侵略者を撃つな! 60
玄関のドアが開き、金目ひなたが飛び出してきました。
「お父さーん!」
父親は金目ひなたを見ます。
「出てくるなと言ったろ!」
その額のど真ん中から血がしたたり落ちてます。金目ひなたはそれを見て、
「ああ、お父さん、血が・・・」
父親は今の金目ひなたのセリフを無視するように、クルマのドアを開けました。
「どいてくれ! 行かないと・・・」
ここで呼出しの電子音が。父親ははっとし、ジャケットのポケットからスマホを取り出しました。鳴ってるのはこのスマホでした。父親はスマホの電話に出ます。
「もしもし・・・」
次の瞬間、父親は愕然とした顔になり、スマホを落とします。父親の一連の行為を不審に思う金目ひなた。そして質問。
「ど、どうしたの、お父さん?」
「陽一が・・・」
「え、陽一が? 陽一がどうしたの?」
「・・・死んだ」
金目ひなたはガツーンと頭を殴られた気分になりました。陽一が、弟が死んだ? なんで?・・・
時間を少々遡ります。ここは駅のホーム。ちょっと郊外て感じの駅です。朝のラッシュ時のせいか、かなりの人がいます。そこに私立の小学校の制服を着た少年がいます。金目陽一です。彼にとってこの朝は、なんの変哲もない朝でした。が、列に並んで電車を待ってるとき、ふいにこんな声が耳に届きました。
「おい、あいつ、金目ひなたの弟じゃないのか?」
金目陽一ははっとして振り返ると、そこには数人の男子高校生と思われるグループが。全員人相の悪いクソガキです。金目陽一は嫌な感じを覚えました。悪ガキの1人が、
「おい、お前んとこのアネキが人を殺したんだってなあ!」
と、凄んできました。それは金目陽一には知らないことでした。金目陽一は朝のテレビ番組である少女が別の少女をイジメてる映像を見ました。それでイジメられた少女が自殺したことまでは知ってました。
が、テレビで放映された映像にはボカシがかかってました。音声も加工されてました。イジメた側のリーダーが自分の姉、金目ひなただってことは知るよしもありませんでした。
このホームにいる人の大半も、ある少女がある少女をイジメて自殺に追い込んだことを知ってました。それは真田
ところで、真田
つまり、金目ひなたがイジメの首謀者だと知ってる者が、このホームに何%かいたのです。この悪ガキグループの中にもそれを知ってる者がいました。
さらに悪いことに、悪ガキグループの中に金目ひなたとその弟金目陽一を知ってる者がいたのです。
「おーい、ちょっと来いよ!」
悪ガキの1人が再び凄みます。その言葉に命の危険を感じた金目陽一は振り返り、走り出しました。
「おーい、待てってーっ! ゴラァーっ!」
悪ガキたちは金目陽一を追い駆けます。
金目陽一は一目散に逃げます。ホームは大混雑中。金目陽一はほとんど人がいないホームの際を駆けました。が、最前列で並んでいた男子高校生のボストンバッグに脚が触れてしまいました。
「あっ!」
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