私の居場所 33
女はこの2人をきっとにらみ、怒鳴ります。
「うるせーっ!」
びびる2人。
「ひーっ・・・」
「うちらは半グレなんだよ! 半グレはなあ、ヘッドが招集をかけたら、下の者は黙って集まってくるものなんだよ! このボンクラどもがっ!
ち、どいつもこいつも・・・」
女は横に立ってる男子をにらみました。男子の顔はあざだらけ。変形してると言った方がいいかも。
実はこの男子、昨日明石悠を恐喝し、日向隊員に撃退された4人組の1人。そう、日向隊員の強さに恐れをなして、日向隊員と組み合わず、逃げ出してしまった男子生徒なのです。
女はこぼします。
「まったくこのバカ息子のせいで、なんでこんなに苦労しなくっちゃならないんだろうねぇ、わたしゃ・・・」
「だってよぅ、母ちゃん、あいつ、むちゃくちゃ強いんだぜ」
なんとこの男子、この女の息子でした。母親は息子の顔面をグーパンチで思いっきり殴ります。
「言い訳するなと言ってんだろーっ!」
息子の身体は無残に転がりました。
「うひゃーっ!」
息子はその状態で母親を見て、
「母ちゃん、もう殴んないでくれよ・・・」
「なんだとぅ~!」
母親は息子の首を思いっきり踏みつけました。
「ぐふっ・・・」
母親は足下の息子をにらみつけ、
「お前、あの女と1回も組まずにおめおめと逃げ帰ってきたなんて、ほんとうに私の息子なんかよ!? 相手は中1になったばかりのガキだろ。やられた3人に申し訳ないと思ってないのかよ、ええ!?」
悶える息子。
「い、息が・・・」
「まったく情けないったらありゃしねーよ、このバカ息子がっ!」
母親は今度は前を向いて、
「お前ら、ちゃんと武器を持ってきたろうなあ!?」
不良たちは手にしてる金属バットや単館パイプをかがげました。
「は、はい!」
「今からそのガキをブチ殺しにいくぞ!」
それを聞いた不良たちの顔から一気に血の気が引きました。
「ええ~・・・」
不良の1人。
「
別の不良。
「半殺しくらいにしておきましょうよう・・・」
それに対して母親は、
「安心しろ。責任は全部私が持つ! だからみんな、あのガキの命を
不良たちは騒めきました。いくらこの女が責任を持つと言っても、殺してしまえば自分たちも責任を取らないといけません。つまり、刑務所行き。12歳少女をリンチして殺したら、いったい何年くさい飯を喰わないといけないんだか?・・・
だからと言って、この女の命令を無視するわけにはいきません。無視すればその先にどんな懲罰が待ってることやら?・・・ どうやら不良たちは従うようです。
と、ここで突然脇からまばゆい光が差し込んできました。誰かが裏木戸のようなドアを開け、この建物の中に入って来たのです。
「
ドアから入ってきたのは1人の女。けばい茶髪からして、不良少女のようです。不良少女は女にこそこそ話。すると女はピーンときました。そしてふっと笑って不良たちに、
「あの中学校に警察の手入れが入ったようだ。1年生は全員帰宅させるらしい。ふふ、ちょうどいい。今から行って、あのガキを待ち伏せするぞ!
じゃ、みんな、行くよーっ!」
それに反応する不良は少数。
「おー・・・」
「おいおい、なんだよなんだよ、このしおれた声は!? もっと大きな声を出せよーっ!」
すると不良たちは一斉に強く反応。
「おーっ!」
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