第424話 貸し出し中5
買い物を終えて、近鉄名古屋駅へと戻って来た俺と海織、七菜の3人。
だったのだが……なんか海織がまた言い出したのだった。
「じゃ、楓君。ちゃんと七菜ちゃん家まで連れて行ってあげてね」
「「はい!?」」
俺と七菜が同時に海織を見た。
「あれ?言ってなかった?私今日はこのまま実家に寄って行くから。って、せっかくこっちまで出て来たからね」
「「聞いてないからね?(ですよ?)」」
「2人とも息ぴったりだね」
なんか海織に褒められた?が、そうじゃなくて。
いやいや、うん。ホント聞いてないからね?である。
「えっ?宮町先輩本当にここでお別れですか?」
「うん。名鉄だから階段あがってー。だね」
海織は名鉄の乗り場の方を指差す。
そして七菜はポカーンとしつつ……。
「あれー?加茂先輩。宮町先輩は突然ドロンすることはよくあるんですか?」
「ノーコメント」
「えー。ってかさっきの雰囲気的に加茂先輩も今日の宮町先輩の行動を知りませんでしたよね?」
「……まあ、なんか家を出た時に1人だけ荷物が多いな……とは思っていたけど」
「あっ。確かに、宮町先輩大きなカバン持ってますね。それが普通なのかと私思ってました」
俺と七菜が話していると……。
「まあそういうことだから。おやすみー。特急の時間まであと5分くらいしかないんだよ。楓君ちゃんと七菜ちゃん家まで送るんだよ。って同じところかー」
海織がそんなことを楽しそうに言いながら、こちらに手を振って去って行く。うん。去って行った。
最後までテンション高かったな……と俺は思いつつ一応手を振っておいた。
「……」
「……」
海織に放置された俺と七菜は……ポカーンだね。うん。すると七菜が。
「……先輩。すごい彼女さんですね」
「ははは……謎が多い。というか最近さらに多い気がする」
「自由と言いますか。うん。楽しいですね」
「楽しいというか……困ったもんだよ。自分の事は言わないからね。それが楽しいのかな……」
「あー、でもなんか宮町先輩の相手をできるのは先輩だけな気がします。白塚先輩だと……宮町先輩があんな感じで居なくなったらすぐに他の女の子に手を出していそうです」
「柊がくしゃみしてるよ。って、七菜の柊の評価ホント低いよね?」
「レディーの事チビとか小さくてかわいいとか言う人の事は最低評価でいいんです」
「ははは……ここもなかなか」
「ってか、先輩」
「うん?お手洗い行ってきていいですか?」
「どうぞって、改札入る?入ったところにあると思うけど」
「なら、そうします」
ということで俺と七菜は近鉄名古屋駅の改札を通った。っか、突然人が減りましたね。うん。
改札を抜けると七菜はトイレへと向かって行った。そのため俺は近くで待機することとなった。
♪♪
「うん?」
すると俺のスマホが鳴った。
「特急間に合ったー。イェイ」
うん。海織からのメッセージだったのだが。向こうはすでに名古屋駅。名鉄名古屋駅を離れたらしい。
「こちら七菜がトイレに行っているためまだ名古屋駅です」
と。返事をするとすぐに既読が付いて……。
♪♪
「楓君。こういう時は座って帰れるように特急券を買ってあげるといいと思うよー。七菜ちゃんポイントが上がると思うよ」
だから七菜ちゃんポイントってなんだよ。そういえばナナちゃん人形だっけか。あれ見なかった。とか俺が余計なことを思いつつ。
「まあでも歩き疲れているだろうから特急券は買う予定だったよ」
うん。これは事実である。
買い物で結構歩いたのともうすぐ22時という時間であまり遅くなると……なんでね。まあ到着時間はちょっとしか変わらない。いや湯の山線の時間を考えると同じかもしれないが。四日市まで特急で帰るという選択肢は元々俺の中にはあった。
まあその時は3人だからな。バラバラになるかな……とか思っていたのだが。うん。1人減りました。だよ。とか俺が思っていると……。
♪♪
「帰り道はおんぶしてあげるとさらに七菜ちゃんポイントアップかもね」
「……」
うん。ホントこのお方は……なので。
「子どもじゃあるまいし」
と、返事を送ると……。
「あっ、先輩。お待たせしました。その……地味に並んでまして……あはは」
「あー、うん。おかえり」
……って、何だろう?ちょっと違和感を感じたのだが……。まあ気のせいか。一瞬の事だったんでね。俺は特に気に留めず……。
「じゃ帰ろうか」
「はい。えっと……どれで帰るんですか?急行?あっ準急もありますね」
「あー、特急でどう?後5分くらいで出るから。30分弱だけど座れる方が楽かと思ったんだけど……買い物で結構歩き回っていたし。あっ特急券は俺が出すから」
「おお……先輩。どうしたんですか?あれですか?宮町先輩に女の子には優しくすること。とか言われました?」
「……」
この2人打ち合わせしてるか?とか俺は思いつつ。
「まあ俺が座りたかったということで。とりあえず特急券そこで買ってくる」
「あっ……私も付いて行きます。迷子になるとですからね」
「いやいやこの距離。ってはぐれてもスマホで連絡するよ」
「で、ですよねー。でも付いて行きます。わざわざ別行動する必要ありませんからね」
「まあ……確かにか」
それから俺と七菜は駅構内にある特急券の自動券売機へと移動して、近鉄名古屋駅22時05分発の宇治山田行き特急の特急券を購入したのだった。
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