第20話 ドラゴン退治2
場所は、隣国へと向かう山越えの峠道。冬には雪に覆われる標高の高い岩山です。
そこに、カイとグレコは寒さ避けのマントを羽織って、来ていました。まだ雪は積もっていませんが、アイスドラゴンの巣が山頂付近にあるのです。
「カイ、本当に大丈夫か? 俺が一人で行っても・・・」
「一人で勝てるわけがなかろう。大丈夫。準備はしてきた。少し寝不足なぐらいだ」
「わかった、だけど、少しでも危ないと思ったら逃げるんだぞ」
「転移の魔道具を持っている。緊急時にはそれで逃げられるさ」
二人は山頂に向けて登り始めました。
山頂につくと、洞窟がありました。ここにアイスドラゴンが潜んでいると情報があったのです。
「さて、洞窟に入るか、入り口から火炎魔法でも打ち込んで誘い出すか」
グレコが言うと、
「空を飛ばれると厄介だ、剣が届かなくなってこちらの攻撃力が半減する。しかし、完全に内部では地形がわからないし暗すぎる。洞窟の入り口付近で戦おう」
というわけで、グレコは洞窟の入り口に陣取り、カイは炎の杖を取り出しました。左手には見慣れない杖が握られています。
「それが新兵器か? どこかで見たような気もするが」
「まあな。ブレス対策だ」
カイは両手に杖を構え、言いました。
「準備はいいか、戦闘開始だ!」
「おう!」
「炎の杖 +1 7連射」
カイは洞窟の奥に向かって、火炎球を連射しました。爆発音が聞こえて、洞窟の奥が明るくなったかと思うと・・・
「グワオォォォ!!!」
ドラゴンの咆哮が聞こえてきました。間違いありません、アイスドラゴンです。
「嫌われ者の指輪 +5」
グレコは洞窟の入り口をブロックするべく、新調したミスリルソードとミスリル・シールドを構えました。
姿を表したアイスドラゴンは体長5mほど、白い鱗に覆われ、牙の隙間からは呼吸をするたびに冷気が漏れ出しています。
アイスドラゴンは、グレコを見つけると飛びかかり、前足の鋭い爪で、薙ぎ払おうとしました。
グレコはミスリルの盾でこれを防ぎます。事前にかけていた守りの杖の効果で、しっかり盾で受け止めれば、ドラゴンの爪の攻撃でもダメージは受けずに済むようです。
グレコの反撃もなかなかのものでした。ミスリルソードの一閃は、アイスドラゴンの前足に切り傷を作っていきます。今日は力の杖も+5でかけてあるのです。今日のグレコは歴戦の勇士並の強さを見せていました。しかしそれでも、鱗の大きな背中には刃が通りません。
カイも後方から炎の杖を連射して援護をします。
しかし、決定打にはなりません。やはり、懐に入って腹を狙わなければだめなようです。
「ブレスを吐かれる前に決着をつけなければ・・・」
グレコの内心には焦りが溜まっていきました。
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