第9章 君のテレストリアルガード

君のテレストリアルガード 1

 ここはテレストリアルガード基地。地下にあるサブオペレーションルームです。テーブルに座ってる海老名隊員がノートパソコンでインターネットをやってました。

 オペレーションルームには上溝隊員がいます。いつものように雑誌を読みながらだら~とレーダースコープを見てます。

 なお、オペレーションルームとサブオペレーションルームの間の扉は、今の隊長の方針で常時開けっ放しになってます。ゆえに実質1つの部屋です。また2人ともテレストリアルガードの隊員服を着てます。

 引き分けの自動ドアが開き、香川隊長が入ってきました。

「ただいま」

 海老名隊員は振り向き、その隊長を見ました。隊長の服装はいつものテレストリアルガードの隊員服ではなく、スーツでした。

「あれ、隊長、一張羅ですか?」

「ふふ、本部に呼び出されたんだよ」

 隊長は海老名隊員の横に座り、

「お前、なんで本部に嘆願書なんか出したんだ?」

「だって、いつまで経っても私の身体を元に戻してくれないから・・・」

 隊長はちょっと視線をずらしました。上溝隊員を見たようです。上溝隊員はまだ雑誌を読んでました。隊長は再び海老名隊員を見て、

「お前、毎年夏休みに両手両脚を外して、寸法を調整してもらってんだろ」

「うん」

「そんときにメガヒューマノイドに戻してやんよ」

 それを聞いて海老名隊員は思わずバンザイ、思いっきり立ち上がりました。

「やったーっ!」

 それを聞いて上溝隊員はびっくり。思わず視線をあげ、隊長と海老名隊員を見ました。海老名隊員はそれを横目で見て、思わず「てへぺろ」と舌を出しました。上溝隊員は特にそれ以上気にすることなく、再び雑誌をめくり始めました。隊長はそれを確認して発言。

「ただしだ。オレの命令には絶対背かない。絶対暴走しない。これは守ってくれよ」

「あはっ、わかってますよ」

「今回から緊急停止装置をつけるからな。絶対暴走すんなよ」

「はいはい」

 こうして海老名隊員のメガヒューマノイド復帰が決まりました。と言っても、今は4月初旬。夏休みは7月21日から。まだ3ヶ月以上もあるのですが。


 さてさて、隊長は本部に行ってたと言ってましたが、本部では何があったのでしょうか? 実は3つの打ち合わせをしてました。

 1つは今の会話。海老名隊員はメガヒューマノイドに戻ることをずーっと希望してました。特に第2のメガヒューマノイド田村佐恵子の出現は大きかったようです。あの女を見て海老名隊員はかなり焦りました。そこで本部に嘆願書を出したのです。

 テレストリアルガード本部は海老名隊員1人に莫大な資金を注ぎ込んでます。だからなるべく早くメガヒューマノイドに復帰してもらいたいと思ってました。今回の海老名隊員の嘆願書を機に、隊長を促したようです。

 隊長は海老名隊員が18歳になったらメガヒューマノイドに復帰させるつもりでしたが、本部の命令には逆らえません。仕方なく3ケ月後に海老名隊員をメガヒューマノイドに戻すことに決めました。


 2つ目はレーザーガン。テレストリアルガードの隊員はレーザーガンを所持してますが、それは緊急時のみ。普段は丸腰です。

 けど、例えばパトロール中に侵略宇宙人が現れたと報告を受けた場合、一度基地に戻ってレーザーガンを所持してから出撃しないといけなくなります。これは不便。

 そこで隊長が本部にお伺いを立て、それが認められました。これによりテレストリアルガード作戦部門の隊員は、常時レーザーガンを所持できるようになりました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る