前方の敵後方の敵 15
橋本隊員。
「そこで昨日認識ステルス機能を発動させたまま、女神隊員を襲ったんだな」
入谷隊長。
「まさかあの隊員服にあれほどの耐久性があったとはな・・・ 中の人に合わせて巨大化したんだから、生地の密度は低くなると思ってたんだが・・・」
香川隊長。
「お前たち3人はその後何食わぬ顔でJ1に戻って、あらためてうちに来たんだな」
入谷隊長。
「ここに来るとき謝罪派に詰め寄られたよ。テレストリアルガード本部に行くんだったらちゃんと謝罪してこいと。お前たちがあの女を隠さなきゃ、この件は穏便に済んだんだ!」
「そっか」
隊長はなぜか苦笑してます。と、その左手のサポーター型ポケベルが振動しました。
「ん?」
隊長は身近にあった固定電話に出ました。
「もしもし・・・」
隊長の顔色が急激に変わりました。
「はぁ~・・・」
その一言で会議室の空気が変わりました。隊長は一同の顔を見て、
「おい、その3人を離してやれ。釈放だってよ」
それを聞いて橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員はびっくりです。
「ええ?・・・」
香川隊長は宮山隊員を見て、
「ふっ、お前のじーさんの政治力ってやらを十分に見せてもらったよ」
宮山隊員はケラケラと笑い声をあげました。
「ふふ、そうですか。今後は十分気を付けてくださいね。あははは~」
サブオペレーションルーム。女神隊員はテーブルのイスに座ってます。今はウィッグだけで特徴的な単眼を隠してます。髪の毛の隙間から自動翻訳機のヘッドセットが見えます。女神隊員は下を向いてます。何かを待ってるようです。
引き分けの自動ドアが開き、香川隊長が入ってきました。女神隊員はピクンと反応しました。オペレーションルームのコンソールの前に座ってた上溝隊員も隊長に気づき、振り返りました。
「あ、隊長、どうなりました?」
「釈放だ」
隊長の思わぬ発言。上溝隊員は思わず驚きの声を挙げました。
「え、ええ~?・・・」
バーン! いきなり激しい音。
「へ?・・・」
上溝隊員がびっくりしてその方向を見ると、女神隊員が両掌でテーブルを激しく叩いたところでした。女神隊員は涙声で発言。
「なんで、なんで無罪なんですか?」
「無罪とは言ってないぞ。今日のところは一時釈放だ。あと1時間もすればJ1から迎えが来る」
女神隊員は思わず立ち上がり、
「なんで? なんで! あいつら、たくさん悪いことしたのに!」
「残念だが、この国の今の法律では、裁けるか裁けないか、五分五分てところだ。
あんたは自分の同胞を大量に殺した罪で裁きたいと思ってるようだが、こればっかりはどうしようもないんだ」
「で、でも、テレストリアルガードにも攻撃した!」
「だから、それで罪に問えるかどうか、半々てところなんだよ。ま、テレストリアルガード法には明確に違反してるから、懲戒解雇はまぬがれないな」
「なんで、なんで・・・
うおーっ!」
女神隊員は吼えました。上溝隊員はびっくりして身を縮めました。
女神隊員は両ひじを腋につけました。その両手にはそれぞれ違う色の光のエネルギーが集まってきます。これはあの光線技のルーティンです。上溝隊員は焦りました。
「ちょ、ちょっと、ここではやめてよーっ!」
けど、隊長は止めようとしません。女神隊員は光に包まれた両手を頭上高く挙げ、そして振り下ろしました。両手が水平になったところで両掌を合すとビームが発生。ビームは壁に向かいます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます