第35話 全国のミヤモトさんに謝れ
と、そんなこんなで俺達は鉱山の深部へと進んでいった。
何故だかカティアが物凄い膨れっ面だが、そこは気にしないでおこう。
でも、時折……俺に熱い視線を向けてきているような気もするんだが、それもやっぱり気にしないでおこう。
「追うのですー!」
「やるのですー!」
「ははは、我が軍は無敵ではないか」
「タコ殴りなのですー」
「TORATORATORA!」
とりあえず、出会った魔物は発見次第に手乗りウサギ達にフルボッコにされている。
ちなみにカティアも「え? この子達が手乗りウサギ?」と、事実を知った瞬間に腰を抜かしていた。
とりあえず、今は露払いをしてくれている愛らしい隣人に感謝をしておこう。
そうして、道なき無人の野を行くがごとく、先行する手乗りウサギ達が築き上げた無数の魔物の屍を越えて行くと……。
巨大なクリスタル……いや、鉱石だから違うな。
ともかく、クリスタルっぽい淡く虹色に輝く巨大な鉱石のモンスターに出会った。
「我はアダマンタイトキング也」
なるほど、こいつが昨日説明してもらった奴だな。
「ボクはドワーフの族長の娘だ。古の契約に則って、アダマンタイトを譲ってほしい」
カティアは背嚢からエルフの魔法属性付与済みの剣を一振り取り出して、アダマンタイトに差し出した。
「……悪いがそれはできない」
「どういうこと? キミとボク達はそういう契約で……」
「我の体のアダマンタイトは既に奪われた後だ。我の体表で精製されるアダマンタイトには限りがある。これ以上奪われると生命活動に支障が出る故……」
そこでカティアが表情を硬いものにする。
「一体どういうことなんだい?」
「最深部に……良くない連中が棲みついた。そやつらは人間なのだが……錬金術の研究をしているようだ」
なるほど。
錬金術師が特殊鉱石を集めているって話なのか。
「とりあえず、お前はロクでもない方法で力ずくでアダマンタイトを体から奪われたんだよな?」
「そういうことになるな」
「なら、俺達が力ずくで奪い返しても構わないってことだな」
カティア以外の全員が頷いたところで、アダマンタイトキングは暗い口調でこう言った。
「しかし奴らの護衛には……異世界の勇者達がついておる。故に鉱山の王である我も敗北を喫したのだ」
「異世界の勇者……だと?」
「確か名前は……ミヤモトという若い男だった」
懐かしい名前だな。
こんなところで再会とは思わなかったぜ。
俺を帰らずの森に置き去りにした高校生の不良グループのリーダー……宮本。
拳を握りしめ、俺は拳を握りしめて最下層へと向かったのだった。
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