女神の一番長い日 6

 ヘロン号はビーム砲を撃ち続けます。一つ眼の宇宙人は這いずって逃げようとしますが、ビームはずーっとうなじを捉えてます。さすがに隊長の横槍が入りました。

「おい、もういいだろう」

 が、ヘロン号はなおをビーム砲を撃ち続けます。ベテランの隊員がコンソールのスライド型のスイッチを指で上げました。どうやらビーム砲の出力を勝手に上げたようです。一つ眼の宇宙人は断末魔の声を挙げっ放しとなりました。

「おい、いい加減にしろ!」

 隊長がついに一喝しました。ヘロン号のベテラン隊員は悔しそう。

「ちっ」

 やっとヘロン号のビーム攻撃が止まりました。宇宙人は完全にグロッキー状態。うつ伏せで顔は見えませんが、気絶してるようです。これを見てストーク号の一般隊員は青ざめました。

「ひ、ひどいことするなあ・・・」

 と、その隊員の目の前の計器が何かに反応しました。

「む、隊長、何か来ます。これは・・・ 自衛隊のヘリコプターです!」

「はぁ、自衛隊のヘリコプターだと? ふざけんな! こいつはテレストリアルガードの仕事だろ!」

 隊長はそう言うと、目の前のコンソールのスイッチを入れました。

「こちらテレストリアルガード! こちらテレストリアルガード! 応答願います!」

 が、何も返答がありません。隊長は再度呼びかけました。

「おい、応答しない気か? これじゃホットラインの意味がないだろって!」

 しかし、やはり返事はありません。

「ちっ」

 ついに隊長は怒鳴りました。

「おい、自衛隊官房、応答しろ! 応答しないと、今度はあんたの孫娘がポックリと逝くぞ!」

 すると無線から声が聞こえてきました。ちょっと焦ってるようです。

「ま、待て!」

「ようやく反応したか、このボンクラが!

 今未確認飛行物体の墜落現場にいるが、なんか自衛隊のヘリコプターがこっちに向かってるようだが、なんのつもりだ?」

「それは情報収集だろ」

「はぁ?

 なあ、ボンクラ! テレストリアルガード法の条文を言ってやろうか?

 宇宙からの侵略行為があった場合、第一に防衛責任があるのはテレストリアルガード。その他の組織はテレストリアルガードの要請がない限り、関与してはならない。

 我々が要請しない限り、自衛隊は動けないはずだが?」

「戦闘には参加しないつもりだ。我々の目的は、あくまでも情報収集だ」

「そっか・・・ あんたの孫娘、今7歳だったっけ? ふっ、かわいそうにな」

「わ、わかった。ヘリコプターは引き返させる。それでいいだろ!」

 プツンと無線が切れました。隊長は得意顔を見せました。

「ふっ、わかりゃいいんだよ!」

 ここで一般隊員が隊長に呼びかけました。

「あの~ 隊長、よろしいですか?」

 隊長は一般隊員を見て、

「ん、なんだ?」

「あの宇宙人の身体ですが・・・」

 ストーク号の眼下、たった今倒したばかりの巨大な一つ眼の宇宙人の身体が消えてました。隊長は驚いてます。

「お、おい、消滅したのか?」

「いいえ、縮小です」

 モニターに地面にうつ伏せで倒れてる人の身体が映し出されてます。服装からして一つ眼の宇宙人のようです。

「我々と同じサイズになりました」

「な、なんだ? 今まで巨大化してたのか?・・・ とりあえず降りてみるか」

 ストーク号が垂直着陸を開始しました。地面近くになったところで、隊長が命令です。

「水平停止!」

 寒川隊員がそれに応えます。

「了解!」

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