第387話 ~過去~ 楓の好きな時間6
現在帰宅した俺たちは2人で近鉄の1994年号の物を見ている。というかまだ表紙と背表紙。値段の事をちょっと触れただけだな。
現在古い方の時刻表を持っているのは海織のため。俺が海織の横に座りのぞき込む形となっている。
「あっ。路線図から始まるのは今と同じだね」
「だね。ってか。これ15年?以上前だから……」
「あっ、これ四日市あすなろう鉄道がまだ近鉄線だね」
海織がそう言いながら。現在は四日市あすなろう鉄道線の場所を指さす。うん。こうしてみると……いろいろ変わってるんだな。と俺は思いつつ――。
「ちなみにその他には北勢線や……養老線もまだ近鉄だね。あと伊賀線も」
「あっ、ホントだ。近鉄だね。今は……全部違うよね?」
「今は養老鉄道。三岐鉄道……伊賀鉄道?だったかな?」
「そういえばこの養老線とか。伊賀線。北勢線も乗ったことないよね?」
「あー、そういえばないかもしれない」
「じゃそのうち乗りに行かないとねー。何か沿線にあるか調べておかないと」
「伊賀は……遠いよ?」
「大丈夫大丈夫。あっちは沙夜ちゃんの実家があるからね」
「こらこら。他を巻き込まない」
とか海織と昔の路線図を見つつ話し。さらにページをめくっていくと……。
「時刻表の味方?って言うのかな?ダイヤが書いてある表は今と似てるね」
「まあ、これはあまり変わらないのかな?ずっとこの感じだから昔からこうだと俺は勝手に思っていたけど……」
「電車は減ったり増えたりするけど、駅は毎年増えたり減ったりしないもんね」
「だね。コロコロ駅が出来たり。無くなったりしたら……だから」
「あっ。ねえねえこの公告?なんかすごく懐かしい感じだね。色つかいというか。モデルの人が来ている服装。あっ、車内販売の人の制服も。なんか昔のって感じがする」
「だね。今は制服とかも変わってるし。うん。結構違うね」
俺と海織は懐かしい?というのか。うん。ちょっと前の時代の雰囲気を味わいつつ。さらに時刻表を見ていくと……。
「あっ。ここは列車案内かな?アーバンライナーは今もだね。あっ、ちょっと違う?オレンジ?の線は……無いよね?」
「これは一番初めというか。デビューした時の物だね。今はアーバンライナーもリニュアルして「アーバンライナー・プラス」になってるからね」
「さすが楓君。ってさくらライナーはもうこの時走っていたんだね」
「だね。確か……デビューは90年だったかな?」
「あっ、結構前からさくらライナーも走ってたんだね」
「まあどれもリニュアルして新しくなってるからね」
「だね。って楓君。この急行とかでよく見る……5200系?この電車もこの時すでに走ってたんだね。って今も現役バリバリじゃないかった?」
海織が団体列車?の紹介写真のところを指差しつつ言った。
「だね。っか、そうか。この電車は団体列車扱いに入るのか」
「あっ。確かに。えっと……楽?だっけ。だね。この時も楽だね。あと、あおぞら号と一緒に書いてあるもんね」
うん。そうだったんだ……と昔の時刻表を見つつ頷く俺。いや、そういえば……団体列車で5200系が走っているところ見たことあったような……とか思いつつ。
その他ビスタカーの旧塗装。や22000系ももう居るよ。とか思いつつ。海織と一緒に時刻表を眺めていた。
さらにページをめくっていくと――。
「あっ。伊勢神宮の内宮のところにあるおかげ横丁ってこの時にできたんだ…。あっ。そういえば……テレビで前の式年遷宮に合わせて……内宮周辺整備で。今回の時は外宮周辺って言ってたかな?」
「なんやかんやで海織。伊勢周辺の事詳しいよね。住んでいた俺より」
「そうかな?」
「うん。詳しい気がします」
「あっ。楓君ここからは時刻表だよ……ってえっ?」
「うん。どうしたの?」
公告。というか。カラーページが終わり。この先は平日の時刻表が始まるというところで海織は何これ?という声を出していたので。俺はそのページを覗き込んでみると……。
あー、そうか。このころは走っていたもんね。と思いつつ。
「湯の山線特急か」
「そう。びっくりだよ。えっ?だよ。大阪、京都から湯の山温泉、名古屋のページが一番初めにあるんだね。湯の山線ってすごかったんだね」
「まあ観光地だよね。今もだけど」
「でもこれ特急のページだよね?」
海織が見ているページを確認する。うん、今見ているところは特急電車のみのページである。普通や急行とかは書かれていない。特急のみの時刻表だ。
「多分これ……難波から湯の山温泉行きがあるんじゃないかな?」
「難波から走ってたの!?って直通?」
「確か直通だと思うよ。違ったかな……」
「どれどれ」
うん。なんか俺より海織の方がテンション上がってますね。俺が言うと海織が時刻表とにらめっこを開始した。まあ字は小さいからね。
って俺も湯の山線特急が一番初めにあったのは驚きなんですが……まあ四日市、湯の山温泉間で走っていたのはなんとなく覚えているが……これ多分難波発だからね。俺もちょっと難波発の時刻表を見るのは初めてなので、こちらもテンション上がりつつ……。
まず難波発湯の山温泉行きの特急を海織と2人で探す。と、いうことが始まったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます