前方の敵後方の敵 19
怪物はフードを取りました。その顔は一つ眼のガイコツでした。入谷隊長はついに悲鳴をあげました。
「うぎゃーっ!」
入谷隊長はシートベルトを外すと、2人の乗員に喰ってかかりました。
「おい、レーザーガンだ! レーザーガンを貸せーっ!」
襲われた乗員はびっくり。
「えぇ?」
宮山隊員と番田隊員は背後から入谷隊長を押さえつけます。
「隊長、やめてください!」
「もう、何やってんですか、隊長!?」
「離せ! 離せ! 離せ! 離せ、このやろーっ!」
ここで隊長ははっとしました。怪物はいつまにかフロントガラスの内側に立ってたのです。
「ぐわーっ!」
入谷隊長はついに乗員からレーザーガンを奪いました。入谷隊長が振り返ると、怪物は入谷隊長に向かって大きく鎌を振り上げてました。
「やめろーっ!」
そう言い終わるや否や、入谷隊長はレーザーガンを発射。その光弾が怪物に命中・・・ が、光弾は怪物を素通りし、そのままフロントガラスを貫通。宮山隊員と番田隊員の顔が瞬時に絶望的になりました。
「ああ・・・」
大きな地球。その縁で何かがピカーっと光りました。
テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。イスに座ってる香川隊長が右手の拳を開けました。すると小さな石が転げ落ち、テーブルの上を転がりました。隊長がそのまま視線を上げると、そこに赤いマントの幼い女の子が立ってました。女の子はマントと一体になったフードを目深に被ってます。その手には弓矢が握られてます。すでに矢は番われてます。女の子が口を開きました。
「前にも警告しましたよね。あなたは殺し過ぎました」
隊長は応えます。
「覚悟はできてるよ。さあ、やるんならやってみろ!」
女の子はちゅうちょなく矢を射ました。その矢が隊長の心臓に刺さりました。矢はアサルトライフルの銃弾を数十発喰らっても絶対破れないテレストリアルガードの隊員服をいとも簡単に突き刺さったのです。
「うぐっ・・・」
けど、隊長にはまだ息がありました。隊長は自分の胸に中途半端に刺さった矢を見て、
「くそっ、なんだよ・・・ ちゃんと中まで矢が刺さってねーじゃねーかよ! 一思いに殺せよ!」
女の子はフードで目が見えませんが、口元は笑ったように見えました。女の子は次の矢を番えました。が、ここで壁に開いた大きな穴から、女神隊員が突入してきました。
「隊長!」
赤い女の子が矢を放ちました。女神隊員は隊長の前に立ちふさがり、ハニカム構造のバリアを張りました。バリアを張るポーズは特に決まってませんが、今回は片ひざを付き、両腕を真っ直ぐ伸ばし、両掌を目いっぱいに広げ、バリアを発生させました。そのバリアが矢を弾きました。それを目の当たりにして、女の子は驚きました。
「え?」
さらに女の子は女神隊員の剥き出しになってる単眼に注目。そして愕然。
「な、なんでここにあなたが?・・・」
女神隊員は右手の指で拳銃の形を作って、光弾を発射。それが女の子の喉元に命中。女の子の身体は吹き飛ばされ、背中から壁に激突。そのままずるずると壁に沿って倒れました。
女神隊員は右手で拳銃を作ったまま、女の子のところまで小走りで進み、とどめに光弾を2発発射。その光弾が女の子の心臓を直撃。女神隊員は女の子の生死を確かめるべく、そのフードをめくりました。
「ええ?・・・」
女神隊員は驚きました。その幼い女の子は女神隊員と同じ単眼だったのです。ただ、女の子は鼻のような小さな突起があります。女神隊員にはそれがありません。明らかに違う人種でした。女神隊員は直感しました。この身体は仮の肉体。本物は別のところにある・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます