宇宙人受難之碑 9
海老名隊員は柄にもなく真顔で女神隊員に言い放ちました。
「調べることはできません。そんなことしたら、私が隊長に怒られまます!」
「調べてください。調べる気がないのなら、私は今ここで巨大化します!」
海老名隊員は唖然としてしまいました。女神隊員がこんなにも高圧的になるなんて・・・
海老名隊員は考えました。もし女神隊員が今ここで巨大化したら、私はガレキの下敷きになって死んでしまうかも・・・ 死ななくても、大けがはまぬがれません。
実は海老名隊員は以前、ガレキに挟まれ瀕死の重傷を負ったことがありました。第2次ユミル星人侵攻の時です。あんな大けが、2度とごめん・・・
海老名隊員は心の眼で部屋中を見渡しました。この部屋には監視カメラが要所要所に設置されていて、常時録画されてます。今の女神隊員の発言も録画されてるはずです。私は脅かされて仕方なくやった。そんな言い訳が通じる状況です。海老名隊員は決意しました。
「わかりました。調べます」
海老名隊員は歩いてオペレーションルームに向かいました。と、扉のところで女神隊員に振り返り、
「あ、こっから先は見ないでくださいね」
と言うと、ボタンを押して扉を閉めてしまいました。
密室となったオペレーションルームの中、海老名隊員はテーブルに座ると、目の前のコンピューターのキーボードを叩きました。つぎに指紋認証システムに左手薬指の腹を置きました。するとピッと音がし、ディスプレイに表がずらーっと現れました。海老名隊員はそのディスプレイに自分の右の掌をかざしました。
「もう、いくらなんでも巨大化する宇宙人なんか、そんなにいるはずがないよ~ だいたいあなただって数百万人に1人の巨大化できる宇宙人なんでしょ?」
が、ディスプレイにかざした手にビクンと反応がありました。海老名隊員ははっとしました。
「あ、いた・・・」
夕暮れ間近ですが、まだまだ空は明るいようです。ここはテレストリアルガードの基地です。今カマボコ型の格納庫から1機のストーク号が出てきました。続けて同じ格納庫からもう1機のストーク号が出てきました。
先に出てきたストーク号にはJPTG-STORK01の文字が、後から出てきたストーク号にはJPTG-STORK02の文字が見えます。JPTG-STORK01(ストーク1号機)の機内には隊長と寒川隊員と女神隊員が、後から出てきたJPTG-STORK02(ストーク2号機)の機内には橋本隊員と倉見隊員が乗ってます。
女神隊員はフルフェイスのヘルメットを被ってます。いわゆるヘルメットレディの状態になってました。他の4人の隊員はフルフェイスではないヘルメットを被ってます。
2機のストーク号が垂直離陸しました。隊長の命令です。
「よし、ジャンプ!」
隊長の横に座ってる寒川隊員が応答しました。
「了解!」
ストーク2号機の橋本隊員も応答。
「了解!」
2機のストーク号がふっと消滅しました。
2機のストーク号がふっと現れました。下は山間部ですが、かなり都市化が進んでます。急な山肌に沿って家が建ち並んでます。隊長は下を見て、
「おいおい、ほんとうにこんなところにいるのか?」
それに寒川隊員が応えました。
「ええ、じょんのび家族という施設にいるようです」
「どんな施設だ? 老人ホームか?」
「それが・・・ どんな施設なのか不明です」
「え?」
「今資料がないのです」
「おいおい・・・」
隊長はなんとなく嫌な予感がしましたが、とりあえず降りてみることにしました。
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