第498話 6人も居る2

ゼミ室へと来てしばらく。


「ほっほっほー」

「宮町さん。いい感じじゃの。ほっほっほー」

「ふー」


俺の横では海織が一安心という感じで……。


「あと、加茂君。誤字多いの。でもまあぼちぼち」

「……はい」


うん。見直したんだけどね。どうしても見落としがあるというか――あれか。そもそも間違って覚えている可能性か。などと俺は思いつつ。昔ほどは赤くならなくなったがそれでも赤くなって戻ってきた紙を見つつ……確認。うん。やっぱり赤いか。と思っていると――。


「斎宮さん。頑張ったのーほっほっほー」

「よっしゃ!」

「まあ。ゴールはまだ先じゃがの」

「……急に目の前に壁が」


斎宮さん。ちょっと喜んだ後に机へと潰れていた。


「最後は白塚君じゃの。ここ。抜けておる」

「へっ?」


うん。何か柊は揉めていた。というか――多分印刷を忘れたか。藤井寺先生に渡した紙の一部が無かったらしく……。


「印刷してきまーす」


そういい部屋をダッシュで出て行った。


「ほっほっほー」

「ゼミってこんなんなんですね」

「ほっほっほー、1年生から見学とは感心関心じゃ。難波君にまたよろしくの」

「はい。まあ兄は基本音信不通ですが」

「ほっほっほー。元気の証拠じゃ」

「あはは――ってか。皆さんのプリント真っ赤ですね。先生も途中でインク無くなるくらい書いてますし――これ普通なんですか?」


――どうしようかな。そろそろ触れた方がいいのだろうか。うん。

いやね。俺達4人がこの部屋に来た時既に先客が――2人居たんですよ。はい。


2人。


そして――なんか普通に話していたから……特に触れず――だったんだが。

うん。午後の講義が始まっても、この時間はないので。みたいなことを言って――普通に居るんですよね。うん。七菜が。


そう。七菜がこの部屋に居るんだよ。なんで?なのだが――来た時は何か藤井寺先生と話してるし。そのまま午後の講義に入っちゃった特に聞くことできずだったんだが……うん。やっぱり聞いた方がいいか。と俺が思っていると――。


「印刷OKです」


またこのタイミングよくというのか。柊が印刷を終えて部屋へと戻ってきたため――七菜に確認するということは出来ず――。


「ほっほっほー。ほっほっほー……同じこと書いてるの。ここ」

「マジか」

「ほっほっほー。あと、ここ。文章が切れとる」

「……あっ」

「ほっほっほー。次回までに頑張るんじゃのー。留年もあるからの」

「それにはなりたくないんですよ」

「ほっほっほー]


それからしばらく柊の指導のちやっと本日の全員のチェックが終わったその時。


「「で、なんで七菜ちゃん居るの!?」」

「えっ?」


うん。俺が聞こうとしていたことを、柊と斎宮さんに聞かれたのだった。

まあみんな気になってるよね――いや、俺のお隣さんは――なんかニコニコしてるから……何かを察している可能性があるか。と俺が思っていると――。


「いや、午前の講義が終わって――みんなでお昼どうしようか。午後1限空くよね。みたいな話をしていたら――荷物を持ってる藤井寺先生が居まして、お手伝いしたら、たい焼きをもらえたので、そのまま私だけここで先生と話していたら――まあ見学みたいになりました」


うん。らしいです。

まあ藤井寺先生が連れて来たなら――か。うん。難波先輩繋がりというか。

なかなか難波家は藤井寺先生に気に入られている様子。と俺が思っていると――。


「たい焼きなんて私もらってない!?」

「「「「そこ!?」」」」

「ほっほっほー」


うん。斎宮さんだけ。違うものが見えていたというか――うん。ちょっと違うところに食らいつきました。

たい焼き。食べたいんですね。と俺が思っていると――。


「誰だよ。この前ボウリングの後食べすぎて体重増っ――ぎゃふっ…………」

「……はぁ」

「さすが白塚先輩」

「沙夜ちゃん。パイプ椅子で叩くのはダメだよ」

「なるほど。海織ちゃんナイス。それがあった」

「—―えっ」

「海織—―武器を教えてどうするの」

「ちょっとミス?ダメだよって言っておこうと思ったんだけど――」

「うん。珍しくミスだね」

「加茂先輩も宮町先輩も白塚先輩と斎宮先輩の揉め事には関わりたくないと」

「まあ大変ですからね。今の柊みたいにちょっと何がどうなったら――そんなに潰れるというか。うん。柊も良く無傷で居るなーと」

「無傷じゃないぞ!?」


手だけが見えて――何か訴えていた。


「あっ、聞こえてた」

「聞こえてるよ。って重—―ぎゃあああああ」

「ほっほっほー、賑やかじゃの。そじゃ、ほれ。みんなにもたい焼きじゃ」

「たい焼きあった!」


うん、斎宮さんが飛んできました。柊の上から。


「ほっほっほー、冷めておるがの。上手いのじゃ」

「美味しかったですよ?」


藤井寺先生と七菜は既に食べているので感想が出てきていた。うん。柊が床に居るが――って普通に復帰してたい焼き持って行ったわ。


ってこれ前に藤井寺先生に捕まった時に食べたところのたい焼きかな?と俺が思いつつ食べると――うん。冷めていても美味しいたい焼きだった。うんうん。疲れた後に甘いものは良い。うん。と思っていると――。


ちょうどそこで講義の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「よし。食ったら帰るか」


たい焼きを食べつつ柊が言うと――。


「次何分の電車?」


海織が聞いてきたため俺は――スマホを取り出し検索。


「えっと――」


そして時間を言おうとしたら――。


「ほっほっほー、みんなこの後は帰るみたいじゃの。じゃあの。たい焼き代としての。この部屋片づけるの手伝ってくれんかの?」

「「「「「……」」」」」


俺ではなく藤井寺先生がなんか言いだしたのだった。うん。言いだしたよ。これは――帰れない雰囲気だよ。だった。

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