第58話 02の試験
02――改め、オズと再会した翌日の朝。
俺たちはオズと共にギルドへ向かい、彼女の第二種免許の取得に付き合った。
「それじゃあ皆、行ってくるね」
「頑張ってください!」
オズが魔法力試験を受けるために、ギルドの奥にある会場へと向かう。
冒険者の仲間ができたことに喜びを感じているのだろう。ミゼが活を入れるように大きな声で送り出す。
「結果が気になるわね。トゥエイトが実力を保証するって言うんだから、ただ者じゃないんでしょうけど」
「……さて、どうだろうな」
妙な期待を抱くエリシアに、俺は曖昧に返した。
恐らく彼女の期待には応えられるだろう。先日の作戦会議で、オズにはある程度の実力を示すようにと伝えている。
暫く待っていると、魔法力試験の会場の方でザワザワとした騒ぎが聞こえた。
ギルドの職員たちがざわめく中、オズはしれっとした顔で会場から出てくる。
やがて職員から試験結果の記された用紙を受け取り、それを俺たちの元まで届けに来た。
「魔法力試験の結果出たよー。はいこれ」
そう言って、オズが見せたのは――。
***********
●オズ
魔法出力:A
魔法即応力:C
魔法持続力:A
魔法制御力:E
***********
「……嘘」
「……マジでか」
エリシアとグランが、目を見開いて驚愕した。
ランクの偏り方は、グランの上位互換と言ってもいい。しかし騎士団の団長、副団長クラスを示すAランクが二つもあるとは……どうりで職員たちが騒ぐわけだ。
「あ、あの。すみません、オズ様」
ギルドの受付嬢が、オズに声を掛ける。
「ん? なーに?」
「その……失礼ですが、過去に特殊な役職に就いていた方でしょうか?」
「特殊な役職?」
「例えば、騎士団の責任者だったり、他のギルドで上位ランカーだったり……」
「ううん、そういうのは特にないよ」
「そ、そうですか」
受付嬢が狼狽しながらも下がる。
それだけオズの能力が異質なのだろう。
だが、当の本人は注目されている自覚がないのか、
「それじゃ、もうひとつの試験に行ってきまーす」
気の抜けた声と共に、オズは基礎戦闘力の試験会場へと向かった。
「あの、トゥエイトさん。オズさんって、何者なんですか?」
ミゼの問いに、俺は少し間を置いてから答える。
「元同僚だ。ただ、職場でも魔法の天才と呼ばれていたな」
「天才って言ったって限度があるんじゃねぇか……? あんだけ魔法力が高けりゃあ、有名になっていてもおかしくねぇぞ」
「俺も職場以外ではオズのことをよく知らないが……まあ、年齢が年齢だからな。大方、周りに止められたとかで大戦にも参加しなかったんだろう。……それに天才というなら、この歳でAランクを取っているグランも同じだ」
嘘を交えながらグランの質問に答える。
オズの正体について三人が色々と頭を捻らせていると――ドン! と大きな音がすると共に、激しい地響きがした。
「な、なに、今の音!?」
「すげぇ揺れたぞ!?」
エリシアとグランが驚愕する。
音と振動は、基礎戦闘力の試験会場から響いていた。
ギルド内が騒然とする中、オズが会場から帰ってくる。
「あはは、ごめん。ちょっとやり過ぎちゃったかも」
後ろ髪を掻きながらオズは言う。
大体、何をしたのか想像がついた俺は、溜息を零した。
やがてオズの試験結果が発表される。
当然、合格だった。
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