第592話 取り合い?
いつものお昼。いつものベンチ。今日は講義があり午前中だけ大学へと来ていた俺は、現在大学内にあるいつものベンチ。まあ人が少ないからという理由で入学時からよく使っている場所に――ってこの説明は不要か。
まあお昼休みという事である。講義が終わってすぐ家に帰るのも、中途半端な時間ということで一人でのんびりとランチ中だ。
ってか。気が付いたら4年生の生活も1か月経過――というところか。
初めのころ。1年生の時とかは長いように感じることも今ではあっという間な気がする。まあいろいろすることがあるからか。なのかね。ホントあっという間。というかいろいろ巻き込まれているからあっという間なのだろうか?いろいろ何か巻き込んでくれるお方が近くに多いのでね。ちなみに今日は1人なので平和である。などと俺が思っていると――。
「——ってことでよ。楓。ゴールデンウイークちょっと手伝いとかできないか?」
「……えっ?」
突然横から話しかけられた俺だった。あれ?俺は確か――1人で居たはずなのだが……声の方を見るとちゃんと人居た。
「おっと。この楓の反応は全く興味がなくて聞いてなかったとみた」
「なんか――話してた?というか柊いつ来た?」
うん。俺の記憶が正しければ1人で俺はベンチに居たはずだ。
講義が終わり――歩いてきて「今日も空いてる空いてる」と思いつつやって来て座って――まあ適当にいろいろなことを考えていたはず。うん。1人だったはずなんだが……。
「まさかの楓も俺の存在が見えなくなってきたのか!?七菜ちゃんにも昨日似たようなこと言われたんだが……「あっ、居たんですね。すみません。さようなら」って」
「……柊。ホント何をしたら七菜にそんなに嫌われるのか謎なんだけど……七菜いい子だよ?ってか。さようならって……七菜も相変わらずで」
「ホントだよ。何をどうしたらいいのか。この前難波先輩も結局接し方教えてくれなかったしよ。適当に相手してりゃチマチマ付いてくるとか言っていたが――わからん。俺には全くついてこないんだが――むしろこっちが話しかけないとどんどん遠ざかっている気がする」
「——それは俺に聞かれてもですね。って柊何か今言ってなかった?
「あっ、そうだよそうそう。楓ゴールデンウイーク暇?」
「ゴールデンウイーク?まあ何もなかったような――」
「ならさ。ちょっと後輩たちと出かけるんだが。手伝ってくれないか?」
「そちらはそちらでいろいろやっていることで」
どうやら柊は今度の連休後輩くん。後輩ちゃんたちとお出かけを計画中らしい。って――俺が行ったところで何も出来ないというか。そのような場はですね――あまり乗り気ではないな。などと俺が思っていると。別の声と足音が聞こえてきたのだった。
「ちょっとちょっと白塚君。勝手に楓君持って行かないでよー」
うん。誰が来たのかというと――まあここに来るのは限られているので、海織なのだが――なんか俺の扱いおかしくない?
「あっ宮町さん。何か用事あった?」
「あるある。楓君はひもで縛って連れて行かないといけないところがあるからね」
「ちょっと待とうか。海織、なんかまた意味の分からない計画が動いてない?俺の知らないところで……」
うん。このお方。最近絶好調な日が多すぎますね。突然何か言い出すのでホント大変です。はい。
「楓は縛られたいと」
「柊も変なところだけ切り取らない」
「あれ?楓君に言ってなかったっけ?」
「何をでしょうかね?」
「ゴールデンウイークは私の実家行くよ。って」
「……聞いていたっけ?」
うん。再度になるが最近いろいろありましてね。なんかそういえば聞いたような気もするが。聞いてないような気も――などと俺が思っていると。
「宮町さんには勝てないから――沙夜を捕まえるか」
柊はさらっと俺を利用することをあきらめたのだった――が。
「無理無理ー。私はパス」
またまた違う人の声と足音が聞こえてきたのだった。って、ここ賑やかになりましたね。どんどん人が来るよである。
ちなみに今度ご登場されたのは――斎宮さんと七菜だった。今日は全員参加の日だったらしい。いや、朝ね。俺は1人で大学へ来たので他の方々の予定を知らなかったのでね。
「沙夜にはまだ何も言ってないはずなんだが?」
「なんかチラッと聞こえてたのが絶対大変そうなことだもん。ってか。私ゴールデンウイーク予定あるし」
「なんだ。いつも寝てばかりなのに?」
「そんなことないからね!?」
「俺の部屋で転がってるじゃん」
「知らないし。って、今回は海織ちゃんに誘われてるから無理ーだね。海織ちゃんの実家でくつろぐんだー」
どうやら先ほどの海織のお話には既に斎宮さんが絡んでいる様子。ってこの様子だと――男性陣には何の話も来てなかったが。女性陣には話が流れている様子だ。この流れだと七菜も――かな?などと俺が思っていると。
「みなさん休みはちゃんと予定あるんですね」
あれ?七菜には話がいってない様子。と、俺が思った時だった。
「「七菜ちゃんも俺(私)のところ来る?」」
海織と柊が同時に七菜の方を見て声をかけたのだった。
「……加茂先輩。何ですかこれ」
「七菜も何故俺に聞いてくるのか……」
うん。どうやら海織と柊。どちらもまだ七菜には声をかけてなかった様子――って、結局俺は海織のどんな用事に捕まっているのでしょうか?
ささっと俺の横に移動してきた七菜が俺に現状説明を求めているような視線なのだが――うん。俺も説明が欲しいかな?だった。
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