本作のヒロインは見た目12歳でも18歳以上と但し書きが必要編

第33話 ドワーフの村に向かったらダンジョンに辿り着きました

 ――翌日。


 エルフの集落のほど近くに所在する、ドワーフの里に辿り着いた。

 面子は俺とソーニャとウロボロスとエルフの女王と手乗りウサギ達だ。

 ちなみに、今日はマリアは小屋を守ることになっている。


 で、ドワーフの里は鉱山のほど近くに所在していて、里の中心部には大きな製鉄場のようなモノがあって黒煙が上がっていた。


「すまんが今は男手が不足しておっての」


 ドワーフの長が言うには近隣諸国で戦争が起こりそうだと言う事で、今は里が総力を結集して武器防具の生産を行っていると言う事だ。

 ちなみにドワーフ族は男の平均身長が百五十五センチくらいで女は百四十センチくらい。


 男も女もオッサンかオバさんかお爺さんかお婆さん、あるいは十二歳くらいまでの子供しかいない。

 ウロボロス曰く、ドワーフ族は高齢種族で、男も女も一定年齢で突然老けるらしい。


 高齢種族には良くある現象らしく、十代半ば~三十代前半のような見た目の者はいないことになる。


「そこを何とか族長っ! 私と貴様の仲ではないかっ!」


 エルフ族は魔法付与の前の商品をドワーフの里から仕入れるらしく、その関係で昔から友好関係を築いているらしい。

 まあ基本はぼっち系種族であるエルフにとっては珍しい、良き隣人と言う扱いになる訳だな。


「しかしのう……」


 見た目七十歳のお爺さんであるドワーフの族長は困った表情を作った。

 ちなみに俺達が通されているのは族長の家の応接室で、生活状況はそこそこ良い感じに見える。

 出された紅茶も美味いしな。


「そういえば族長には……孫がいたという話ではないかっ! 確か武具製作はまだ半人前だと聞いている。だったら手が空いているだろう? 大工仕事は貴様らの基礎技術故……何とかなるだろうに? その娘を二週間貸してくれっ!」


 と、そこで奥から見た目十二歳の幼女が出てきた。

 水色の髪は艶やかで身長は百三十センチ半ば。

 とにかく線が細くて、筋骨隆々のイメージが強いドワーフからはかけ離れた感じだ。


 ――っていうかこの娘めっちゃ可愛い。


 触れば折れそうな可憐な感じの少女だ。何というか見ているだけで癒される。


「お爺ちゃん……ボクが行っても良いよ? まだ半人前だけど……本当は技術だけならボクは一人前って認められているし……」


 ボ、ボ、ボ……ボク娘だと?

 さすがはファンタジー世界だな。

 こんな喋り方の娘は初めて見たぞ。


「それはならんカティアっ!」


「……え?」


「お前は未だ半人前だっ! 里の外に出ることは許さんっ!」


「何とかならんか族長? 一週間程度で良いのだ! 給金も弾むっ!」


 おいおい、実際に金出すの俺だぞ。

 勝手に決めんなよな……。まあ、言っても聞かないだろうからここは黙っておくか。


「いかにエルフの頼みと言えども、里の掟……なのじゃ」


「掟?」


「うむ。半人前はあくまでも修行中の身。外の世界には出せないのじゃ。そして鉱山で採れる特殊な鉱石を自らの手で採取し、そしてその鉱石で一振りの武器を作ると言うことが一人前の証なのじゃ」


「しかし……」


「実を言うと、さっきも本人が言っていたようにこの娘は技術だけは既に一人前ではあるのじゃ」


「では、どうして未だに一人前の証を作っておらんのだ?」


「元々の予定では先月のこの娘の誕生日だったのじゃがな。伝えた通りに急なオーダーが入って……鉱山への護衛が出せんのじゃ」


「……護衛だと?」


「鉱山はダンジョンになっておってな。男衆が総出でこの娘を守りながらの探索となる訳じゃ」


 と、そこでニヤリとエルフの女王が頷いた。


「分かった。ならばその護衛――我らが買おうっ!」


 話早いなっ!


 しかも俺達の了解取る気がないのかよコイツは……。

 と、まあ、そんなこんなで俺達はダンジョン攻略に行くことになったようだ。


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