第509話 休日の後輩

難波先輩がやって来た翌日の事。


昨日は俺のところにずっと居た海織が今は隣で――普通に洗濯中。うん。普通に俺の部屋で過ごしていますね。


いつも通りです。


まあ平和といえば平和なのですがね――うん。普通に自分の服などを干している海織さんでございます。

ずっとというか。いつもというか――うん。結構な頻度で実は思っていた事なのだが。このお方は恥じらい。恥ずかしいという感情をどこかに置いてきたのでしょうか?うん。誰か教えてほしいものです。


まあ、まだいきなり着替えはじめないとか言うだけマシなのかもしれないが――うん。いろいろ大変です。

ってか。普通に洗濯をしてもらっている側が言う事ではないかと思いますが――ちょっとはためらってほしいと言いますかね。うん。もうここ数年ずっとですが。何故か海織はここに居る時は、普通に俺の洗濯物も一緒に洗濯してくれているという。謎である。うん。

そんな昔からの幼馴染とか。腐れ縁とか言うのかはちょっとわからないが――うん。そういう昔からの関係ではないんですがね。どこで何があって俺は海織の信頼を得たのでしょうかね?うん。


――実は俺が知らないだけで――昔から海織とは接点あった?

……いやいやそれはないな。うん。ない。そんな偶然があるとは思わないし。海織見たいな子が近くに居たら目立ちますからね。人気あるだろうし。ってホントなんで俺のところに海織は居るのでしょうか?俺は特殊なオーラとか出しているわけでは――などなどと、洗濯をしてくれている海織をぼーっと見つつ考えていると。


「—―?楓君」

「はい?」

「朝からどうしたの?ジロジロ人の事見ちゃって」

「いや――まあ見ていたけど……ジロジロは見てないかと」

「またまたー。なになに?甘やかしてほしい?それとも――朝からマッサージでワイワイしたいのかな?」


ヤバイ。なんか洗濯を終えた海織がニヤニヤしながら寄ってきたんですけど。これ危険ってか――海織は、マッサージするの好きすぎるから。何でそんなにいじめて来るかな?

あれめっちゃ痛いんですからね?まあ――翌日めっちゃ身体が軽くはなるんですが……うん。マッサージ中の痛さよ。


「……海織がマッサージをするのが好きすぎる件について、誰かに相談した方がいい気がしてきた。うん」

「楓君楽しそうにしてくれるからねー。やりがいがあるよ」

「いやいや、停止をいつも求めているはずなんですがね?まあ聞いてもらったことはない気がしますが――もしかして聞こえてない?」

「なんのことかなー。あっ、でも次の日楽でしょ?」

「……」


うん。それは何とも言えないというか。確かに楽なんだよね――でもだよ。でも。と俺が思っていると。


「うんうん。あれにはスペシャルバージョンもあるからね」

「……何も聞いてないのに。まさかのその上があることを知る俺だった――」


何だろう。俺はつぶやいているだけの状態になりつつあるが――マジで誰か助けてというか……うん。俺の気持ちも理解してくれる人居ないかなー。である。


「楓君が何か1人でぶつぶつ言ってる?」

「言ってますね。はい。届いてないとは思いつつ――ってか。海織。興味はないけど、話題に出たから聞くけど――スペシャルバージョンとは?」

「おお。気になる気になる?」

「だから。話題に出たから。って言ったはずなんだけど……」

「スペシャルバージョンはね。頭から足先まで全部だね。その場合は事前に予約してもらわないとだね。私も体力残しておかないとだから」

「—―えっと――あっ、そうか。いつも足ばかりか」


ちょっとだけいつも楽しそうにマッサージをする海織を思い出すと――うん。人の足を掴んで超的確にツボを刺激してくる。うん。そういえば。足だけか。と思っていると――。


「お試しに肩もみでもしようか?」

「大丈夫です。どう考えてもまた痛そうな予想しかないので」

「でも、肩こりとか。ゼミの疲れ。卒業論文のお疲れが取れると思うよ?ニヤニヤー」

「ニヤニヤ言ってる時点で危険というね。うん、間違いなく遊ばれている」

「にひひー。ってか、楓君が弱いだけだよ。沙夜ちゃんとか気持ちいいって言ってくれるし」

「絶対……何かやり方が違うと思うんだけどなー」

「そんなことないよ?にひひー」

「それそれ。ニヤニヤとにひひーが出る時は……だから」


うん。今もだが。海織が大変楽しそうにしていますからね。こういう時は――まあそういう事なんですよ。俺が遊ばれているというか――いじめられているのですよ。はい。

などと海織といつものようにと言うか。まあ平和といえば平和なのかもしれないが――うん。俺的には――微妙なのですがね。

まあいつもの休日という感じで時間が流れていると。


♪♪~


どこからか音楽が聞こえてきた。これは俺のスマホの音ではないので――。


「……?海織。スマホ鳴ってる?」

「あっ。ホントだ」


俺が声をかけると海織が俺の横から移動していき。カバンの中から――スマホを出して……。


「—―あっ、沙夜ちゃんだ」

「……」


何もないことを願う。うん、斎宮さんの名前が聞こええた時点で俺が思ったことである。

いやだって、本当に今週はいろいろありましたからね。昨日もなんやかんやで遅くなったし。うん。今日くらいは――何もない休日を、ですよ。はい。

一応来週も今までよりかは講義が少ないとはいえ――大学行きますからね。はい。体力回復したいですよ。などとと俺が思っている間も海織は電話で話していて――。


「うんうん。わかったー。じゃ、今から行くねー。うん。楓君ところ居るから。了解。じゃまたあとでねー」

「……」


何でしょうかね?海織は出かけるみたいですが――何故に俺の名前が出てきたか。ってか場所を言う必要は――まあ斎宮さんだからいいか。と俺が思っていると。


「楓君。今から沙夜ちゃん達とランチ行ってくるから。電車の時間調べてー。私は準備頑張るから。目標30分!じゃ、洗面所借りるねー」

「……了解です」


俺が返事をすると海織はポーチなどを持って洗面所に籠ったのだった。

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