第438話 入学式

これは今日の午前中。場所は俺の家でのことだ。まあ少し前の話だな。


「楓君楓君。七菜ちゃんかっこよくない?」


不意に海織が洗面所に居た俺にそんなことを言ってきた。そして海織登場。


「えっ何?」

「ちょ。なんでファッションショーみたいになっているんですか」


なんだ?と俺が思っていると海織の後ろからスーツ姿になった七菜も登場して……。


「おお……似合うね」

「加茂先輩もおお。じゃなくて」

「ごめんごめん。スーツ姿の七菜いいと思うよ?」

「そ、そうですか?」


うん。現状、何故か俺の部屋で七菜が着替えているという……うん。謎なことが起こっている……いや、海織がいろいろお手伝いしてましてね。手伝いやすいからか俺の部屋でしてるんですよ。はい。で、俺は洗面所に居た。と先ほど言ったのは何か洗面所でしていたわけではなく。七菜が着替え中、俺はずっと洗面所でただ待機をしていました。はい。事故防止というやつですよ。リビングで着替えてましたからね。


っておかしいよね?だが……うん。俺が何を言ってもなので……とりあえずそのことは置いておいて……。


今は俺の目の前にスーツ姿になった七菜が居る。

ピシッとしていてかっこいい感じだ。ちなみに海織がいろいろお手伝いしたからか。ホントピシッとしている。改めて七菜もスタイルの良さが際立っていた。


「うんうん。やっぱり七菜ちゃんは自然な方がいいね」


と、お手伝いした海織も納得の仕上がりらしく隣で頷いていた。俺がちょっと気になったのは海織の手にスマホがあったことだが……まあ触れない方がいいかということで俺は何も言わず……と思っていると。


「えっと……宮町先輩いろいろありがとうございます。助かりました」

「いえいえー」

「で、加茂先輩」

「うん?」

「お兄ちゃん来るは本当なんですか?私のところに連絡無いんですけど?」


それ気になるよね。と俺は思いつつ。あと……。


「もしかしたら……秘密だったのかな?七菜に伝えてないということは……」

「いやいや、そんなこと秘密にして何になるんですか?ホント謎ですよ。今何してるの?だったのに。家族から私の写真を頼まれた?もう謎ですよ。私が知らないだけでお兄ちゃん家族に連絡していたってことですよね?」

「まあ……そうなるかと」


まあうん。俺もいまいちわかってないんだよ。声は聞いたが……まだ難波先輩に会ってないからね。何とも言えないんだよ。

だから七菜に難波先輩が今日来ることを言ってよかったのかな……とちょっと焦ったりもしていた。いや普通に俺七菜にも連絡がいっていると思っていて、普通に難波先輩からの連絡があった後に言っちゃったんですよね。うん。まあサプライズなら……謝っとくか。と思っていた俺だった。


俺の部屋で七菜の準備が行われた後はもちろん会場へと向かう。


「なんか先輩方に付いてきてもらうって……変な感じですね」

「いや、うん。難波先輩に来てくれ。って言われたからね」

「私は面白そうだから付いて行く。って感じだね」


俺と海織、七菜の3人は伊勢川島駅へと歩いていた。


「ちなみに斎宮先輩や白塚先輩も来るんですよね?」

「らしい。柊にも難波先輩から連絡があったみたいだから」

「はぁ……あのムキムキお兄ちゃんは何を考えているんだが……目立っちゃうじゃないですかー。まあお兄ちゃんが横を歩いているだけでもかなり目立ちますが……」

「それはわかる」


うん。難波先輩は目立つな。うん。そして七菜と難波先輩が並んでいたら……かなり目立つだろうな……と俺が思っていると。


「だねー。確かに目立っちゃうね」


海織も苦笑い?をしつつ言っていた。どうやら同じことを思い浮かべていたらしい。


まあそんな感じで3人で歩きながら話して、伊勢川島駅へとやって来て……12時10分発の湯の山温泉行きの普通電車に俺たちは乗った。


ちなみに車内は七菜と同じで入学式に向かうらしい人が結構乗っていた。

これでも早い方の電車にしたんだけど……うん。多くの人が早く会場に行くを選択したらしい。その後、12時21分菰野駅に俺たちの乗っている電車が到着すると……。


「あっ。七菜ちゃんスーツバージョン!」


とか言う声が聞こえてきましてですね……。 

はい。もちろん斎宮さんですよ。あとその後ろから柊もやって来ていた。

ちなみに今はスーツとかの人が多いので、私服で居る俺たちの方が少数派だったりする。


まあとりあえず菰野駅を出たら数分で電車は終点。湯の山温泉駅なので……。

はい。12時28分湯の山温泉駅に到着しました。ちょっと車内で話していたらあっという間に電車は終点です。はい。これももう慣れたことだな。


そして駅前で……。

あのお方が普通に登場したのだった。


「おうよ。七菜久しぶりだなー。がはははー」

「……相変わらず目立つなー。ホント。ってホントに居たよー。何してたのお兄ちゃん?ホント」


俺の隣に居た七菜が……まあうん。困ったような感じでお出迎え?してくれた難波先輩のところへと行って言っていた。まあでも連絡が取れなくて七菜も心配していたんだろうな。安心した表情になっていた。

っか。どんどん人が増えますね。


にしても俺も数か月ぶり?に難波先輩を見た。ってかホント目立つな……。前よりムキムキになった気がする……って入学式に向かう人が多い中。私服の俺達本当に目立っているというね。そしてその輪の中に居る七菜が一番目立っているのか。

いろいろと囲まれている感じで……本人は小さい……おっと危ない危ない。口に出してなくてよかったー……と俺が思っていると。


「とりあえず学校行きましょうよ。駅前で目立ちたくないです」


という七菜の声で俺たちは移動開始となったのだった。

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