魔法少女にはまだ早い 3
彼女の眼にシェルターの無骨な姿が見えてきました。やっぱりあの中に入っちゃダメだ・・・ そう思うと少女はきびすを返しました。それを見て少女の背後にいた女の子(ともちゃん)がびっくり。走り去る少女を見て、
「あ、えびちゃん、どこに行くの?」
少女は走りながら振り返り、
「教室! ごめん、ちょっと忘れ物!」
しかし、彼女が向かう先は教室ではありませんでした。少女は裏門から校外に出て、その場にあった街道に飛び出しました。そこに大型トラックが。いきなり少女が飛び出してきたもので、トラックの運転手はびっくり。
「うわっ!」
トラックは急ブレーキ。トラックは少女の身体の前でなんとか止まりました。
「バッカヤローっ! 死にてーのかよっ!」
トラックの運転手さんはドアの窓から顔を出して怒鳴りました。なのに少女はこのトラックの助手席のドアのところに行き、ドアをバンバン、バンバンと激しく叩きました。
「お願いです、開けてください!」
「お、おい、ドアが凹んじまうだろっ!」
運転手さんは慌てて助手席のドアを開けました。すると少女はトラックに乗り込んでしまいました。運転手さんはまた怒鳴りました。
「おい、いったいなんのつもりだ!」
少女は運転手さんの顔を見て、
「お願いです! クルマを出してください!」
「だから、なんなんだと言ってるんだ!」
「この町にミサイルが墜ちてくるんです! 早く逃げないと!」
「ミサイルて、あれか? 今ラジオで言ってるやつか?」
今このトラックのラジオから
「現在ユミル星人の水素核融合弾と思われる飛翔体が地球に向かって多数飛んでます。市民のみなさんは直ちにシェルターに避難してください! 繰り返します・・・」
というフレーズが繰り返し流れてました。少女は訴えます。
「そうです! このミサイルが墜ちてくるんです!」
「ふざけんな! そんなの信じられるかよ!」
と、ここでけたたましいクラクション音が。ここは片側一車線の街道です。巨大なトラックが路上で停車していたら後ろが詰まってしまいます。後続車にクラクションを鳴らされて当然。運転手さんは「ちっ!」と舌打ちをして、トラックを発車させました。
少女を乗せたトラックは街道を快調に走ってます。ここはそのトラックのキャビン。運転手さんはハンドルを握りながら少女に荒々しい口調で質問です。
「いったいなんのつもりだ? こんな地方都市にミサイルが墜ちてくるはずがないだろって!」
「いいえ、ここに墜ちてくるんです!」
「なんでそんなことがわかるんだよ?」
「私にはわかるんです!」
「だから、理由を言えよ!」
ラジオから流れてくるアナウンスの内容が変わりました。
「今新しい情報が入りました。自衛隊及び各国の軍隊は迎撃ミサイルで飛翔体を次々と破壊してます。これまで大気圏外で破壊した飛翔体は40基以上・・・」
運転手さんはそれを聞いて、
「ほら、見てみろ。地球に落ちて来るミサイルは1つもないんじゃないか!?」
けど、対向車の量は極端に少なくなりました。トラックの前後を走る車両もほとんどありません。空襲警報(サイレン)は相変わらず鳴り響いてます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます