第436話 紛失?喪失?8

「ただいまー!」

「なんか……疲れた……」


斎宮さんとともに自分の家へと帰って来ると……。


「おかえり。楓君沙夜ちゃん」

「あっ。おかえりなさいです」


台所からいい香り……そして海織と七菜が台所に立っていた。香りからして……海織が見守る中。七菜がカレーを作っていたとみる。って……ホント俺の部屋自由に使われているね。とか思っていると……。


「キター。楓!俺の卒論どこだ?」


柊がすぐに俺へと声をかけてきたが……残念ながら俺は持っていない。なので……。


「斎宮さんが抱いてます」

「何?」

「ふふふー、柊。これが欲しいなら。これからは私の言うことを聞くこと」


そう言いながら柊の卒論。途中バージョンをちょっと見せる斎宮さん。そしてすぐにしまっていた。


「なんでだよー。ってかそれを見ながらもう一回作らないといけないんだから早く渡せー」

「えー、私と楓くんが取って来たんだしー。どうしようかなー」


うん。これは……。しばらく柊の手には渡らないな。と俺が思っていると……。


「あ。あの……カレー出来ましたけど……どうしますか?」


七菜が俺の横に立ってそんなことを言ってきた。というか。多分俺達3人に向けて言ったのだろう。と俺が思っていると。


「よし、食べよう」


すぐに反応したのは柊だった。

うん。斎宮さんが呆れているというか……。あっ。柊の卒論資料を自分のカバンに封印した……うん。これは本当に柊の手元にたどり着くまでは時間がかかりそうですね。はい。


と、まあそれからはちょっと甘めというか。あれか。やっぱり作る人が変わるとなのか。いつもとちょっと違う味のカレー。でも大変美味しいものをいただきましたとさ。


何故か柊が七菜にアピールというか……美味しいを伝えまくり。仲良くなろうをしていたが……どんどん遠くなる2人の関係というか……。


「斎宮先輩。白塚先輩どうにかしてくださいよ……ゆっくりご飯も食べれません」

「七菜ちゃん一晩寝てあげたら?」


笑いながら斎宮さんはそんな提案をしていたが……。


「嫌ですから!」

「楓くんとは寝たのに?」

「ちょ、違いますから。同じ部屋だっただけです」

「七菜ちゃん。そこは楓君に一緒に寝ようって詰め寄らないと」

「なっ。何言ってるんですかー、って加茂先輩!」

「……」


うん。何なのここ?仲良しということでいいのかな?うん。いろいろとややこしいというか……もうわからんという感じだったので俺は1人でゆっくりと七菜と海織が作ってくれたカレーを食べてましたとさ。


で、結果的にというと……柊の卒論は今日は1文字もパソコンには復元されなかった。


理由は……。


「沙夜、俺の卒論どこだ!?」

「さあ?」

「いやいや早く出せー。さっき持ってたじゃん」

「そうだっけ?」


うん、斎宮さんが渡さないということがその後も続きましてね。それを見ていた俺と海織。七菜は……。


「何やってるのあれ?」


俺が海織に聞くと……。


「あれだよ、沙夜ちゃん的には白塚君に甘えたいんだよ」

「えっ?宮町先輩。そうは見えませんが……」

「海織、俺も」

「えー、だってどう見ても沙夜ちゃん楽しそうだし」

「いやまあ楽しそうだけど……」

「ってか。楓君。さっき沙夜ちゃんが言っていた私じゃもう満足できないとは。どういうことかな?にやにやー」

「……はい?」

「これはもっとイチャイチャした方がいいのかな?」

「ここも何が始まるんだか……ってそれは斎宮さんが勝手に言っていた事ですので」

「どうかな?」


そう言いながら俺に詰め寄ってくる海織。


「いやいやどうかな?じゃなくて」

「とりあえず今日は一緒に寝ようねー」

「それいつもの事……」


俺と海織が離していると。海織の横で俺たちの話を聞いていた七菜が……。


「加茂先輩。そんな一緒に寝るのは当たり前宣言言わなくていいです」

「へっ?」

「さらっと楓君イチャイチャしてます宣言するからねー。ホント恥ずかしいよ」

「……私はほんと大変な先輩方のところに来てしまったみたいです」


うん。あれ?俺イチャイチャしている宣言なんてした?普通にいつもの事を言っただけ……ってそうか。一緒に寝るが。か。うん。あー、俺も疲れているんだな。うん。ダメだこりゃ。とまあなんか食後はそれぞれのところで騒がしく……。


21時過ぎにやっと柊と斎宮さんが帰宅しまして……同じく七菜も帰宅……できませんでした。


「ちょ、宮町先輩、今日は帰りますから」

「今日も泊っていっていいよ?って私は昨日居なかったから」

「……」

「いやいや、加茂先輩!宮町先輩暴走してます」

「……」

「なんで無視なんですかー」

「いや関わると大変というか」

「七菜ちゃん違うよ。楓君も七菜ちゃんと一緒に居たいからあえてなにも言わないんだよ」

「違うからね?ってことで、海織、後輩を困らせない。帰らせてあげる」

「えー、じゃあ楓君今日もお風呂一緒に入ろうねー」

「はい?」

「えっ……先輩方……」


そう言いながらジーっと七菜に見られる俺。


「いや七菜。待て今のは海織の暴走」

「あれれー?」


俺が言うと楽しそうに俺を見てくる海織。


「海織黙る」

「ニヤニヤー」

「ニヤニヤもしない」


俺と海織がまあいつもの事と言えばいつもの事かもしれないが……そんなやりとりをしていると……。


「……あっ。これはチャンス。じゃ先輩方夜お楽しみください」


七菜はそういうとさっと海織から離れて俺の部屋から逃走していった。


「ちょ、七菜。何もないからね?変な誤解しないように」

「あー、七菜ちゃん逃げた」


うん。後輩に変なことを絶対思われているであろう別れとなったのだった……うん。その後もいろいろ大変だったが……疲れたからもういいよね。うん。とか思っていたら……。


「楓君。ところで私の部屋あさった?それとも沙夜ちゃんとイチャイチャした?」

「海織ちょっとお黙り?」


突然会話はまた再開されるのだった。


「にひひー、夜は長いよ?」

「元気すぎるよね?って……そうか、今日海織帰ってきてから動いてない」


うん。そういえば海織はずっとこの部屋でのんびりと充電をしていたのか……と俺が思っていると。


「正解!」


うん、めっちゃ楽しそうな海織さんでしたと。

翌日俺が寝不足だったのは……説明いらないよね。うん。

朝ごはんの時に七菜のところへと海織とともに行った時にちょっと心配されましたよ。はい。

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