第437話 入学式前日

4月1日。本日は俺たちの通っている大学の入学式であるのだが……あっいやもちろん急に過去になったとかではなく。七菜の入学式だ。

でもまずは前日の事を言わないといけないな。うん。


……。

……。

……。


前日のお昼過ぎ。


「楓君楓君。明日七菜ちゃんの入学式見に行っていいのかな?」


部屋でのんびりしていると海織がそんなことを俺に聞いてきた。


「海織は……七菜の保護者にでもなったの?」

「えっ?私たちの子?」

「違うでしょ」

「えへへー。でもホント七菜ちゃんいい子だからね。ずっと見ていてあげたいよね。頑張り屋さんだし」

「ははは……でもまあ春休みの期間中に七菜も料理とか良くなったというか。毎日頑張ってたな。うん。だからもう1人暮らしも大丈夫そうだけどね」

「なんか楓君は七菜ちゃんに頼ってもらえないから寂しそうだねーニヤニヤ」


そう言いながら何故か海織が俺に持たれてきた。

あっ、ちなみに海織が居るのはもう当たり前の事と思ってください。はい。

今日のお昼前にまた来ました。はい。ちなみに言い忘れましたが今は午後です。日差しが気持ちいい午後。眠くなりそうな時間です。


「……なんでもたれてきたのかな?」

「寂しそうな楓君のため?」

「いやいや」

「でも七菜ちゃん本当に楓君には感謝してると思うよ?この前もめっちゃ楓君の事お風呂で言ってたから」

「……その突撃はやめてあげた方が……」

「七菜ちゃんねー」

「はいはい。その話はいいですから」

「なんでー。大丈夫だよ。七菜ちゃん居ないし。今は明日の準備でわたわたしていると思うから」

「はいはい。本人が居ないところでこの話は終わり」

「えー」


と、海織と話して、まあのんびりしている時だった。


♪♪~


「あっ。ほら噂をすれば七菜ちゃんかもよ?ヘルプ要請じゃない?」


棚の方で俺のスマホが鳴り出したのだった。


「まさか」


と、俺は思いつつ。

もたれていた海織の身体を軽く押して……自分で座ってもらい。自分のスマホの方へと移動して画面を見た。すると……。


「難波先輩か……」


俺はそうつぶやきつつ通話のボタンを押そうとして……。


「………………うん!?難波先輩!?」


うん。突然の事でちょっとフリーズしたが。そこには難波先輩からの着信を知らせる画面だった。


「楓君?」

「あっ、いや。難波先輩からだ」

「あれ?久しぶり?じゃない?」


と。海織と少し話してから俺は慌てて通話ボタンを押したのだった。


「もしもし?」

「おう!加茂!久しぶりだな!!がははははぁ」


電話の向こうからはいつも通りというのか……うん。知っている難波先輩の元気な声がホント久しぶりに聞こえてきていた。


「あっ。はい。どうしたんですか?急に」

「いや、加茂。明日大丈夫か?」

「……はい?」

「いやなー。明日七菜の入学式でよ。家族から写真撮ってこいと言われてなー。加茂も協力してくれー!がははははぁー」

「はい?」

「頼んだぞー」

「えっ?」

「ちょっとな明日までにいろいろ片付けたくてなー。今日は忙しいんだわーじゃ明日大学で頼むわーがはははははー」

「……」


うん。悪露が返事をする前に……嵐のように電話は終了していった。

まあこれが昨日の事というか……翌日につながることとなったのだった。


……。

……。

……。


そして現在。


俺はお昼過ぎに大学の入り口のところに……たくさんの仲間とともに居た。とでも言っておこうか。

現在は入学式に出る本人。当たり前だが七菜も居る。

さらにには海織。さらに柊。斎宮さんも居て……久しぶりに先ほど駅で会った難波先輩も居る。うん。今日はたくさん周りに人が居ます。はい。


ってか……現状を話すと……七菜がちょっとかわいそうというか……。

と、俺が思っていると七菜が俺の隣にちょうど来て……。


「……あの。先輩。これ……私めっちゃ目立ってません?」


少し前に湯の山温泉の駅を出発して大学への道を今は歩いているのだが……うん。目立っている気がすると俺も思っていたので……。


「多分。それもかなり」

「ですよねー。なんで突然お兄ちゃん来たんですか?って音信不通だったのどうなったんですか?意味わかんないんですけど?」

「さ、さあ……?」


ちなみにここ最近音信不通になっていた難波先輩は後ろで柊と普通に話している。


あと海織と斎宮さんは俺たちの前を歩いていて……。


「あー、そういえば入学式ってこんな感じだったねーなんか遠い昔のことだー年とったー」

「だねー。もうかなり前の感じだね。この道もずっと歩いているからはじめは大変だったけど慣れちゃったし」

「うんうん。この無駄に毎日いい運動させてくる道ねーホント何十回何百回歩いた事かだよ」


とか。そんな感じで2人は話しながら歩いている。


ちなみに大学に向かう時。俺の家を出たときは……3人だったんだよな。


まだ校舎まではあるので少し前の事を話しておこうか。

今はお昼前だから1時間2時間前の事なんだが……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る