女神

女神の一番長い日 ４

　飛行物体がついに墜落。尾根に接触するように墜落して、そのまま山肌を猛スピードで駆け降り、渓谷に激突、大爆発。とてつもなく巨大な火柱が上り、衝撃波が発生しました。あたりの森林はこの衝撃波ですべて吹き飛んでしまいました。

　ストーク号のコックピット。一般隊員の発言。

「うわっ！　こりゃあ搭乗者は全滅したんじゃないのか？･･･」

　が、隊長の反応は別でした。

「いや･･･」

　炎と煙の中に何かが見えます。それは人影、巨大な人影でした。身長は50ｍはありそうです。ヘロン号の２人がそれを見て、

「な、なんだ、あれは？　人なのか？」

「おいおい、巨人が乗ってたのか？　飛行物体と寸法が合ってないじゃん！」

　巨人は細身でウェストがくびれてました。ストレートなダークグリーンの長髪は、腰のあたりまで伸びてます。首からつま先までワンピースのくすんだ銀の服を着てます。ストーク号の一般隊員がそれを見て、

「女？」

　何か声が響いてます。巨大な宇宙人がしゃべってることは確かなのですが、それは地球人には理解不能な言語です。ストーク号の一般隊員はそれを聞いて、

「何か言ってますね･･･」

「自動翻訳機を」

「はい！」

　ヘロン号が巨人の真後ろから大きく螺旋を描きながら前方に廻り込んで行きます。そしてついに顔が見えました。なんとその顔は、巨大な眼が１つだけ。鼻はなく、口は裂けるってほどではありませんが、かなり大きいようです。それを見てヘロン号の２人が驚きました。

「うわっ」

「気持ち悪い顔だなあ～」

　ストーク号の機内、ストーク号の一般隊員が隊長に発言しました。

「隊長、自動翻訳機の用意ができました！」

「よし！」

　ストーク号が一つ眼の宇宙人の顔の前で空中停止しました。宇宙人は再び何かを訴えてます。声からしてやはり女性のようです。自動翻訳機が彼女の未知の言語を解読しました。

「なんで、なんで撃った？　なんで我々を攻撃した！」

　隊長はその質問に応えました。

「スペースステーションの攻撃か？　すまないことをした。謝罪する」

「ふざけんな！　この船には5000もの難民が乗ってたんだ！」

　それを聞いてヘロン号のベテランの隊員がつぶやきました。

「はぁ、5000？　ふっ、その体格じゃ、１人でもキツキツじゃないのか」

　一つ眼の宇宙人は、

「この星はなんの警告もなしに撃つの？　ひどい！　ひどすぎるよ！」

　と言い終わるや否や、右手を真っ直ぐ伸ばし、ストーク号を掴まえようとします。が、ストーク号は滑らかに後退。その手を避けます。ストーク号は反重力エンジンを使ったようです。宇宙人は「ちっ！」と舌打ちをしました。

　宇宙人は右腕を水平に保ちました。その手は地球人と同じ５本指で、親指と人差し指で拳銃の形を作ってます。隊長はそれを見て、

「バリア！」

　一般隊員がそれに応えました。

「了解！」

　人差し指の先から強烈な光弾が放たれました。その光弾がストーク号に向かっていきます。が、ストーク号に命中する寸前、光の円盤が地面と垂直に現れ、その光弾を弾きました。これもヴィーヴルから供与された軍事技術の一つのようです。宇宙人はそれを見て驚きました。

「弾かれた？･･･」

　ヘロン号のベテラン隊員はびっくりしてます。

「な、なんだ？　指から光弾が？･･･」

　同じヘロン号の若手の隊員は怒り心頭です。

「くっそーっ、ビーム砲を喰らわしてやる！」

　ヘロン号の腹から１つの砲塔が現れました。ビーム砲の砲塔です。が、

「待て！」

　ストーク号の隊長からストップがかかりました。ヘロン号の若手隊員は悔しがってます。

「え、ええ～？･･･」