのに眼光が鋭くて当時は怖がられてた、プリントを渡した時も無言、給食を食べる時も無言。それが当時のルリだった。


(ま、隣の席でも話した事無いし、それより帰ったら夕飯のタイムセールか……母さんをあの戦いに連れて行けないから俺が行くしか無いな)


 なんて中学二年生にしてタイムセールで他の主婦との死闘を覚悟して既に主夫感覚が付いてしまっていた俺は料理レシピ本を探すために図書室に向かった。新しいレシピの獲得のために……。





「料理っと……あった」


 目的の本を見つけると俺は席に戻ってレシピ本を広げる。当時の俺は家族に合ったメニューを考えて作りながらレシピを増やしていたが、正直こんな風に家族の為にひたすら働かされて立派な大人とやらになれるのだろうか?そんな環境に当時の俺は自然とため息を漏らしていた。


「「はぁ……」」


 俺のため息とシンクロするような形で一つ間を空けたテーブルでもため息を付いている人間がいた。俺ともう一人、それがルリ、風美瑠理香しか図書室には居なかったから、お互いビクッとなって目が合ってしまった。


「「あっ……」」


 そう言ってペコリとお辞儀すると、当時の彼女は本をまとめて図書室を出て行ってしまった。これが俺たちのファーストコンタクトだった。その後、何度か俺たちは図書室で会って、俺は意を決して彼女に話しかけてみた。


「あのっ、風美……さん?」


「っ!?」


 そして俺は話題を探すために机に置かれていた彼女の読んでる本を見た。そして、その本のタイトルが『コミュ障でも話の達人になれる千の方法』、『猿でも簡単、友達百人出来るかな?』、『あがり症克服計画~今日からアナタも陽キャデビュー~』これって……。


「うぅっ……見ないでぇ……」


「あ、喋った……」(きれいな声……だな)


 そう言って茶髪の彼女は必死に本を隠そうとしていた。そこで俺はルリが話し出すのを待って一〇分、諦めた彼女がポツポツ喋り出した。つっかえながら頑張って喋ろうとしているから自然と応援したくなる。


「私、中学からこっちに……越して来て、さ。周り、知らない人、だらけで……去年も友達、出来なく……て」


「うん……」


 その後も辛抱強く聞いていると引っ越して来た最初の週は家業を手伝っていて学校に出て来れず、来た時には既にクラスのグループ分けが終わっていた事。仲良くしようと声をかけようにも、どうやって声をかけて良いか分からない事、そして自分の髪の色の事。


「えっと、それって染めてるの?」


「ちっ、違うよ。私、プール、スイミング教室に、小さい頃から、通って……毎日、泳いでたら、こうなってて……」


 気になって家に帰ってから調べたらプールの塩素の影響で髪の色素が抜け脱色に近い状態になり茶髪、果ては金髪に近い色になる人間も居るそうだ。彼女は地元で、つまり小学校で既にこのような色になっていたそうだ。


「そうだったのか……そんなになるまで水泳やってたんだ。凄いな風美さん」


「えっ、で、でも、大会とか、出ても全然……だし。それに、もう……辞めちゃったから……」


「それでも、その髪は努力の証って事だろ? こんだけ私は頑張ったってさ。それに比べて俺なんて……いつまで経っても秋山弟扱いだからなぁ……」


 そう、この当時の俺の呼ばれ方は『秋山弟』『二年の方の秋山』だ。しかも入学当時には一部の三年には毛嫌いされ、そして家ではユリ姉さんにも嫌われていた。ただその人達が卒業してからは比較的居心地は良くなった。今思えばエリ姉さんのお陰だったんだな。


「秋山、くん……でも、この間の、定期試験、理科と数学、満点、だった……よね? 前に……呼ばれてたの、覚えてる、から」


「えっ? あぁ……ちゃんと勉強しろってエリ姉さん、えっと……姉から言われて無理やり勉強させられたから一応ね……。ま、『秋山の弟なら出来て当然』って、その後に言われるんだけどね……アハハ~」


 そう、必死に頑張って高得点を取ったら姉も出来たから当然、そして勉強やスポーツの成績が悪ければ『お姉さんは出来たのに』と言われる。もう慣れていた。


「そっ、そんな事、無いっ!! 今、言って、くれたよね? 努力の証だって……私も、そう……思った、から……だから、秋山くんも、凄いん……だよ」


「え……あ、そっかな……俺、そんな事初めて言われたから何か照れ臭い……ありがと、風美さん」


 その後もお互いに凄い凄いって言い合って、良く分からないまま終わった。でも不思議と悪い気はしなくて、その日から俺は下校前に図書室でルリと会うのが日課になっていた。気付けば季節は巡って夏から秋、そして冬。


「風美、これとかどうだ? カードマジック。これなら出来るだろ?」


「え? さすがに難しいよ~秋山は出来るの? って出来ないじゃない!!」


 この頃には互いに苗字を呼び捨てになっていて普通に喋れるようになっていた。ルリは基本的に天性の人見知りなだけで喋れる事は喋れたのだ。当時の学年では俺しか喋れなかったみたいだけど……。

 そんな事を思い出していたらもう時間だ。いや時間なのか?とにかく因果律操作が終わり俺の視界が晴れると、そこは学校の屋上だった。





「よし……時間は、六時間目の途中か……少し早いな。ガイド?」


『過去スケジュールを照会、この後に勇者カイリは対象と会話後にワームホールを展開しています』


「分かった。それと風美瑠理香の現在の状態を確認しろ」


 すぐに問題無しと出る。この時間の俺のスキルの加護が効いているようだ。そして俺は隠形の腕輪を装備、更にスキル隠形+10を発動。そして箱から青い水晶玉を取り出した。アイテム『結界隠し』、それをすぐに使いその上で、結界魔法を使った。上位の敵になると結界の存在から逆算してこちらの位置を特定する。そしてそのやり方は俺の得意技だった。


「だから、この時間の俺もそれに気付くはず……なら結界を張ってるけど気付かれないようにする。どうせ昨日の俺はそこまで警戒してないから気付かない、道具妨害アイテムジャマーとか物質破壊マテリアルブレイクを使う気は無かったから大丈夫なはずだ……」


『それが現状においては最高の策だと思われます』


「ま、そうだよな……あれが使えれば……って言っても仕方ない七年後をお楽しみにって事で!!」


 そして時間になったから俺は自分の教室の近くまで行く。と、ちょうどこの時間の俺とルリと金田が喋っていた。


『無理で~す!! 俺はこれから大事な大事な約束有るんで!!』


『いや秋山さ話だけでも――――『いいよ金田……だってわたしは、もう友達じゃないから仕方ない……ね』


『そ~いう事、じゃ、何か厄介事みたいだけど精々頑張ってね~!!』


 うっわ……外から見てたら俺って完全にゴミじゃん……RUKAさんに会う事優先してあの時は気付かなかったけど、ここから見て良く分かった……ルリの奴泣きそうじゃないか……何で気付かなかったんだアホだろ俺、あのバカ面殴りたい……。


『さて、自分のクズさ加減が分かったところで勇者カイリどうしますか?』


(何か君さ少しづつ辛辣になってね? まず二人を追う。原因を調べる事も今回の過去改変に含まれているんだから)


『それにしても勇者カイリは学園での対象者に対しては辛辣ですね。こちらとしては理解に苦しみます』


 ん?何か今引っ掛かったけど後回しだ。今は二人を追わなきゃ……それにしても一階の奥って特別教室とかしか無いはず……ここは……。


(生徒会室? 何で二人がここに?)


 二人が入室したので後ろについて俺も入室した。するとそこには意外なメンツ、風美軍団の残りの三人が居た。一昨日から居なかった男子二人、俺にスパークを食らった男子A、結界の返しの水流でずぶ濡れの男子C、そして石礼野いしれや陽菜ひな。その三人は脇に立っていて、更に中央の席には三名の女生徒が居た。


「待ってたわ。私は生徒会長の黒幕こくばく奈之代なのよ、こっちは副会長の百合賀ゆりがみこと、そして会計の綾吊あやつり人魚マーメイドよ。よろしく」


「よろしくしたくありません。陽菜が言うから来ただけです。もう秋山に、ああ言うの止めて下さい。私が言えた義理じゃないけど……」


「良いじゃない。今まで通り瑠理香の好きなように遊べばさ~。だって瑠理香あいつの事だいす――「陽菜、いい加減にしてっ!!」


 ルリの奴ここまでキレるの初めて見た……でもダイスって、あいつテーブルゲーム弱かったよな……俺とまたゲームでもしたかったのか?


「まあまあ陽菜さん、私達は話し合いをしたいだけです。秋山快利を絵里香お姉さまから排除するための計画を!!」


(は? ここでどうしてエリ姉さんの話が?)


「百合賀、まずはお二人に状況の説明を」


 何か紙束を渡されている二人の背後からコッソリ近づいて見るとそこには俺とエリ姉さんが最近一緒になって登校しているところや、放課後に部活に行く前、偶然会った時の写真などが載った報告書みたいなものだった。そして一番上には俺の顔が載っていて抹殺対象となっていた。


「はい、この絵里香お姉さまにくっ付いているのが最近目障りになって来た義弟の秋山快利です。私たち『エリカ様親衛隊』の敵です!!」


「噂には聞いていたけど本当に存在したのか……三年女子が中心になって作ったと言う秋山先輩のファンクラブ」


(えぇ……そんな噂初めて聞いたんですけど……あ、そっか俺って陰キャでイジメられてたからそもそも情報とか入らないじゃん!! ハハハ……泣きたい)


 金田が資料を見ながら俺の知らんかったことを平然と知ってる宣言してるし、なぜかルリの方はプルプル震えてる。なんだ、あいつどうしたんだ?状況が二転三転する中で俺はこの室内自体にも違和感を感じていたけど、今はコイツらの話し合いを聞かなくては……今頃、俺は着るもの探してんだろうなぁ……とか思いながら。

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