第599話 同級生と妹ちゃんとの休日

――えっ?タイトルがおかしい?何か増えた?いやいや気のせいだろう。うん。今俺は七菜とともに近鉄四日市行きの普通電車に乗ったところ。そして今は発車待ち中――えっ?同級生が増えている?いやいやそんなこと気にしなくていいんだよ。それに今は七菜と俺。2人だけ。うん。同級生という人は居ません――もしかしたら予告なのかもしれませんね。はい。


……あれ?俺は誰に話していたのだろうか……気のせい?まあいいか。って、ちょうど発車時刻になったようだ。発車ベルが鳴り――俺と七菜の乗っていた普通電車のドアが閉まった。


「——加茂先輩?聞いてます?」


隣からは何か声が聞こえるが――電車は湯の山温泉駅を定刻通り発車した……って?うん?七菜が何か言ってる?あれ?何か話していたっけ?


「——はい?」

「聞いてませんでしたね?先輩」

「えっ――あ――うん。えっと――何話してた?」

「もう。ちゃんと聞いているようで聞いてない先輩でした」


ご立腹のポーズの七菜だった。


「いや、ちょっと別の事を――」

「まあいいですよ。で」

「で?」

「今日の晩ご飯お願いしますね」

「——はい?」


おかしいな会話が全く噛み合ってない。

何が起こったのかな?確か俺は七菜と電車を持っている間雑談をしていて――柊たちとは遭遇して変に巻き込まれなくない的な話をしていて――それから電車が駅へとやって来たから電車に乗って――あれ?その後何を話していたか。

どうして晩ご飯の事になったのだろうか?


「加茂先輩がポンコツです」

「いや――あれ?」

「だから。言ったじゃないですか」

「何をでしょうか?」

「ホントは今日から宮町先輩のところに遊びに行く予定だったので、冷蔵庫の中が綺麗さっぱり無いんですよ。で、なんか作るの面倒じゃないですが。そしたら先輩も同じような事言っていたので、じゃあ一緒に食べましょう。作ってくださいになったんですよ」


……ヤバいな。全くその会話記憶にないんだが――俺なんか余計なことを話しつつ。適当に返事をしていたのだろうか――。


「……そんな話していた?」

「してましたよ?」


何を言っているんですか?というような表情で七菜がこちらを見つつ言ってきた。


「頷いてたじゃないですか。先輩も」

「柊のところの話までしか記憶にない」

「先輩がぼけましたか」

「いやいや」

「まあでも買い物行くんですよね?」

「あー、そうそう、買い物は行く。ってか行かないと何もないな」

「だからこのまま買い物行ってーですね」

「なんかわかんないけど。まあ料理するのに1人分も2人分もたいして変わらないか」

「ですです。よし。楽できます」

「……なんかいいように過去が変えられた気がする」

「そんなことないですよー」


まあいいか。と俺は思いつつ。ちょっとスマホを確認。すると隣から七菜が再度話しかけてきた。


「そういえば先輩」

「うん?」

「明日って何時くらいに宮町先輩のところへと行くんですか?」

「あー、そういやその話全く聞いてないかも。聞いておかないと」

「お願いしますね。私のところにも何もメッセージは来てないので」

「了解」


七菜とそんな話をしつつメッセージを確認してみると――予想されていたのだろうか。数十分前に海織からメッセージが届いていた。


「海織からメッセージ来てるわ」

「なんてですか?」

「ちょっとタイム」


スマホを操作し。海織のメッセージを開くと――。


『そうそう。楓君明日はお昼過ぎにみんなで来てねー。お昼ご飯は準備しておくから。あっ。駅に着く時間わかったら教えてー。迎えに行くから』


というメッセージが1つ。あと――。


『あと見てみて。ちょっと片付いたよ』

「……」


うん。追加の形でメッセージと画像が届いていたのだが――段ボールの画像。これは――今日何回か見た気がするのだが――海織さん海織さん。箱……減ってますかね?だった。うん。片付いているか謎な状況ってか――マジで明日お片付けになるんじゃないですかね?うーん。ってそれは置いておいて。


「七菜。なんかわからないけど、ナイスなタイミングで海織から明日はお昼ご飯準備しておくからお昼に――とのことです」

「おお、それは助かりますね。お昼ですね。ってことは――朝何時くらいに出発ですかね?」

「あー、あとで調べます。はい。まあでもそんな極端に早いことはないから」

「了解です」


七菜と話しつつ俺は海織にとりあえずOKのスタンプで返事をして――片付けに関して突っ込もうと文章を作っていると再度海織からメッセージが届いたのだった。


♪♪


『楓君。沙夜ちゃんがね。用事終わって帰って来たから夕方くらいに七菜ちゃんのところ行くって言ってたよー』

「……」


いやいやなんだこれ?俺はどうしたらいいというか――そもそもこれ俺に関係ある?という内容のメッセージが届いたのだった。うん。これは――七菜に送るべきことだよな?まだ一緒に居るのがバレているのだろうか……うん。海織の事だからね。バレてるか。


俺のところに海織からのメッセージが届いたのは16時47分。ちょうど乗っている電車が菰野駅に電車が到着した時だった。人の乗客の乗り降りをしている時。俺は海織からのメッセージに関してお隣に居る方へと伝えることにした。


「あの。七菜?」

「はい?」

「海織からこのようなメッセージが届いたのですが――」


俺はそう言いながら今届いたメッセージ画面を七菜に見せた。


「——ほえ?斎宮先輩ですか――って、私のところには何も来てないですけど!?」


うん。七菜は知らないことだったらしい――あと時間的にこれはもしかして――既に斎宮さん待ってないか?だった。


「七菜。買い物の前に一度家に行った方がいいのでは?斎宮さんが待ちぼうけ――しているとだから」

「何で私には連絡が来てないんですかね」

「いや、俺に言われても」

「それはビックリさせたいからでしょ!」

「「……」」


おかしいな。今は電車の車内で七菜と話していたはずなのだが――違う人の声。でもよく知っている声が俺と七菜の耳に届いてきたのだった。

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