第572話 混ぜるな危険7

「ちなみに楓君」

「うん?」

「何時の電車で2人は帰って来ると思う?」


現在俺の部屋では、買い物へと行っている柊と七菜の帰りを待ちつつ残り3名が雑談をしているところである。って、ホント何をしているの?という感じですね。することのない暇人3人というか――ってか。また新たな予想ゲーム?が始まりそうな予感です。はい。


「えっと――今日は予想祭りか何か開催中なの?」

「だね。まあ暇つぶしだよ。することないしね。ご飯が届くまで」

「そうなのかー。って――そうだな。時間か」


俺は机の上にあった時刻表を手に取りめくる。ってか。ホント時刻表の使用頻度が多い最近。角などのボロがさらに目立ってきた。頑張ってくれよ。時刻表である。

俺が時刻表を見ていると、両側から2人も時刻表を覗き込んできた。って――ホント何度も言うが俺たちは何をしているのか。

まあ海織も先ほど言ったように、買い物へと行った2人が帰ってこないと――晩ご飯にもならないし。かといって――何かすることがある。ってわけでもなのでね。暇つぶし。うん。これが本当に正しいのかもしれない――って、しいて言うなら――時間があるなら卒論を書かないと何だけどね。時間は刻々と無くなっているというね。ホント、書いてるんだよ?パソコンとにらめっこや、本読んだりしてるんだよ。でもね……なかなか完成が見えそうで見えないという。藤井寺先生は毎回楽しそうに真っ赤っかにメモをしてくれるが――うん。時間がね無くなってきてるんだよ。だから時間があるならちょっとでも卒論をしたい。

そんな気持ちが少しだけ頭の片隅に居るのだが――斎宮さんや海織が何も持ってないのに1人だけ作業をってのはですからね。今は2人に合わせましょう。はい。なので……まあ、することがない。暇人ということで待つしかないので、予想祭りを継続しようということになったのだった。


俺は時刻表をめくり……めくり。先ほど見ていた湯の山線のページを再度見つける。


「えっと――時間的には近鉄四日市駅17時44分発か。または……次の18時03分発じゃないかな?」


時刻表の小さな文字を指差しつつ俺は2人に言う。


「ってことは――伊勢川島駅には17時54分か。18時13分着。ご飯が炊けるのといい勝負だね」


海織は現在頑張って稼働中の炊飯器を見る。それにつられて俺も炊飯器の方を――うん。いつも通り炊飯器は働いてます。こっちへと来てからよく頑張ってくれています。まああの炊飯器で炊けるマックスの量を今は炊いているので――ちょっといつもより炊飯器は大変かもしれないが――頑張っている。うん。ちょっとずつご飯の炊ける良い香りもしてきているのでね。あちらは問題無さそうだ。俺がそんなことを思っていると。


「良いご飯の香りして来たよねー。2人が遅かったら塩むすびでいいから食べたいかも」


斎宮さんがクンクンとしながらそんなことを言い出したのだった。するとその話に――。


「あっ、それいいね。炊き立てのご飯は美味しいからね」

「ラップと塩の準備しておく?楓くんどこにある?」

「いいねいいね。アツアツご飯で一口だけおにぎりでこっそりと先行。美味しそう」

「海織。斎宮さん。2人を待ってあげましょうよ」


海織、斎宮さんは既にお腹が空いているのだろうか?ご飯の香りにつられて――そんな話をし出したが。一応止めておいた俺だった。

まあ2人がこの後何時間も帰ってこないということがあったら――おにぎりは候補になるだろうが。さすがにそれはないだろうなのでね。あと少し2人を待ってあげましょうです。

今のところ湯の山線が遅延しているとか。止まっているという情報もないみたいなので――って、勝手に言っているだけなので、ちょっとスマホを操作して近鉄のホームページを確認してみる俺。うんうん。はい。特に遅延、運転見合わせはありませんので、2人が帰りの電車にちゃんと乗れば、そのうち帰ってきますね。何事も無ければあと少しで帰って来るはずです。


ちなみに俺達3人が時刻表を見つつ話していたのが17時45分頃の話。


それから七菜と柊が帰ってきたのは――18時25分頃だった。


――――。


ピンポン。


「あっ、帰ってきたみたい。はいはーい」


インターホンが鳴り。海織が立ち上がる。うん。ここ俺の家――というのはもう言わなくてもいいだろう。海織が出る確率の方が高いだろう。と誰かに言われそう。言われていそうだが――うん。もう良いのである。普通の事にわざわざ触れる必要はない。


「やっと来たよ。ローストビーフ。ローストビーフ。ご飯ご飯」


そして、語尾に音符が付いてそうな感じで、食べ物目当てのお方も海織の後を付いていきました。とっても楽しそうに足取り軽く移動していきます。食べ物は人を元気にするですね。平和な光景だった。

俺は――みんなが玄関に行っても詰まるだけなので、まあ濡れてはないと思うがタオルくらいすぐに出せるようにしておいた方がいいかな?などと思いつつとりあえず立ち上がると――。


「————えー!?何で!?」


突然斎宮さんの声。悲鳴?嘆き?が玄関の方から聞こえてきたのだった。

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