魔法少女にはまだ早い 2
少女はまた黙ってしまいました。なかなか次の発言がありません。すると今度は香川さんが発言しました。
「そろそろテレストリアルガードの集合時間だ。私は行くよ。明日また来る。そのときに応えを聞こうか」
ワンテンポ置いてドアを開け、ドアを閉める音が。バタン。その直後、再びドアが開き、何人か入ってきた気配がしました。
「ようやく目醒めたようですね、海老名さん。ご機嫌はいかかですか?」
どうやら医師か看護師が入ってきたようです。けど、少女はしばらくは無言でした。
少女はいったい何が起きたらのか、思い出してみることにしました。
少女はそのとき、小学校で授業を受けていました。ちなみに、彼女は小学校4年生、10歳です。
突然校内にサイレンが鳴りました。続けてスピーカーから声が。
「校内のみなさんにお伝えします。現在かなりの数の飛翔体が地球に向かって来てます。みなさんは直ちにシェルターに避難してください」
それを聞いてすべての児童が立ち上がりました。けど、パニックを起こす児童は1人もいません。実はこの3年前ユミル星人が地球に侵攻してきたのですが、その手始めに12発の水素核融合弾を地球に落としてきました。水素核融合弾とは放射能が出ない水爆のようなもの。そんなことがあったもので、すべての教育施設では何度も何度も避難訓練が行われてました。そのお蔭でパニックに陥る児童は1人もいなかったのです。
少女はヘルメットを被り、顎紐のファスナーをカチッと絞めました。そして側にいた女の子に話しかけました。
「ともちゃん、行こっ!」
女の子は返事しました。
「うん!」
2人は歩き始めました。と、そのとき少女は窓の外を見ました。窓の外には1階建てながら、かなり大きなコンクリート製の無骨な建物がありました。この建物がシェルターです。
水素核融合弾が墜ちてくるとしたら、東京などの巨大都市。それゆえ巨大都市とその周辺に造られたシェルターはすべて地下に設けられました。けど、彼女が住んでる町は地方都市。地方都市は直撃されることはないと思われたのか、シェルターの半分は地上に造られたのです。
少女がこの建物を見たとき、ふと変な感覚に襲われました。シェルターが大破してるのです。屋根の部分は完全に剥がされていて、外壁のいくつかもなくなってました。
「え?」
少女は驚いて
実は彼女には不思議な能力がありました。未来を視る能力です。
彼女はほんの少し未来のシェルターを視た? 水素核融合弾ミサイルがこの町に墜ちてきて、その威力でシェルターはめちゃくちゃに破壊されてしまう? そんなシェルターに逃げ込んだら、私はどうなってしまうんだろう?・・・
それを思うと少女は迷い始めました。このことをみんなに教えないと・・・ け、けど、私の言うことなんか誰も聞いてくれないような気がする・・・ 今見たのは、ただの幻かもしれないし・・・ で、でも本当だったら?・・・
彼女の眼にシェルターの無骨な姿が見えてきました。やっぱりあの中に入っちゃダメだ・・・ そう思うと少女はきびすを返しました。それを見て少女の背後にいた女の子(ともちゃん)がびっくり。走り去る少女を見て、
「あ、えびちゃん、どこに行くの?」
少女は走りながら振り返り、
「教室! ごめん、ちょっと忘れ物!」
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