私の居場所 31
Aに追いついたBは、Bの肩を掴みました。Aは少し振り向き、横目でBをにらみ、怒鳴りました。
「な、何するんだよーっ!」
Bは明石悠と会話を始めた人影を指差して、
「あいつだよ! あいつ!」
「ええ!?」
Aは人影を凝視。それは日向愛でした。Aはびっくり。
「ひ、日向愛!?」
Bは日向愛に退治された不良4人組を思い浮かべ、
「あいつ、あの4人組を一瞬で片づけちまったんだぞ!」
Aの顔はみるみるうちに青ざめてきました。
「うう・・・」
「やめとけよ」
血気盛んだったAですが、日向愛の姿を見た途端、一気に怖気づきました。警察なんか怖くないと思ってたAですが、日向愛はかなり怖いようです。
Aはきびすを返し、
「あ、あっちから帰ろ」
Bはそれを見て、ほっとした顔を見せました。2人は来た方向に歩き始めました。
時間を再び巻き戻しましょう。こんどは数秒だけ戻します。
「ちょっと待ってよーっ!」
その声で明石悠ははっとして歩みを止めました。明石悠が声がした方向を見ると、日向隊員がこちらに向かって歩いてくるところでした。明石悠はぽつり。
「日向さん・・・」
日向隊員が明石悠の側にきました。
「昨日はなんで逃げちゃったのよ、すぐに!?」
「ご、ごめんなさい。怖くなっちゃって・・・」
「ふ~ん・・・
あなたのせいで酷い目にあったのよ、私、今日!」
「え?」
「みんなから無視された。それに・・・」
日向隊員は何かを包んだハンカチを取り出しました。それを解くと中からズタズタにされたスマホが出てきました。明石悠はそれを見てびっくり。
「な、何、これ?」
「私のスマホ。見ての通り、ズタボロにされた」
「ええ~!?・・・」
「誰が壊したと思う? 生徒会長よ。生徒会長が壊したのよ! 何、この学校? もう信じらんない!」
日向隊員は明石悠を見て、
「あなにも責任を取ってもらうからね!」
明石悠はびっくり。
「ええ、私も!?」
日向隊員は校門の方を向きながら、
「ちょっと来てよ!」
日向隊員は歩き出そうとしますが、明石悠は動き出す気配がありません。日向隊員は再び明石悠をにらんで、怒鳴ります。
「来てって! 早く!」
「あ、はい・・・」
明石悠は仕方なく日向隊員の背後をついていくことにしました。日向隊員は横目でその明石悠を見て、
「あなた、今日はよく
明石悠はちょっと間を空け、応えました。
「パパが・・・」
「パパが?」
「こんなときだからこそ、今日は学校に行かなくっちゃいけないって・・・ それに・・・」
「それに?」
「日向さんが助けてくれるって、何かあったら・・・」
「ええ? なんで助けなくっちゃいけないのよ、あなたを、私!?」
日向隊員は語気を荒げました。あれれ? 日向隊員は昨日ホテルのラウンジの会議で、明石隊員(明石悠の父親)に、
「あ、私がなんとかしますよ」
と言ってましたよね。忘れてしまったのでしょうか? いやいや、そんなことはないです。ちゃんと覚えてますよ。
実は日向隊員はある計画を立ててました。そこに現れたのが明石悠。これは渡に舟。日向隊員は明石悠を利用する気です。
2人の行く先の校門の外では数人のマスコミの記者が待ち構えていて、出て来る生徒たちにインタビューを試みてました。
「すみません、学校で何があったのか、教えてもらえませんか?」
しかし、誰も応えようとしません。緘口令が出てるのか? それとも生徒1人1人の自主性か?
ちなみに、この校門はこの中学校の中ではもっとも小さな校門のせいか、記者の大半は他の校門に廻ってました。
ここに日向隊員と明石悠が現れました。記者の1人が明石悠を見て、はっとしました。
「おい、あの
別の記者も明石悠を見ました。
「肌が黒い? 日本人じゃないのか?」
さっそく記者の1人が明石悠に近づき、質問しました。
「あの~ すみません、ちょっと質問させてください! この学校で恐喝事件があったみたいなんですが、誰が恐喝されてたのか、知ってますか?」
どうやらこの時点で誰が恐喝されていたのか、マスコミは把握してないようです。
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