私の居場所 67
Aは続けてネット民たちを見て、
「おい、みんな、やっつけろよ、こいつを!」
けど、行動を起こすネット民はいません。みんな、Aから視線を外したまま。Aは唖然。
「ええ?・・・」
ライヴが始まる直前、AとBに賛同してみんなでライヴの進行を邪魔したもんだから、てっきり今回もみんなでこの女を取り押さえてくれるものだと思っていたようです。でも、実際は逆。何もしません。
ま、それも当然でしょう。女神隊員はあっという間に2人を倒してしまいました。女神隊員に喰ってかかって大けがしたら大変です。それで誰も手を出さないようです。
ネット民なんて、みんな、こんな意気地なしばっかりです。安全地帯から1歩も出たくないのです。
女神隊員は誰も歯向かってこないことを確認すると、3人が消えて行った方向を見ました。が、すでに3人は消えてました。
群衆をあとに走り出す1台のクルマ。それを追い駆ける3台のバイク。
前を行くクルマの車中。運転席には隊長。後部座席には日向隊員と明石悠が座ってます。なお、車種ですが、昨日隊長が乗ってたクルマとは別のクルマです。
隊長はハンドルを握りながら質問。
「何台ついてくる?」
日向隊員は振り向き、リアウインドウ越しに後ろを見ました。
「3台です!」
「ち、違法駐車してあったクルマは、警察がすべて撤去したはずなのになあ・・・
ま、いっか。こっちにはいろいろとプランがあるんだ」
一方、校門の反対側にあるコインパーキングでは大渋滞が起きてました。最初に清算機で料金を払おうとしてる人が焦りまくってるのです。
「か、金が入らねぇ?・・・」
後ろで長蛇の列を作ってる人から怒号が飛びます。
「おい、早くしろよーっ!」
「あいつら、行っちまうじゃねーかよ!」
うち1人の男が列を飛び出し、駆け出しました。
「こんなところで待ってられんかよ!」
男はコインパーキングに駐めておいたRV車に乗りました。料金を踏み倒すつもりです。
エンジンスタート。ロック板を踏み越え走り出すRV車。が、コインパーキングから車道に出ようとした瞬間、パトカーが前をふさぎました。RV車は急停車。車内の男は焦ります。
「くそーっ! なんで邪魔すんだよーっ!」
RV車はクラクションを何度も何度も鳴らします。パトカーから2人の警官が下りて来て、それぞれ運転席側の窓と助手席側の窓から中をのぞき込みます。
「それ以上クラクションを鳴らすと、公務執行妨害で逮捕しますよ!」
「ちゃんとお金を払ってから退場してください!」
悔しがるRV車の男。
「ちっ!・・・」
快調に走る隊長のクルマ。それを追い駆ける3台のバイク。彼らの眼の前に巨大なデパートが見えてきました。
車内、ハンドルを握る隊長。
「ふ、見えてきたな」
隊長が駆るクルマはそのデパートの地下駐車場に入りました。
スロープを
その直後、2台のバイクがやってきました。ライダーの1人が駐車券発券ボタンを押します。が、駐車券が出てきません。
「ええ!?」
ライダーは発券ボタンを何度も何度も押します。
「なんで、なんで出てこないんだよ、駐車券!?」
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