侵略者を撃つな! 9
南原主幹が説明してます。
「いろいろとリハビリが必要となります。最終的な社会復帰は半年くらい・・・ でしょうかねぇ?・・・」
隊長は応えます。
「そっか。やっぱ時間がかかるんだな・・・」
隊長はおもむろに前を見ました。すると突然腰を抜かすほど驚きました。
「ああ・・・」
なんと、水槽の中のひなたの頭部の両眼が開いてるのです。隊長は南原主幹を見て、
「お、おい、眼が開いてんぞ!?」
けど、南原主幹はあまり驚いてません。いや、内心驚いてるのですが、それを顔に出してません。
「あはは、当たり前ですよ。これでも生きてるんですから。しかし、ここで目覚めるとはねぇ・・・」
隊長と南原主幹の周りに、今この部屋にいる研究員全員が集まってきました。みんな口をあんぐりと開けてます。
ひなたの眼から見た隊長。ひなたは思いました。
「こ、この人が香川隊長?・・・ やっぱ歓迎されてないな・・・」
ちなみに、ひなたは今自分が頭部だけになってることに気づいてません。彼女の頭部は水槽の中で固定されてるので、前を見ることしかできないのです。また、水槽の中の水中にいるせいで、何も聞こえない状態でした。
「このままだとなんだから、もう少し眠っててもらいましょうか」
というと南原主幹は隣の女性研究員を見て、
「おい」
女性研究員は応えます。
「あ、はい」
女性研究員はイスに座り、ディスクトップコンピューターに接続それたマウスに触れました。南原主幹はその研究員を見て、
「おい、薬の量を間違えるなよ。相手は頭しかないんだから」
「わかりました」
ひなたの眼から見た隊長。ひなたは夢の中で交わした自分と海老名隊員の会話を思い出しました。
「え、香川隊長て?」
「テレストリアルガードの隊長。私が唯一愛した男の人」
現在のひなたの思い。
「あの海老名ていう人、半年はこの世に残ると言ってたな。あの男の人に従わないと、私、あの人に呪い殺されちゃうのかな?・・・」
ちなみに、海老名隊員の幽霊はもうこの世にはいません。けど、海老名隊員の脅しが効いていて、ひなたはいまだに海老名隊員に監視されてると思い込んでます。
ふいにひなたに眠気が襲ってきました。
「ふぁ~ 眠いや。次起きたときは、歩けるようになってるといいな」
ひなたの眼が閉じました。隊長はそれを見て、
「ふ、寝たか・・・」
昼間の街道をテレストリアルガード専用のセダンが走ってます。その車内、ハンドルを握ってるのは隊長。他の乗員はいません。
セダンの行く先にテレストリアルガードの基地が見えてきました。
セダンがゲートの前で一旦停止。するといまだに女神隊員の単眼を狙う数人のパパラッチがとたんに群がり、セダンの中をパシッ!パシッ!とフラッシュ撮影。ゲートが上がるとセダンはそれを無視するようにテレストリアルガードの基地に入りました。
テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。イスに座って寒川隊員がギターを弾いてます。その傍らのイスにはすみれ隊員が座ってて、ギターを静かに聴いてます。
引き分けの自動ドアが開き、隊長が入ってきました。寒川隊員はそれに気づき、振り向きました。
「あ、隊長、お帰りなさい・・・」
と、隊長の顔はあまり芳しくないようです。寒川隊員はそれに気づき、
「あれ? 隊長、なんか浮かない顔してますねぇ」
隊長は応えます。
「ああ、気持ち悪いものを見ちまったんだよ」
「何を見たんですか?」
隊長は苦笑いし、
「あは、たいしたもんじゃないよ」
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