宇宙人受難之碑 5

 が、倉見隊員がふと横を見ると、隣りの橋本隊員も拍手してました。

「え?」

 橋本隊員は真面目な顔で無心に拍手してます。それを見て倉見隊員は唖然としてしまいました。

「橋本さん?・・・」

 橋本隊員は女神隊員に命を助けてもらったせいか、宇宙人に対する考えがまったく変わってしまったようです。


 再びテレストリアルガードサブオペレーションルーム。テレビを見ていた上溝隊員が軽く笑いました。

「あは、うちの隊長がこんな立派な演説をするなんて・・・」

 が、その瞬間上溝隊員は気づいてしまいました。女神隊員はかなり真面目にこの演説を聞いてるのです。上溝隊員は、

「あは、こりゃまずかったかな?」

 と、心の中で苦笑い。

 ここで女神隊員の顔に異変が。顔のど真ん中、ウィッグの透き間から一筋の水滴が。どうやら涙のようです。それを見て上溝隊員はびっくり。

「え? ええ・・・」

 上溝隊員は慌ててティッシュを取りました。

「あ~ もう・・・」

 上溝隊員はそのティッシュを女神隊員に渡しました。

「はい」

 女神隊員はそのティッシュを受け取りました。

「あ、ありがと」

 女神隊員は流れ出てくる涙をそのティッシュで拭きました。上溝隊員はその女神隊員を横目で見て、心の中でこう言いました。

「もう、眼が1個しかないから、涙が鼻水にしか見えないんだよね・・・」

 ちなみに、女神隊員の眼は大きすぎるせいか、涙腺も異様に大きく、そのせいで涙の量も半端ないのです。


 しかしです。世の中にはこの演説を快く思ってないヤカラもいるようです。

 ここは古色蒼然としたアパートの部屋。汚い部屋です。季節外れのこたつの上には、使用済みのカップラーメンのカップやペットボトルがたくさん載ってます。まるでゴキブリが運動会をやってるような汚い部屋。その傍らのテーブルでインターネットをやってる男がいます。メガネで小太り、髪の毛ボサボサ、いわゆるブサメンです。

 ブサメンはテレビとパソコンのディスプレイの画面を交互に見ながら、こんなことを言ってます。

「けっ。きれいごと並べやがって! エイリアンはエイリアンだろ! こいつらだって侵略しに来たんじゃねーのか?」

 プサメンは検索サイトに入ると「自衛隊」という文字を打ちました。どうやら自衛隊関連のサイトに行ったようです。ブサメンは自衛隊の兵器を閲覧しながら、ぶつぶつとつぶやいてます。

「テレストリアルガードの隊長がこれかよ? ぜんぜん使えねーじゃん! ああ、もう日本じゃ自衛隊しか使い物にならないのか?・・・ テレストリアルガードの技術を全部自衛隊に移植しちまえば、自衛隊は世界一の軍隊になるのによ! まったく、政府与党は何やってんだよ!」

 ブサメンはいろんなページを閲覧してますが、ふとあるページで手を止めました。

「ん、これは?」

 そこには黒焦げな死体が写ってました。あまりにも凄惨な写真に、ブサメンはびっくり。

「うわ、きも~! なんだよ、この写真?」

 次の写真には、死体の搬出作業を行ってる防護服姿の人がたくさん写ってました。

「なんで防護服を着てるんだ?」

 次の写真には宇宙船と思われる残骸が。

「これってもしかして、さっき言ってた宇宙船の墜落現場の写真じゃ?・・・」

 写真をめくると、カプセルから半分出ている死体や子どもの死体、大きく欠損した死体などが出てきました。さすがのブサメンも、言葉が出ません。口をぽか~んと開けたままになりました。

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