第426話 貸し出し中7
「楓君楓君。荷物間違って持ってきちゃった!七菜ちゃんの荷物持ってきちゃって、今見たら七菜ちゃんのカバン入ってるんだけど。七菜ちゃん大丈夫?」
俺は海織からのメッセージを下を向いていた七菜にも見せた。
「はい?」
俺がスマホを差し出すと七菜が不思議そうな顔をして……俺のスマホの画面を見た。
「海織も今気が付いたって。とりあえずスマホ使っていいから連絡したら?電話ならデッキに行けばいいと思うし」
「そうします。すみませんちょっとお借りします」
そう言いながら七菜は俺のスマホを持ってデッキの方へと移動していった。
ちなみに俺はこの後の事が何となく予想で来ていた。
うん。海織の事だから……七菜の部屋の鍵が自分のところにあることに気がつくと……。
「楓君楓君。七菜ちゃん泊めてあげないとね。いたずらしちゃだめだよ?」
そんなこと言ってきそう……と思いつつ。
「……」
うん。後半部分は言わないな。うん。ちょっと俺がふざけたというか。いや、もちろんそんなことはしないが。なんか海織なら……というのでね。勝手に思ってしまった。うん。ないな。
と、俺が思っていると。デッキの方から七菜が戻って来て……。
「先輩。宮町先輩からです」
俺のスマホを七菜が差し出してきた。画面を見ると通話中。と表示されていた。
「代われという事?」
「です……すみません」
「うん?まあとりあえず荷物よろしく」
「はい」
俺が七菜からスマホを受け取りデッキの方へと移動する。デッキに移動すると俺は通路だと邪魔になると思ったので進行方向右側のドアにもたれながらスマホを耳に当てた。
あっ。余談だが。なんで進行方向右側のドアかというと。
この後到着する桑名駅では左側のドアが開くんでね。だから右側ならもし途中で桑名駅に到着しても邪魔にならないので。という事です。はい。余談でした。ということで。
「……もしもし」
「あっ。楓君?」
「うん」
「楓君はすごいね。なんでもイベント回収してくね」
「……何を言っているのかな?」
「まあまあ、ってか楓君。七菜ちゃん泊めてあげないとね。あっ。2人だからって七菜ちゃんにいたずらしちゃだめだよ?」
「……」
あれ?ちょっとみんな過去に戻ってくれるかな?俺が少し前に予想した言葉……ほぼほぼ満点の解答だったので?と俺が思っていると……。
「楓君?」
「あっ。ごめん」
「七菜ちゃんに手出しちゃだめだよ?」
「出しませんよ。なに言ってるんだか」
「にひひー。まあ七菜ちゃんには。甘えるくらいなら全然いいよって言ってあるけどね」
「何を言っているのかな?本当に」
「まあまあ。でもこれはホントにミスっちゃた。多分私が先に荷物持ったと思うから。私のミスだよ。七菜ちゃんにも謝ってたけど。気にしないように楓君からも言ってあげて」
「了解。っか。そういえば2人は同じ袋だったんだよね」
「同じ店で買ったからね。大きさも同じだったし。さっき中見てびっくりしたよ。私の買ったものじゃないのが入っているからね」
「ははは……」
俺と海織がそんな会話をしている間に、俺と七菜が乗っている特急は桑名駅に到着した。
「とりあえず楓君。七菜ちゃんには私の着替え貸してあげて」
「了解」
「あと、後寝る時は仲良く寝るんだよ?楓君」
「……言うことないなら電話切っていい?」
「にひひー。ちなみに七菜ちゃんは後ろから抱きしめるととってもいい抱き心地だよ?」
「おやすみなさい」
「あっ、ちょ。か……」
うん。そこで俺は通話終了のボタンを押した。
するとすぐに……。
♪♪
「おやすみって言う前に切らないでよー。あっ。あと明日の夕方には帰るからね」
というメッセージが届いた。
うん。明日また俺の家に帰って来るのね。と俺は思いつつ。デッキから座席へと戻った。
「あっ。先輩。宮町先輩……何か言ってました?」
「うん?いや。特に。なんか余計な事言っていたから適当に返事して電話切った。あー、泊めてあげるように。とは言っていたな」
「……そのいいんですか?」
「まあ大丈夫だ」
「すみません。多分……宮町先輩怒りますよね?先輩の家に私が泊まると……」
「それも大丈夫かと。何も言わないと思うよ」
「いやでも……」
「気にしなくていいから。着替えも自由に使っていいって海織も言っていたし」
「……すみません」
そんな感じでちょっと落ち込んでいる?七菜と話していると俺たちの乗った電車は近鉄四日市駅へと到着した。
22時32分近鉄四日市駅到着。
俺と七菜は湯の山線ホームに移動して……次の湯の山温泉行きの電車が43分だったのでしばらく駅で待機のち。少ししてから駅に入って来た電車に俺と七菜は乗り込んで、22時43分。近鉄四日市駅を発車したのだった。
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