第532話 まっしぐら9
「じゃ、先輩。11時の電車頑張って乗りますから」
「いや。無理に――は。だから。焦ってなんかあってもだし」
「大丈夫です。高級ランチと、白塚先輩を破産させる買い物。こんな楽しいお出かけの時間を少なくしては、ですから」
「……七菜のテンションもおかしいか」
「とりあえず大学行ってきます。でわまた後でです!宮町先輩にも伝えておいてください」
「あ、うん。気を付けて……」
現在はお出かけの当日である。
俺はたまたま朝ゴミ捨てのために外へと出たら――ちょうど七菜が大学へと行くところで会った。というところだ。
ちなみに、先ほど七菜のテンションもおかしい。と俺が言ったのにはもちろん理由がありましてね。まあわかると思いますが――とりあえず七菜と別れてから、俺はゴミを捨て自分の部屋へと戻ると――。
「……うん。こっちもテンションがおかしい」
「ふっふっふー。ふっふっふー」
朝からのノリノリで朝ご飯を作っている海織を見つつつぶやいたのだった。
すると俺がつぶやいたのが聞こえたのか。
「うん?楓君何か言った?」
「いや、海織がご機嫌なんでね」
「そりゃもう。楽しみにしていたランチだからね。やっと食べれる!だよ」
海織が料理をしつつこちらに声をかけてきた。って――なんかめっちゃ料理を朝からしているというか――いや、朝ご飯はパンと決まっていたので、既に準備が――なのだが。
このお方は何をしているのだろうか?と俺が思いつつ海織に近寄ってみると――うん。お弁当?らしきものを海織は作っていた。何でお弁当なのかな?と俺は思いつつ。
「……海織さん?何をしているのでしょうか?」
「うん?これ?楓君と沙夜ちゃんのお弁当。多分時間的にお昼に電車移動でしょ?」
「まさかのこちらのお昼を朝から作ってくれていたのか」
その予想は全くしてませんでした。あと、そういえば移動の事だけ考えていて、俺と斎宮さん。ランチに行かない2人のお昼の事はすっかり忘れてました。と俺が思っていると。
「前に沙夜ちゃんがまた私のお弁当食べたいって言っていたからね。ちょっとサプライズで。多分沙夜ちゃんランチに行けなくて拗ねてるからねー。そうそう楓君ファイトだよ。あっ、でもとこにゃん見たい!って方が今は沙夜ちゃん強いかも?」
海織がそんなことを言ってきたのだった。
「……まあ斎宮さんは、まだ昨日もまだぶつぶつ言ってましたからね。って、そりゃ――あの金額のランチを3人でもかなりギリギリ。辛そうなのに――うん。4人はか」
「沙夜ちゃん何か理由を付けて――って頑張っていたんだけどね。でも、とこにゃんも見たいし。楓くんとデートもしたそうだったよ?」
「最後のは違うと思いますね」
うん。違うね。絶対。と俺が思いつつ海織に言うと――。
「えー、そうだと思うよ?」
何故か。楽しそうにしている海織だった。
うん。今日も俺――遊ばれているみたいです。
「——ホントにまあもう……って、海織も今日は朝から元気だよね」
「うん?私も?楓くんも元気なの?あっ。沙夜ちゃんと何か――ニヤニヤーこれは面白そうな事に――」
「違います。違いますから。俺は普通。ってか。海織は即ニヤニヤしない。元気だったのは。さっき会った七菜だから。11時の電車には絶対乗ります。みたいな宣言をしていたからね。うん。朝にしては元気というか――まあ七菜はいつも元気だけど。今日は輝いているというか。うん。なんか違った気がするから」
「あー、七菜ちゃんか。まあ昨日七菜ちゃんと一緒にお店の画像とか見たんだけど――かなり興奮してたからね」
「やっぱり海織が原因だったか」
「にひひー」
「柊もこの2人の同時相手は大変そうだ」
それから海織はお弁当を完成させて――俺たちは朝ご飯となったのだった。
ちなみにこの後の予定を言うと――先ほど七菜が言っていたが。11時00分発。あっ、湯の山温泉駅をね。11時ちょうど発の電車の事です。
その電車が待ち合わせとなっている。でもまあ七菜の講義が長引いたりしたら――というのも考えてあるので、次の電車でもOKでその場合は近鉄四日市駅集合なのだが。まああの七菜の雰囲気だと乗って来るだろうな。である。うん。
まあとりあえず電車で各駅で集合していき――名古屋へ。そして名古屋駅で別れて――ちょっと別行動。そして夕方に再度集合。という感じである。
いろいろとテンションが高い方が居るので、ちょっと心配なのだが――さてさてどうなるかである。
って、まあなんやかんやとしていると。あっという間に俺達も出発時刻となったのだった。うん。朝ごはんの後あまりのんびり――ではなかったですね。
ちなみに10時55分くらいに、七菜からグループのところにメッセージが来まして――。
「余裕で電車。間に合いました!」
はい。湯の山温泉駅11時の電車に七菜が間に合いましたとさ。って、それを家で確認した俺と海織の方がちょっとバタバタと駅へと向かったというね。
いやね。海織さんが――テンション高めだからか。まあ準備の時もテンション高くてですね。まあいつもよりちょっと時間がかかったり――テンションが高い。絶好調の海織に俺がいろいろいじられたり――などということがありましてね。はい。こっちの方が出かける前はギリギリでしたよ。だった。
でもまあ家から駅までそんなに時間はかからないので、俺と海織は電車が来る5分くらい前には、無事に伊勢川島駅へと到着していたのだった。
遅刻はしていません。はい。
ここで俺たちが遅刻したら――何を言われるか。ですからね。
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