第459話 愚痴

――これは前日の話である。


あれだ。四年生になっての初日の午後の――いやその前にお昼前の事から話しておこうか。

あの日の七菜の愚痴というか――いろいろ言ってきたのはお昼前から始まっていたのでね。


確かあれは――。

俺と斎宮さんが哲学の講義を受けていて――それが思わった後か。


――――。


「疲れたー」


チャイムが鳴り。講義が終わると斎宮さんは俺の横で背伸びをしていた。その後身体を動かしていた。90分で固まった身体ほぐしているらしい。


ちなみに俺と斎宮さんが受けていた講義は、まあそこそこの人が居る大講義室で行われているものだった。

なので今は一斉に人が外へと動いている。


あれだ、みんなお昼ご飯へとレッツゴーというやつだろう。

ちなみに俺と斎宮さんはこの後合流予定の海織がいつものベンチに居るはずなので――まあこれから移動である。食堂とかで席を確保するということが必要ないのでね。基本ゆっくりである。


それに――まだストレッチ?中の斎宮さんは片付けが出来ていないので――すぐに移動にはならないだろ。と、俺が思いつつ斎宮さんを見ていると――。


「うん?なになに?なんか顔についてる?」


俺が見ていたことに気が付いた斎宮さんがこちらを見つつ聞いてきた。


「いや、何にもないです」

「えー。ついに私に浮気かーと思ったんだけど」

「違います」


うん、違います。である。


「修羅場を作りたい的な?じゃないの?」

「……話がおかしい方向にしか進んで行かない」

「あははっ。嘘嘘ー。海織ちゃんに勝てないからねー。って片付けないと。海織ちゃんのお昼ご飯にありつけないよね。うん。もうちょっと待ってて楓くん」


そう言いながら斎宮さんはバタバタと片付けを開始した。そしてすぐに――。


「よし。楓君いつものところ行こう!海織ちゃんいるかもしれないからね」

「まあ12時28分着に乗れたら――って言っていたから。乗れてないとまだだと思うし――乗れたとしても駅から歩いてくると一番遠いところだからね。どうだろう?」

「まあとりあえず行こう!ご飯ご飯ー」


斎宮さんがそう言いながらトートバックを持って出口の方へと歩き出したのだった。


「ってか斎宮さん」

「うん?」

「柊は?そういえばあまり気にしてなかったけど――柊はお昼どうするのかな?って聞いてなかった気がして」

「あー、いいんじゃない?私海織ちゃんには柊の分いらないって言ったんだけどね」

「……勝手によろしいのでしょうか――」

「まあまあでも海織ちゃんはちょっと多めに作るー。みたいなこと言ってたけどね。優しいよねー。あんな奴に」

「ははは……いいのかな?」

「まあ柊の分があったら私がもらうけどねー。そして柊が来てもあげない」

「……何というか――柊がかわいそうというか」

「いいのいいの。最近柊は後輩にちょっかいかけてばかりだからねー。ホント困ったんもんだよ。七菜ちゃんもまた文句言っていたし」

「……まあそれは確かにか――」

「でもそんなことがあるから――私のストレス発散できるんだけどね」

「……」


そう言いながら斎宮さんはなんか――パンチ?みたいな行動をしていた。うん、柊がボコボコになるな。と俺が思いつつ。

そんな感じで斎宮さんと雑談しつついつものベンチへと歩いていると――。


「—―白塚先輩は――ですか?」

「あっ私も知りたいです」

「……みんな……はぁ――」

「あっ。白塚先輩。あとでサークル案内してください!お願いします!」


賑やかそうなグループが俺たちの前を――って。


「「—―うん?」」


俺と斎宮さんはふとなんか知っている苗字が聞こえたな――ということで同時に前の方を見たのだった。


すると俺と斎宮さんの前。まあ少しまだ離れてはいるが――一つのグループ八人くらいの男女の集まりがあった。


後ろ姿だから……もしかしたらたまたま同じ苗字――ということもあったのだが。


「OKOK。昼食べながら話そう!」


――うん。

柊です。めっちゃ知っている方が混じっていました。

普通に柊が俺と斎宮さんの少し前を歩いている集団に居ます。


ってか――ぱっと見……新入生の集団に柊が居るような――と俺が思っていると。その集団の後ろの方にもう一つ見覚えのある後ろ姿があった。


「……七菜?」


うん。

あの後ろ姿は――最近よく見たというか。

うん。七菜だった。

あれ?なんで柊の入りところに――七菜が?もしかして知らない間になんかあって――仲良くなった?と俺は一瞬思ったのだが――。


そういえば柊の再履修だった科目って――と。俺は2限の講義の前を思い出していると――一つの結論というか答えがすぐに浮かんだ。


……二人はまさかだが――本当に同じ講義だった?

ということに結びついたのだった。


ってまあ、今のところまだ確定ではないけどね。

たまたまそのあたりで二限終了時に会った……うん。でも七菜が一緒に居るのがなんというか――どういう状況であのようになったのだろうか――と俺が思っていると……。


「面白そうなことになってる!」


――俺が七菜の存在に気が付き。いろいろ考えていると――俺の隣を歩いていた斎宮さんが駆け足で前のグループを追いかけだしたのだった。

うん。

何か起こりそうです。はい。

嫌な予感がするな――と俺は思いつつ。とりあえず俺もちょっと小走りで斎宮さんを追いかけたのだった。

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