私の居場所 21

 生徒会長の発言が続いてます。

「私たちがそんなことするはずないじゃん。あなたを危険人物とみなして、自主的に無視してるんじゃないの、学校中のみんなが。全部あなたの身体から出た錆よ!」

「な、何が身体から出た錆よ! あなた、彼女がどんな被害を受けてたのか、知ってんでしょ!?」

「当然!」

 その大きな声に日向隊員はびっくり。生徒会長は言葉を続けます。

「あなた、何も知らないみたいだから教えてあげるわ!

 不良グループがあいつを恐喝カツアゲするとき、同時に2つ以上のグループがかち合うとそれだけでケンカが発生するから、今日はこのグループが、明日はこのグループが、その次の日はこのグループが恐喝カツアゲするよう、調整する役が必要だった。その調整役がさっき警察に連れていかれた先生だったのよ!」

 驚愕の発言。日向隊員は思わず声を漏らしました。

「ええ・・・」

 そしてさらに発生した疑問を生徒会長にぶつけてみることにしました。

「あなた、なんとも思わなかったの!? だいたい生徒会は、なんで事件のこと全部知ってんのよ!? ふつーは止めるでしょ、知ってたら!? それが生徒会でしょ1?」

「ふ、私たちもになってたのよ、その調整役を!」

 日向隊員はさらにびっくり。

「ええ~?・・・」

「もし不良グループ同士が殴り合いになって警察沙汰になったら、すべてが明るみになっちゃうでしょ。そうなったら日本国中にこの中学校の名前が知れ渡ることになる。そうなったら生徒会うちにも火の粉が降りかかることになるでしょ? だから私たち生徒会も調整する必要があったのよ!」

 なんて身勝手な論理・・・ その一方で日向隊員はあらたな疑問が発生。で、強めの声で質問しました。

「これってどう考えても犯罪でしょ!? なんで先生や生徒会が犯罪に加担してんのよ!」

 生徒会長は軽く吹き出し、そして返答。

「あは、何を言うかと思えば・・・

 いい、あいつは肌が黒いの! 日本人じゃないのよ! ここは日本よ! 日本の学校よ! ク〇○ボが来るところじゃないのよ!」

 ええ~ 生徒会長が正々堂々と差別的発言? 日向隊員は唖然。一方周りを囲む生徒たちは、生徒会長に呼応します。

「そうだ、ここは日本だ! ク〇○ボはク〇○ボの国に行って、ク〇○ボの学校に行けばいいんだよ!」

 日向隊員は思わず声を漏らしました。

「な、なんなのよ、こいつら? 学校のみんながあのひとを差別してるというの?・・・」

 生徒会長は詭弁を続けます。

「ク〇○ボが日本の学校に通うには、それ相応のコストが必要なの! あの女は日本の学校に通うための必要なコストを払ってただけなのよ!」

「ひ、必要なコストって・・・ 彼女、1億円以上も恐喝されてたのよ! それに・・・」

 彼女は毎日レイプされていたと日向隊員は言おうとしましたが、この場にいる生徒全員はその事実を知らないかもしれません。彼女の名誉のためにも、そのことには触れないでおくことにしました。

 一方、生徒会長は言い返します。

「1億、ハァ? 何、それ? ク〇○ボが日本の学校に通うための当然のコストでしょ!」

 日向隊員はついに我慢できなくなりました。このバカ女を殴りたい、本気で殴りたい! けど・・・

 メガヒューマノイドの日向隊員がこんな華奢きゃしゃな女の子を感情のままぶん殴ったら、即死してしまう可能性大。ここは我慢するしかありません。

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