宇宙人受難之碑 10

 ストーク1号機の腹から2条の光が照射され、その光の中を隊長と寒川隊員が降りてきました。2人は公園の中に着地。そこには女神隊員が待ってました。

「隊長、遅いですよ!」

「あんたが早すぎるんだよ」

 実は女神隊員は、テレポーテーションで先に降りてたのです。


 別の路上では2つの光のリフトを使って橋本隊員と倉見隊員が着地しました。橋本隊員が倉見隊員に声をかけました。

「この先か?」

「はい、この坂の上です」

 2人は坂を駆け登り始めました。

「よし行くぞ!」

「はい!」


 隊長と寒川隊員と女神隊員が坂を駆け登り、橋本隊員と倉見隊員が坂を駆け登り、この2組が合流したところが、いかにも施設て感じの門の前でした。その施設の中を見て、隊長は唖然としてしまいました。門の向こうにはたくさんの幼い子どもが見えます。中には車いすの子や松葉杖をついた子もいます。みんな楽しそうに遊んでいます。

「こ、ここがじょんのび家族?・・・

 おいおい、これはいくらなんでもまずいだろ」

 隊長は海老名隊員の顔を思い浮かべ、

「あのバカ、常識てーのを知らないのか?」

 と、隊長はある異変に気づきました。女神隊員がこの施設の敷地に入って、歩いてるのです。

「お、おい、待てよ!」

 隊長も慌てて敷地の中に入りました。

 女神隊員は正々堂々子どもたちの中を歩いてます。が、1人の子どもがその存在に気づいてしまいました。

「あ、ヘルメットレディだ!」

 それを合図に、子どもたちみんなが女神隊員を見ました。

「ほんとうだ! ヘルメットレディだ!」

 ほとんどの子どもたちが女神隊員のところに集まって来てしまいました。

「わーい!」

 女神隊員は完全に小さな子どもたちに囲まれてしまいました。これにはさすがの女神隊員も参ってしまいました。その女神隊員を隊長・橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員が追い越して行きます。

「あとはオレたちに任せとけ」

 女神隊員は小さな子どもたちに悪戦苦闘です。

「ああ、もう・・・」

 隊長は横目で女神隊員を見て、

「あいつ、なんでこんなに焦ってんだ? ふっ、ちょうどいいや・・・」

 とつぶやきました。


 隊長たちが施設の建物に到達しました。すると偶然か、今1人の成人女性が建物から出てきました。どうやら施設の職員のようです。隊長はその女性に話しかけました。

「あ、どうも、私たちはテレストリアルガードの者です」

「あ、は、はい・・・」

 変てこりんなユニホームを着た見知らぬ男性が突然現れ話しかけてきたもので、女性はぽかーんとしてしまいました。寒川隊員はその女性にタブレットを見せました。そのタブレットには1人の男の顔が映ってました。

「この人、見たことありますか?」

 女性ははっとしました。

「そ、その人は・・・」

 女性はふとこの敷地を区切る木製の背の低い柵を見ました。柵の向こうは山道と原野です。今1人の男がその柵についてる小さな木戸を開けたところです。その男はタブレットに映ってた男です。女性は思いっきり叫びました。

「逃げてーっ!」

 男ははっとしました。隊長もはっとしました。女神隊員もはっとしました。男は逆方向に走り始めました。それを見て女神隊員も走り始めました。が、そのはずみで幼い子どもたち数人が弾き飛ばされてしまいました。隊長は大きな声で泣き始めた子どもたちを見て、頭を抱えてしまいました。

「あのバカ! もーっ!」

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